扇子職人に聞いた!良い扇子の条件と長く使うためのポイント

本記事の制作体制

熊田 貴行

BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。

杉浦
杉浦

綺麗で丈夫な京扇子。素敵だけれども、いざ持つとなったら「どんなのを買ったらいいの?」「お手入れってどうしたらいいの?めんどくさい?」となかなか手が出にくいですよね。

今回は京扇子の箔押し職人である米原康人さんに

良い京扇子の条件 / 選び方
良い京扇子のお手入れの仕方

についてお聞きしてまとめてみました。

この記事を読めばいい京扇子の条件と、扇子と長く付き合っていく方法がわかります。
ぜひ、京扇子を選ぶときの参考にしてくださいね。

目次

金彩扇子作家米原康人

参考

金彩扇子作家米原康人とは?
京都府東山区にて扇子の面に金箔を押す職人。
「日本人のアイデンティティを表現する扇子」を作っている。
現在は扇子に限らず、箔押しの技術とレジンを合わせた建材や机など、現代人の生活にあった形で箔押しの技術を活かして活躍中。

杉浦
杉浦

米原さん、本日はよろしくお願いいたします。

米原康人さん
米原康人さん

はい、よろしくお願いいたします。

杉浦
杉浦

ご自身の扇子ブランドを持っていらっしゃるんですね。ブランドコンセプトについて詳しくおしえていただけますでしょうか。

米原康人さん
米原康人さん

京扇子は昔から日用品として、そして芸能に使われる道具として日本人の文化の中心にありました。だからこそ「侘び寂び」や「幽玄」といった古来の日本人の美意識を今生きている人たちのライフスタイルに合った形で表現したいと考え、作ったのがこのブランドです。

杉浦
杉浦

扇子を通じて日本人の特徴や個性を表現されているんですね。

良い京扇子の条件とは?

青い扇子の写真

参考

京扇子を選ぶときの基準
①手に馴染む?
②デザインはどう?
③面の折り目は揃ってる?
④気持ちよく、パチっと閉まる?
⑤結局気に入ったものが一番いい。

杉浦
杉浦

京扇子、キレイで素敵なんですが、いろんな物があって悩んでしまいますよね。何を基準に選べばいいんでしょうか?

米原康人さん
米原康人さん

まず、前提として「京扇子」という表記があると言う事が、しっかり知識を持った職人によって作られていて値段に関わらず、扇子として一定の品質が保たていると考えております。その上で扇子は道具としての側面もありますので、ものによって使い勝手が違ってきます。今日は、どのあたりでその使い勝手が違ってくるのかについてお伝えできればと考えております。

参考

「京扇子」とは、扇面・扇骨・仕上げ加工すべて京都・滋賀を中心とした国内で生産した扇子の事。「京扇子」の名称は京都扇子団扇商工協同組合が有し、組合員だけが使用できる。

杉浦
杉浦

そのような前提を踏まえて、どのようなポイントで扇子を選んだらよいか教えてください。

米原康人さん
米原康人さん

色々ありますが、重視したいのは「使用感」「デザイン」「折り目の揃いかた」「ため」ですね。

【条件①】京扇子 / 使用感

米原康人さん
米原康人さん

京扇子を買うとき、何より確認して欲しいのは「使用感」です。

杉浦
杉浦

「使用感」ですか。そのまま「使っているときの感じ」だと思うのですが、どんなポイントを意識すれば良いでしょうか?

米原康人さん
米原康人さん

使用感を確認していただくときのポイントは「手の馴染み」「使った時の風量」などですね。たとえば、京扇子でも紙扇子には「ため」がありますが、それが「閉じたり開いたりしにくい、もっとスムーズに開いてほしい!」と感じる人は布扇子をお使いいただいたほうが良いと思いますし、仰いだ時の涼しさ(風量)を重視する人はサイズが大きい男性用を使っていただくのがいいでしょう。そういう「トータルしての使用感」をまずは確認していただくとストレスなく、気持ちよくお使いいただけると思います。

杉浦
杉浦

ありがとうございます!気持ちよく使えるのが一番大事なんですね。

【条件②】京扇子 / デザイン

波の和柄

米原康人さん
米原康人さん

次に気にして欲しいのは「デザイン」です。

杉浦
杉浦

次がデザイン!機能面では無いんですね。

米原康人さん
米原康人さん

はい。まずはご自身が気に入ったものを持って頂くのが一番だと思います。持つのはお客様ですから、まずは気に入ったデザインのモノを選んで頂いて、それが手に馴染むかが大事です。機能性のところはその次で良いと思います。

