本記事の制作体制
BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。
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鹿児島の美しいガラス工芸品「薩摩切子」をご存知でしょうか?なかなか高価なため「綺麗で欲しいけど、なかなか手を出しにくい」という方もいらっしゃるでしょう。ただ、それは薩摩切子についてよく知らないからかもしれません。薩摩切子の特徴やその歴史を知れば、値段に見合う価値をきっと理解できるはずです。
そこで、この記事では薩摩切子の歴史や魅力、なぜ高価であるのかを詳しく解説します。また、BECOSおススメの薩摩切子のグラスも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
薩摩切子がどのような伝統工芸品なのか、まずはその概要を解説します。
◎幕末の薩摩藩で島津斉彬によって生み出された工芸品
◎高級素材『クリスタルグラス』を使用し、ガラスにカット加工(切子)を施したもの
◎『ぼかし』と呼ばれるグラデーションが最大の特徴
そもそも「切子」というのは、ガラスにカット加工を施した工芸品の総称です。
英語のカットグラスと同じ意味で、一般的には日本の伝統工芸品である江戸切子や薩摩切子を指して使われるのが多い言葉です。
ガラスに刻まれている文様が、光を屈折・反射させるためキラキラと輝きを放ちます。
なかでも薩摩切子に使われるガラスは、シャンデリアやアクセサリー、バカラのような高級食器にも使用されている「クリスタルガラス」と呼ばれる透明度の高いガラスで、その名の通り、水晶のように強く輝く美しいガラスです。
そして、何よりも「ぼかし」と呼ばれるグラデーションが特徴的。
透明なガラスと色ガラスを重ね、カットし磨くことで、透明なガラスと色ガラスに曖昧な境界線が生まれ、グラデーションを作り出します。
色の濃淡が生むグラデーションにより、見る角度や光のあたり具合で様々な表情を見せるグラスとなります。
元々は幕末の薩摩藩で島津斉彬によって生み出された工芸品で、その芸術性の高さから、海外への輸出品や大名への贈答品として使われていました。
また、江戸幕府の第13代将軍・徳川家定に嫁ぎ、大河ドラマのモデルにもなった「篤姫」が嫁入り道具として携えていたことでも有名です。
一度は途絶えたものの、奇跡の復活を果たした薩摩切子は、幕末の大名たちからも愛され、その美しさは復活した今も変わりません。
ここからは、BECOS Journalがお届けする、プレゼントにもおすすめな薩摩切子のグラスを紹介します。
今回紹介する商品は、全て「薩摩びーどろ工芸」のものです。
1994年創業の薩摩びーどろ工芸は、熔解窯を持つ珍しい切子工房で、自社でガラス生地から創っています。
薩摩切子業界初の「黒」と「茶」の切子を開発し、それぞれ「薩摩黒切子」「薩摩ブラウン」という名で知られています。
手作業にこだわり、伝統的な薩摩切子はもちろん、現代だからこそ味わえる作品作りにも取り組んでいます。
お酒好きな方はもちろん、どんな方にも喜ばれる最高の贈り物です。
鹿児島のシンボルである、「桜島」をモチーフにしたお猪口です。
伝統的な6色には存在しない、現代で新たに作り出された色味である「ブラウン」「黒」の他、「金赤/黒」の3色から選ぶことができます。
特に日本酒が好きな方へのプレゼントとして、ぴったりな贈り物です。
お猪口としてだけではなく、小付け鉢として使用してもおしゃれで、食卓を華やかに彩ってくれます。
純金による、鮮やかな発色が美しい金赤の馬上杯です。
馬上杯とはその名の通り、馬に騎乗したまま飲むための杯で、高台と呼ばれる持ち手の部分が、高くスリムになっているのが特徴です。
現代でもその洗練されたモダンなフォルムは美しく、どんな食卓にも馴染みます。
また、お酒だけではなく、どんな飲み物もいつもより美味しく感じられるでしょう。
馬上杯シリーズは、全6色(金赤・藍・緑・黄・瑠璃・金紫)から選ぶことができ、特に金赤は、赤いものを贈るのが定番の還暦祝いの贈り物としてぴったりです。
業界初!高い技術力を必要とする、黒い薩摩切子のビールグラスです。
こちらの「黒」も、ブラウンと同じく伝統的な6色にはなかった、現代に新たに編み出された新色となっています。
