美しい漆塗りが特徴の仏壇
彦根仏壇
- 滋賀県
- 1680年頃
- 江戸時代
彦根仏壇の歴史
彦根仏壇の起源は遠く昔、徳川時代中期とされ、武具や武器の制作に携わっていた塗師や金具師が平和産業へと転向したのが始まりだとされています。
彦根仏壇発祥の地である彦根市は城下町特有の風情を持ち、古くから仏教の盛んな地として知られています。
そんな中、徳川時代のキリシタン弾圧政策により、異教徒でないことを証明するために仏壇を持つことが一般化されてきたことにより、彦根仏壇の生産は盛んになっていきました。
また、彦根藩主の庇護のもとに、問屋制家内工業の形態とこれに伴う分業組織の完成もまた、彦根仏壇の生産活発化を手助けしたと言えるでしょう。
明治維新の混乱や戦争の影響も受けましたが、戦後彦根仏壇同業組合の結成により品質の向上が可能となり、今日では彦根の地場産業の一つとなっています。
彦根仏壇の特徴
彦根仏壇の特徴として挙げられるのが美しい漆塗り、金箔押しが施されている金仏壇だという点です。
漆塗りは美しいだけでなく、木の耐久性も高めてくれます。
漆は下地、中塗り、上塗り、といった3つの工程に分けて塗られています。
金箔は三寸六分角、または、四寸二分角の金箔を天然精製箔押漆で丁寧に1枚ずつ貼られています。
彦根仏壇には一つにつき、一千万枚以上の金箔が使われているのです。
木材は、欅や杉が用いられていて、大きさは幅4尺、高さ8尺5寸で、大型の仏壇が主流となっています。
これらの作業を行う伝統工芸士は現在29名登録されていて、彦根仏壇組合伝統工芸士会を結成し、日々美しい彦根仏壇のために切磋琢磨しています。
また、戦後彦根仏壇同業組合による検査も実施されているので確かな品質の美しい仏壇が楽しめます。
彦根仏壇の利用シーンや使用上の注意
利用シーンとしては上記の通り、一間の仏間に納めて使用するのが主流となっています。
使用上の注意としては、まず、土台がしっかりとしたところに安置することをおすすめしています。
仏壇が傾くことにより扉が開き、内部の仏具や転倒して怪我をする危険や、仏壇が変形してしまう恐れがあります。
また、地震の際に倒れることで怪我をする恐れがあるので、地震対策もしっかりとってください。
他にも、高温や多湿の環境では仏壇の木材が傷んでしまいますのでなるべく涼しく、湿度の低い場所に安置するようにしてください。
また、高温多湿の環境はカビやダニが発生し健康を害する恐れにも繋がります。
仏壇に手をついて立ち上がったり、登ったりすることも怪我の原因となりますのでおやめください。
見学できる彦根仏壇の工房
「仏壇職人の工房見学−五感で感じるリアルな現場−」と称したツアーで彦根仏壇の工房を見学することができます。
当日参加は不可能ですので事前に予約をしてください。
また、見学工房の職種のリクエストに関してもお答えしてくださる場合があるそうですので、ご相談ください。
工房へ行き、日本の職人の巧みな技を間近で見学することができます。
また、直接何十年というキャリアを持った職人の方にお話を聞ける機会もあるそうです。
最寄駅はJR彦根駅で、徒歩25分、タクシーで5分ほどでアクセスすることが可能です。
また、Youtubeでも仏壇造りの7つの工程を記録した動画がアップされているので直接足を運べない方にはそちらもおすすめです。
彦根仏壇を体験できる場所
「仏壇伝統工芸体験 −楽しく作ってみましょう−」と称したツアーでは彦根仏壇の漆塗り、金箔押し、蒔絵の3種の体験をすることが可能です。
漆塗り体験ではオリジナルの箸が作れます。また、金箔押し体験では、実際の金箔を銅板の金具に貼る体験ができます。
蒔絵体験では下絵から好きな絵を選び漆で絵を描く体験をすることが可能です。
また、こちらは1週間前までの予約が必須で、火曜日が定休日となっております。
また、年末年始やゴールデンウィーク、お盆の休暇もあるのでご確認ください。
ご希望の方には英語の通訳を付けることも可能です。
彦根での観光やお食事のオプションもあります。自分で作った作品はお土産として持ち帰ることができます。