杉浦
杉浦

長い事付き合っていくモノですものね。やはり、愛着が湧くモノを選んだ方がいいんですね。

米原康人さん
米原康人さん

ここからは少し細かな話になります。絶対にこの条件に当てはまらなければ良い扇子ではないというわけではありませんので、参考程度にしてください。

【条件③】京扇子 / 折り目の揃い

扇子職人さんが扇子を折っている画像

米原康人さん
米原康人さん

三つ目に気にして頂きたいのは「面の折り目」です。

杉浦
杉浦

ここに来て扇子の形についての言及がきましたね。折り目とはどういう事でしょうか??

米原康人さん
米原康人さん

見て頂きたいのは「折り目が揃っているか」です。ここの折り目が揃っていないと、畳んだ時に出っ張るところや、引っ込むところが出てしまい、出ている所が擦れて模様がはげてしまったり破れたりしてしまいます。折り目の多い商品は機械折りでも手折りでも多少誤差がでるのでピシッとは揃いません。揃っているというよりは山が親骨の範囲にしっかり収まっていることが大事です。

杉浦
杉浦

なるほど!折り目がデコボコになっていると扇子が傷みやすいんですね。

米原康人さん
米原康人さん

はい。今は機械で折る事も多く、昔に比べると気にしなくても良い部分です。しかし、素材によっては機械では折れないものもあり、職人の腕が問われる部分になってきます。京扇子を選ぶ際は気にしてみてください。

【条件④】京扇子 / 「ため」はどうか

米原康人さん
米原康人さん

四つめに気にして欲しいポイントは扇子の「ため」です。

杉浦
杉浦

「ため」ですか。無知ですみません。「ため」とはなんでしょうか。

米原康人さん
米原康人さん

「ため」というのは扇子の外側の骨の反りの事です。この反りがあることによって扇子は道具を使わなくても閉じた状態を固定できるようになっています。見て頂きたいのは「ため」がしっかりしているか、そして左右がバランスよく反っているかです。

杉浦
杉浦

なるほど!ためが無いと扇子が簡単にひらいてしまうんですね。
左右のバランスは見て確認できると思うのですが、しっかりしているかどうかはどのように確認すれば良いのでしょうか?

米原康人さん
米原康人さん

ためがしっかりしている扇子は閉じた時に「パチッ」と良い感じがします。扇子は開いて使うものですが、閉じている時間の方が多い道具ですので閉じたときの美しさは気にした方が良いでしょう。パチッというのは音というより感覚です。京扇子は着物の帯などに差したり閉めた状態でも魅せる文化の中で発展してきています。これが開閉しにくく鬱陶しいと感じられる方は中国やスペインなどで発展してきた絹扇子を使用されるほうが気持ちいいと思います。

【条件⑤】京扇子 / 自分の好きな物

米原康人さん
米原康人さん

5つ目、これで最後のポイントになります。ここまで色々お話ししてきましたが、最も気にして頂きたいのは「自分が気にいるかどうか」です。

杉浦
杉浦

一番大切なのはそこなんですね!

米原康人さん
米原康人さん

はい。箔押し職人である私が言うのもアレですが、京扇子に限らなくても本当に自分が好きなものを使って頂くのが一番良いと思います。我々としては扇子に興味を持って頂いて「買ってみよう」と思って頂けただけでありがたいので、まずはご自身が「これ欲しい!」と思うものを選んで買ってみてください。細かい事を考えるのはその後でいいと思います。

京扇子を長く使うポイント

扇子と扇子袋を手に持っている画像

参考

京扇子を長く使うポイント
・気をつけるべきポイント
・自分でできるお手入れ
・京扇子の寿命は?
・修理できる場所

杉浦
杉浦

せっかく選んだ京扇子ですから、できるだけ長く使いたいと思うのですが、どんなところに気をつければ京扇子を長持ちさせることができるのでしょうか?そもそも京扇子ってどのくらい使えるのでしょうか?

米原康人さん
米原康人さん

せっかくですのでそこもお話ししていきましょう。とはいっても、気をつけて欲しいポイントはそんなに多くありません。

【ポイント①】京扇子 / 気をつけるべきポイント

米原康人さん
米原康人さん

京扇子を使うとき気をつけて欲しいのは「衝撃」と「水濡れ」です。

杉浦
杉浦

衝撃に気をつけるというのは落としたりぶつけたりするのに気をつければ良いということでしょうか。

米原康人さん
米原康人さん

はい。扇子の構造上、どうしても弱い部分がいくつかあるんです。例えば上から落としてしまうとカナメという扇子の骨を止めている部品が割れててしまう事があります。そして扇子は水に非常に弱いので、できるだけ水に濡れないよう使ってくださると長持ちします。

杉浦
杉浦

なるほど。「優しく扱う」と「水気に気をつける」ですね!