黒色は光を通さないため、他の色ガラスのように、回転する刃の動きをガラス越しに見ながら彫ることができないことから、長年の経験と勘を頼りにカットしなくてはならない、難易度の高い色です。
他の色よりも、手間暇を掛けて生み出された薩摩切子です。
金赤と瑠璃を二重被せにした、グラデーションが美しいロックグラスで、この他「緑/瑠璃」の組み合わせもあります。
ロックグラスはオールドグラスとも呼ばれ、ウイスキーや焼酎のグラスにぴったりなアイテムです。
薩摩切子が生み出された幕末当時にはなかった技法で、現代ならではのセンスによって生み出された、グラデーションを追求したグラスです。
通常の2層構造の薩摩切子よりも、複雑な色の重なりとグラデーションをしており、見る角度や光の当たり加減によって、様々な表情を見せてくれます。
透明なクリスタルガラスに緑と瑠璃の2色を被せ、南国の海を思わせる青のグラデーションを楽しむことができるそば猪口です。
涼を感じる、爽やかな色味に仕上がっています。
暑い夏に、このそば猪口を使って食べるお蕎麦やそうめんなどは、格別に美味しいことでしょう。
この他「金赤/瑠璃」の色があり、和モダンなデザインになっているので、和洋どちらの食卓でも活躍してくれる、マルチなそば猪口です。
ここからは、薩摩切子ならではの特徴を見ていきましょう。
薩摩切子には様々な特徴がありますが、中でも大きな特徴は、色ガラスを削ることで生まれる独特のグラデーションです。
伝統的な技法と発色に加えて、現代に新しく作られた色や技術によって、様々なグラデーションが生まれています。
薩摩切子の最大の特徴は、「ぼかし」と呼ばれるその美しいグラデーションです。
透明なクリスタルガラスの上に、厚さ1~3mmの分厚い色ガラスを被せた「色被せ(いろきせ)ガラス」にカットを施します。すると、切り口に色の付いた部分と透明な部分が生まれ、薩摩切子特有である独特のグラデーションが生まれます。
このグラデーションは、カットの角度や深さによって様々な色を見せ、同じ色ガラスでもカットされている部分ごとに濃淡が生まれるため、色彩豊かな仕上がりとなります。
たった0.1mmの深さを彫るか彫らないかでも、色合いが異なってしまう繊細な作業なため、彫る角度や深さを緻密に計算してカットを施さなくては、美しいグラデーションは生まれません。
巧みな技術があってこそ、色鮮やかさと光の屈折・反射による輝きが生まれるわけです。そのため、一人前のカット職人になるまでには、少なくとも10年は修行する必要があるといわれています。
薩摩切子の最大の特徴である「ぼかし」を最大限引き出したのが、二色衣や二色被せと呼ばれる技法です。
これは、透明なクリスタルガラスに色ガラスを被せた「色被せガラス」に、更にもう一層色ガラスを重ねた、三層構造になっています。
昔ながらの二層構造の薩摩切子にアレンジを加えた薩摩切子が、現代に復元されてから生み出された新しい技法です。
瑠璃金や瑠璃緑などの色が作られており、通常の薩摩切子よりもグラデーションの幅がグッと広がっています。
例えば、瑠璃金であれば「藍」と「金赤」二色の色ガラスを用いるのですが、藍色と金赤によるグラデーションだけではなく、2つの色が混じることで生まれる、鮮やかな紫色も楽しめるのが魅力です。
このように、色を組み合わせることによってグラデーションは更に複雑に変化するため、その魅力はグッと深みを増します。
とても美しい薩摩切子ですが、そのお値段は決して安くはありません。「綺麗で欲しいと思ったけど、さすがに値段が高過ぎる…」と、断念した経験のある方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、薩摩切子の値段が高いことには、明確な理由があります。高価になってしまう理由を知れば、納得感を持って購入を検討できるでしょう。
ここからは、薩摩切子の価格がなぜ高くなるのかを解説します。
1.高価なクリスタルガラスを使用しているため
2.着色に必要な鉱物がそれぞれ違い、値段も異なるため
3.非常に高い技術力を必要とするため
価格がネックで購入を躊躇されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
薩摩切子は、全て透明度が高く、高価なクリスタルガラスを使用しているため、必然的に売価が高くなってしまうのです。
そもそも、一般的なガラスというのは、ソーダガラスと呼ばれる珪砂(けいしゃ)やソーダ灰、石灰で作られています。
ソーダガラスはざっくりと言えば砂が原料で、窓ガラスやガラス瓶などのガラス製品の多くは、このソーダガラスが使われており、最も身の回りにあるガラスです。
対して、薩摩切子に使われているクリスタルガラスは、原料に酸化鉛が含まれており、鉛が加わることで、一般的なソーダガラスよりも光の屈折率や透明度が高くなります。
また、金属である鉛が多分に含まれることによって重量が増し、更には指で弾くと「チーン」と澄んだ音色が響くのも特徴です。
クリスタルガラスはガラスの中でも最上級ともいわれ、クリスタル(水晶)のように美しいことからシャンデリアやアクセサリー、バカラをはじめとした高級食器などに使用されています。
こうした高価なガラスを使用していることに加え、クリスタルガラスの約4割は、製造過程で不純物や気泡が入って不良品として廃棄されるため、必然的に商品として売れる数が少ないというのも、価格を上昇させる一因です。
薩摩切子に欠かせない色ガラスの着色には、様々な鉱物を使用していますが、色ごとに使用する鉱物が異なるため、値段も色ごとに異なります。
例えば 、薩摩藩が日本で初めて発色に成功した「紅」は、深い赤色を生み出すのに銅を使用しています。
特に「島津紫」と「金赤」の場合は、鮮やかな色を生み出すために純金を使用しているため、他の色に比べどうしても値段が高くなる色です。
また、二色被せの薩摩切子は、通常2枚使用する色ガラスを3枚使用しているため、通常の薩摩切子よりも少し値段が高くなります。
薩摩切子の着色・カットには、高度な技術力を必要とします。そのため、生み出される作品には、その技術力に見合った高い値段が付けられるのです。
特に「紅」や「黄色」は発色が難しいとされている色で、紅の奥深い色を出すには高い技術が必要とされ、「職人泣かせの色」ともいわれます。
更にカットは、一人前の職人になるまでに少なくとも10年は修行する必要があるといわれるほど、高度な技術力が求められます。
一口にカットといっても、正確な「線」を引き、適切な「角度」で切り込み、カットする「深さ」を自在に調節する腕が必要なのです。このように、着色やカットは一朝一夕でできるものではなく、そこには職人の技術や苦労が詰まっています。
巷では、ネットオークションやネットフリーマーケットなどで中古の薩摩切子が出品されています。本物の薩摩切子を中古(または未使用品)として、本来の値段よりもお手頃な値段で購入することも可能ですが、中には薩摩切子を謳っているだけの類似品や偽物が出回っているのもまた事実です。
非常に精工に作られた類似品の場合は、素人目では本物との区別が付かないこともありますので、購入の際は、公式サイトや専門の取り扱い店などで購入されることをおすすめします。
日本の伝統工芸として有名な、薩摩切子と江戸切子。
どちらの切子も江戸後期に誕生しましたが、その誕生の背景や歴史、そして技法には大きな違いがあります。
これまで紹介してきた「ぼかし」は薩摩切子特有の技法ですが、それに対し江戸切子は、色ガラスと透明なガラスとの境目がハッキリ分かれているのが特徴です。また、薩摩切子のグラスの「飲み口が透明」であることも、江戸切子との違いです。
江戸切子のガラスは薄く、耐久性を出すために(飲み口部分を含め)透明ガラスに色ガラスが被せられています。一方、薩摩切子は一枚のガラスに十分な厚みがあるため、透明ガラスだけでも耐久性を保つことができ、グラスの中でいちばん厚みが薄くなる飲み口部分であっても、むしろ厚みを削ることによって、口当たりが良くなるようにしてあるのです。
こちらの記事では、薩摩切子と江戸切子の違い、価格の違いや薩摩切子と江戸切子の見分け方についても解説。また、BECOSおすすめの薩摩切子と江戸切子も厳選して紹介していますので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
薩摩切子が生まれたのは江戸後期、いわゆる幕末と呼ばれる時代の薩摩藩です。
しかし、一度その技術は途絶えてしまい、近年になってようやく復元されました。
ここからは、薩摩切子の歴史について解説します。