【ポイント②】京扇子 / 自分でできるお手入れ

杉浦
杉浦

京扇子を使っていく上で自分でもできるお手入れはあったりするんでしょうか?

米原康人さん
米原康人さん

はい。もちろんあります。それは扇子を使わないシーズンは「輪っかをはめて置いておく」と言う事です。
どういうことかと言うと、扇子を買って蓋を開けると扇子の先に紙で出来た輪っかが付いていると思います。その輪っかを捨てずに取っておいて、使わない時はそれをはめていて欲しいんです。

参考
  • 使わないシーズンはわっかをつけて箱で保存(湿気対策、香りが入っている場合は香り抜け対策、形状保存対策)
  • 使うシーズンでは扇子入れにいれておく(衝撃対策、擦れ、汚れ対策)
杉浦
杉浦

あの輪っかってつけておいた方がいいんですか!

米原康人さん
米原康人さん

はい。あの輪っかは扇子の型崩れを防いでくれます。普段開いたり閉じたりしているとどうしても形が崩れてくるのですが、輪っかをつけることによってそれをある程度矯正できるんです。

杉浦
杉浦

あの輪っかにそんな意味があったんですね。次買う時は捨てずに取っておくようにします!ちなみに、なくしてしまったらどうしたらいいですか?

米原康人さん
米原康人さん

なくしてしまった場合は、ヘアゴムなどを代用して、扇子を閉じた状態に保つようにしてください。輪ゴムを使う場合はゴムが劣化して、扇子に張り付いてしまう場合があるので、必ず紙を当ててその上から輪ゴムをしてください。

【ポイント③】京扇子 / 京扇子の寿命は?

杉浦
杉浦

今教えていただいた事を守った場合、京扇子はどのくらい持つのでしょうか?

米原康人さん
米原康人さん

その質問にハッキリと答えるのは難しいのですが、基本的には飽きるまでお使いいただけると思います。僕のお客さんでも同じものを10年以上使ってくださった方がいらっしゃいました。その方は、扇子袋に入れて、とても丁寧に扱ってくださっておりました。僕としては、3~5年ごとくらいを目安にメンテナンスの相談をいただければ、扇子をベストな状態で使い続けていただけると考えております。

【ポイント④】京扇子 / 修理できる場所

杉浦
杉浦

丁寧に使っていても壊れてしまうことがあると思うのですが、そのときはどこに持っていけば良いのでしょうか。

米原康人さん
米原康人さん

扇子を製造しているところであればどこでも修理できない事はありませんが、値段が相場より高く付いたりちゃんと治せる保証もないので基本的には買った場所に持っていくのが一番良いと思います。買った扇子を持って言って修理を断られる事は無いと思って良いでしょう。

杉浦
杉浦

万が一壊れてしまっても、それなら安心ですね!

まとめ

杉浦
杉浦

米原さん、色々教えていただいてありがとうございました。

米原康人さん
米原康人さん

こちらこそ、ありがとうございました。

杉浦
杉浦

京扇子は「和」を手軽に身につけられるアイテムです。気になった人はぜひ、一度手に取ってみてください。

ここまで京扇子の選び方と長く付き合っていくポイントに付いてまとめましたが、いかがでしたか?
この記事を参考に自分に合った良い京扇子をみつけてくださいね。

今回ご協力いただいた米原さんの扇子はこちらから。

使うほど手に馴染む京扇子
日本人のアイデンティティを表現するモダン扇子

箔押し職人よねはらやすひとさんの京扇子

経年変化する燻銀を使って日本人の美意識を表現した京扇子。

扇子本体と扇子の持ち運び・保管に便利な扇子袋のセットです。

米原康人
【扇子】燻

この商品をもっと詳しく見てみる

ギフトランキング

\ BECOS編集部が厳選 /

伝統工芸品おすすめランキング発表

\ BECOS編集部が厳選 /

伝統工芸品おすすめ
ランキング発表

ギフトランキング

\ BECOS編集部が厳選 /

伝統工芸品おすすめランキング発表

\ BECOS編集部が厳選 /

伝統工芸品おすすめ
ランキング発表

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次