薩摩切子の成り立ちを知ると、よりその価値の高さを理解できるでしょう。
そもそも、薩摩藩の島津家に江戸のガラス技術が伝わったのは、第27代藩主「島津斉興(なりおき)」の時代でした。
斉興は腕利きの職人を薩摩へと招き、本格的なガラスの製造を開始し、この頃はガラス器具の製造など、実用的なガラス製品作りがメインでした。
その後、1851年に第28代藩主「島津斉彬(なりあきら)」の時代になると、切子文化が花開きます。
島津斉彬は、切子を薩摩藩の主要産業にしようと試み、色ガラスの研究・カット技術の研鑽が奨励されました。
この背景には、作物が豊富ではない薩摩藩を、産業により盛り立てようという狙いがあってのことでした。
その結果、紅・藍・紫・緑といった様々な色ガラスを生み出すことに成功し、中でも「紅ガラス」は日本で初めて薩摩藩が発色に成功したため「薩摩の紅ガラス」といわれ、藩の内外で珍重されるようになり、薩摩切子を代表する色となりました。
このように薩摩切子は、 薩摩藩の全面バックアップにより莫大な資金を投じて官営の事業として推進されたため、短期間のうちに海外からさえも注目されるガラス作品を製造できるようになったのです。
その美しさから、大河ドラマのモデルになった篤姫の嫁入り道具にも用いられた薩摩切子でしたが、強力な後ろ盾であった島津斉彬の急死により瞬く間に衰退することとなります。
多くのガラス工場が閉鎖され、1863年の薩英戦争で工場が焼失し、1877年の西南戦争が起こった頃には、薩摩切子の技術は完全に途絶えることとなりました。
島津斉彬が藩主だったのは1851年〜1858年のわずか7年間で、その後急速に衰退したため、薩摩切子は「幻の切子」と呼ばれるようになってしまいます。
そのため、現存する幕末当時の薩摩切子は、非常に貴重な品となっています。
こうして一度はその技術が途絶えてしまった薩摩切子でしたが、1984年(昭和59年)に島津家の末裔である島津興業が、鹿児島県からのオファーを受け復元に取り掛かりました。
そして、島津家に残されていた当時の資料・写真や、残された薩摩切子の実物をもとに、約100年振りの復元に成功します。
グラデーションを付けるための独特なカット技術はもちろん、伝統的な「藍」「緑」「黄」「島津紫」「紅」「金赤」の6色の発色にも成功し、薩摩切子は完全復活を果たします。
翌年1985年(昭和60年)には、ゆかりの地である鹿児島市に薩摩ガラス工芸が設立されました。
このように、一度は完全にその技術と伝統が途絶えてしまった薩摩切子でしたが、現在では見事復元に成功しています。
そのため現在では、近年製造された「復元後の薩摩切子」と、幕末当時に製造された「アンティークの薩摩切子」の2パターンが存在しています。
復元だけではなく、新たな色の開発や新しい技法の誕生など、幕末当時の薩摩切子にはなかった技術も編み出されています。
薩摩切子はグラスに限りません。
薩摩切子の本拠地・鹿児島市にある高麗橋には、薩摩切子の街灯(写真3~5枚目)が使用されており、行き交う人々の足元を優しく照らしています。
薩摩切子の製造過程で、気泡などが入ってしまったガラスは、これまで破棄されてきました。
しかし、使用されているクリスタルガラスは高級であり、器として光を見ることができなかったガラス(廃材)であっても、形を変えて薩摩切子として日の目を見ることができるのでは…という取り組みが生まれました。
アクセサリーや名刺入れ、ゴルフマーカーなど、様々な形で廃材のガラスが生まれ変わっています。
このように、薩摩切子は今なおバージョンアップし続けている伝統工芸なのです。
薩摩切子の特徴である透明ガラスの上に被せられた色ガラスには、様々な色の種類があります。
1.伝統的な色6色:藍・緑・黄・島津紫・紅・金赤
2. 新しい技法によって生まれた新色:古式(淡い飴色)・ブラウン・黒
伝統的には「藍」「緑」「黄」「島津紫」「紅」「金赤」の6色があり、これらの発色は全て原料となる鉱物や、温度の違いによって生み出されています。
●藍(写真上段左):藍は薩摩切子の代表的な色。落ち着いた深みのある藍色です。篤姫が嫁入り道具とした薩摩切子もこの色の切子でした。
●緑(写真中段右):爽やかで鮮やかな緑。モダンな色合いをしており、江戸末期に作られたものは、現在2点しか発見されていません。
●黄(写真下段左):レモンイエローのような透き通った鮮やかな黄色。文献では黄金色と記されており、発色や色の管理に経験が必要な大変難しい色として知られます。
●島津紫(写真下段右):上品で深みのある紫。各色の中でも唯一「島津」の名がついた色です。島津斉彬は紫色にこだわりがあったようで、島津の名が付けられました。鮮やかな発色を作り出すために、純金が使用されています。
●紅(写真上段右):江戸時代「薩摩の紅ガラス」と呼ばれ、大変珍重された濃い赤色。独特な深みのある赤色は、銅を使って発色させています。日本で初めて薩摩藩が発色に成功した薩摩切子伝統の色です。
●金赤(写真中段左):紅に比べ華やかで透明な赤色。銅ではなく純金を用いることで、鮮やかな発色に成功しています。江戸時代の文献に記載はあるものの、当時の品は現存していないため「幻の色」といわれることもあります。
以上が、江戸時代末期に編み出された伝統的な6色ですが、この他にも 「古式」と呼ばれる淡い飴色のような、薄く淡い黄色の発色にも成功しています。
また、薩摩切子は伝統技法の復元だけでなく、新しい技法の開拓も積極的に行っています。
幕末当時は存在しなかった色として「ブラウン」と「黒」が開発され、どちらも現代でしか味わえない色合いになっています。
特に黒は光を通さないため、ガラス越しに透かしながら削ることができないため、長年の経験と勘を頼りにカットしなくてはならない難易度の高い色です。
そのため、他の色ガラスよりも、2~3倍もの時間が掛かります。
これらの色に加えて、「二色衣・二色被せ」という新たな技法も確立。
◎透明ガラスに色ガラスを重ねた『色被せガラス』+色ガラスの三層ガラスが生んだカラーバリエーション
・瑠璃金赤(るりきんあか)
・瑠璃緑(るりみどり)
・蒼黄緑(あおきみどり)
伝統的な透明ガラスに色ガラスを重ねる「色被せガラス」に、更に色ガラスを重ね三層のガラスにすることで、色に深みとバリエーションを生みました。
二色被せは「瑠璃金赤(るりきんあか)」「瑠璃緑(るりみどり)」「蒼黄緑(あおきみどり)」の3色があります。
いずれも、鹿児島県の豊かな自然をモチーフにした色です。
●瑠璃金赤(写真左):外側に瑠璃色、内側に金赤が重ねられています。色の重なりで、紫色に見えるため、3色を同時に楽しむことができ、夕暮れの赤と紫が混じりあった空のグラデーションが表現されています。
●瑠璃緑(写真右):外側に瑠璃色、内側に緑が重ねられています。深みのある青色から透明感あふれる青色まで、グラデーションと変化を楽しめます。瑠璃緑は、南国の海を表現しています。
●蒼黄緑(写真中央):外側に蒼色、内側に黄緑が重ねられています。深い緑と、鮮やかな黄緑の変化とコントラストを楽しめます。蒼黄緑は、新緑の山々を表現しています。
このように二色被せのグラスは、複数の色合いを同時に楽しむことができ、見る角度や光の当たり方で様々な表情を見せてくれるのが特徴です。
加えて、薩摩切子ならではのグラデーションによる変化もあるため、幅広い色の変化を楽しめるようになっています。
高価な伝統工芸品である薩摩切子。
そのため、大事に保管して購入時の状態を長く保ちたいですよね。
ここでは、薩摩切子の手入れ・保管の仕方と注意点を解説します。
薩摩切子のグラスを使用した後は、中性洗剤を使用して柔らかいスポンジで手洗いしましょう。
当然ながら、硬いスポンジや金だわしなどは、傷が付いてしまうためNGです。目に見えない傷でも割れやすくなるため、丁寧に扱いましょう。
洗う際は、他の食器やグラスとぶつかって傷付いてしまわないように、他のものと分けて洗うことをおすすめします。また、自然乾燥させると水垢の原因になるため、布巾やグラス用のクロスなど柔らかい布でしっかりと水気を取るようにします。
グラスを使用していると、曇ってしまうことがあります。そんな場合は、以下のように対処するのがおすすめです。
●水垢の場合:ぬるま湯にクエン酸を溶かし、キッチンペーパーに含ませ拭き取る
●油汚れの場合:ぬるま湯に重曹を溶かし、キッチンペーパーに含ませ拭き取る
いずれの場合も、クエン酸や重曹の粒が残っていると傷の原因になるので、しっかり溶かしてから拭き取りましょう。拭いた後は、そのまま中性洗剤で洗い流せば完了です。
薩摩切子を長く使用するためには、『傷』と『温度変化』に注意しましょう!
薩摩切子は、色ガラスを被せていることで分厚くなっていますが、飲み口の部分は比較的薄く作られていますので、乾杯の際や、洗った後に乾かす際などには、傷が付かないように注意してください。
特に収納する際は、ガラス同士がぶつかってしまわないように離して保管するのがおすすめです。重ねて収納する際は、間に紙や布など、クッションとなるものを挟みましょう。
薩摩切子に使用されるクリスタルガラスは、「急冷急熱」に大変弱い素材ですので、直接熱湯を注いだり、大量に氷を使用したりすると割れてしまう危険性があります。耐熱ガラスではないのでお湯割りはできませんし、焼酎やウイスキーなどをロックで楽しむ際も、氷の入れすぎには注意してください。
他にも、高温の水を使用する食器洗浄機も使用不可ですので、手洗いで丁寧に洗うようにしましょう。ただし、人肌くらいの温度であれば大丈夫なため、冬場に温水で手洗いする分には問題ありません。
傷と温度変化に注意して、せっかくの美しい薩摩切子が割れてしまわないようにしましょう。
鹿児島県を代表する、伝統工芸「薩摩切子」について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
薩摩切子は、ただ伝統的な技術を受け継ぐだけではなく、進化し続ける伝統工芸品です。幕末の動乱により一度は途絶えてしまったものの、大勢の方々の努力によって復元された薩摩切子。
その品質の高さは折り紙つきで、プレゼントにも最適なワンランク上のアイテムです。自分へのご褒美や、お祝い事のプレゼントにいかがでしょうか。
薩摩切子は鹿児島県を代表する伝統工芸品です。薩摩切子に使われるガラスは、シャンデリアやアクセサリー、バカラのような高級食器にも使用されている「クリスタルガラス」。透明度が高く水晶のように輝く美しいガラスです。最大の特徴は「ぼかし」と呼ばれるグラデーション模様。クリスタルガラスと色ガラスを重ねることでガラス同士の曖昧な境界線、色の濃淡が生まれます。見る角度や光のあたり具合で様々な表情を見せるグラスとなります。薩摩切子の良さについてこちらで紹介しているので、ちょっとのぞいてみませんか?
江戸切子と薩摩切子は飲み口が透明かどうかで見分けることができます。また、江戸切子のガラスは薄いのに対して、薩摩切子のつくりは重厚。美しさと頑丈さを兼ね備えた薩摩切子は幕府だけでなく欧米への輸出品としても選ばれていました。大河ドラマ「篤姫」で篤姫の嫁入り道具にも選ばれるほどの高価な品でした。薩摩切子と江戸切子の違いについてはこちらで紹介しているのでぜひみてみてくださいね。江戸切子やそのほか切子についてはこちらでも解説しています。
1位
「彩-irodori-」バスタオル2枚 & フェイスタオル2枚セット。あらゆる贈答シーンに対応し、どのような方も思わず笑顔にさせる大満足の逸品です。
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4位
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★★★★★
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