本記事の制作体制
BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。
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「カシミヤ」と言えば、ふわふわで心地良い肌触り、最高の着心地、というイメージですね!
でも、「カシミヤ」について詳しく知っている人は、意外に少ないのではないでしょうか。
今回は、カシミヤの特徴や魅力、高価な値段の理由やお手入れ方法などについて、カシミヤを専門に扱う日本の高級ニットブランド・UTO(ユーティーオー)の片山さんにお話を伺いました。
「日本のカシミヤニットを世界へ」1992年に東京・青山でニットメーカーとして創業。 自社で一貫して、企画・製造・販売をする世界でも数少ないカシミヤニット専門ブランド「UTO」を運営。岩手県北上市に自社工場があり、年中カシミヤニットを作るUTOカシミヤ職人が「カシミヤに関してはどこにも負けない」という自信とプライドを持って製造している。 長年のカシミヤニット制作で培った技術と日本人のもつ丁寧なもの作りをカシミヤニットに乗せて、日本製の品質にこだわり、世界の人たちに『カシミヤニットといえばUTO』と評価されるブランド・モノづくりを目指している。
カシミヤとは、そもそも何から採れる毛でできているのですか?
カシミヤ山羊という山羊から採れる毛でできています。
羊ではなく、山羊なんですね!
カシミヤ山羊の生息地は中国、モンゴル、ネパール、イラン、ロシアなど、中央アジアの国の山岳地帯で、夏は30度以上、冬はマイナス30度以下の気温差がある厳しい環境の中で暮らしています。
30度からマイナス30度って、ものすごい気温差ですね!
ニットや織物で使われているカシミヤというのは、表面を覆っている毛(粗毛)の下に生えている、柔らかいうぶ毛(柔毛)のことです。
その柔毛は、厳しい冬の寒さから身を守るために寒くなると生えてきて、春になり暖かくなると自然に抜けて落ちます。それを、熊手などを使いながら漉いて採取します。
寒暖の差が極端に激しい地だからこそ生まれたのが、カシミヤなのですね。
そうです。カシミヤ山羊が厳しい環境を生き抜くために「神様が与えた贈り物」のようで、それを頂いていると思っています。
「カシミヤ」イコール「高級」、つまりお値段が張るイメージがあるのですが、どうして高くなるのでしょう?
カシミヤは希少な素材で、その上糸になるまでにとても手間がかかっているためです。そのためカシミヤは、需要がたくさんあっても大量生産できるものではありません。
具体的にはどう意味ですか?
まず、糸が採れる量が少ないんです。普通の羊なら1頭から200g-500g程度の糸が採れますが、カシミヤ山羊1頭からは約170gしか糸が採れません。だから、セーター一着をつくるのに2、3頭分の毛が必要になります。
また、工程には非常に手間がかかります。羊なら外側の毛も使えますが、カシミヤは内側の産毛のみを採取します。羊の毛のようにバリカンなどの機械は使わず、手作業で、熊手を使って抜けた毛を漉いて集めています。
無理に抜き取るのではなく、自然に抜けた毛を丁寧に漉いて集めるのですね!大変な作業ですね!
そうなんです。内側の柔らかい毛だけを使うので、外側の粗い毛が入っていたら、取り除かなければいけません。
そのほか砂やゴミなどを取り除いたりする作業もありますし、不純物が入っている割合のチェックはとても厳しいです。
採取できる量が少なく、細かい手作業ですべてを行って、チェックも厳しいとなると、お値段が高くなるのも納得です!
カシミヤの中でも、割と手軽なお値段のものもありますし、本当に値が張るものもありますよね。どうしてですか?
どのようなものが等級が高いのですか?
等級の高い原毛ほど、毛の繊維が細く、長くなります。一等級の原毛からでき上がるニットは、毛が細いのでやわらかく、また毛が長いので光沢があります。例えばシルクは一本の糸でできているので、光沢がきれいでしょう?
そう言われてみればそうですね!
また、生息する環境によって採れる毛が変わってきます。過酷な環境であればあるほど、一等級に近いものが採れます。
例えば一等級の原毛が採れる中国のアラシャン地方は、冬はマイナス30度まで下がります。この厳格な寒さから身を守るために、より繊細な産毛がつくられます。
最高等級である一等級はカシミヤの中でも特に希少で、良いカシミヤ特有の、光沢や艶、特有のヌメリ感があります。年によって変わりますが、高級なカシミヤはウールの10倍以上の値段がつくこともあります。
カシミヤにも色々なものがあることがわかりましたが、良いカシミヤを見分けるための方法はなんですか?
そうですね、一つの基準は、カシミヤ100%の証明書でしょうか。
そういうものがあるのですか?
はい、「カシミヤ100%タグ制度」というのがあり、ケケンという糸の成分を出してくれる日本唯一の機関が証明書を出してくれます。それがあれば、間違いなく「カシミヤ100%」です。
一般財団法人ケケン試験認証センター(略称ケケン)
1948年、 商工省(現・経済産業省)の認可を受け公益法人(財団法人毛製品検査協会)として設立。第三者的な立場に立った試験・認証機関で、繊維製品等の用途に応じて必要なあらゆるテストを行う。カシミヤ製品に対する適正な品質表示を実現するため「カシミヤ100%タグ制度」を実施。
それは買うときに確認できますね!あとは等級の高い原毛を使っている、ということでしょうか。
そうですね。それも一つの基準だと思います。ちなみにUTOは、「最高等級」の原毛にこだわり使用しています。
あとは、肌触りが好みかどうか、ということだと思います。「肌触り」は「原毛」だけでなく「紡績」「編み方」「洗い方」によって変わり奥が深く、ふんわりした肌触りだったり、しっとりとした肌触りだったり、ブランドごとに異なります。
では、自分の好みのブランドや商品を見つけていくのが楽しみですね。
はい。等級や良し悪しに関係なく「自分の肌にあった肌触り」を見つけられたら、より心地よく長く着たくなりますので、ぜひ自分好みの一品を探してみてください。
カシミヤは「軽いのに暖かい」というところが魅力だと思いますが、どうして軽やかな生地なのにあんなに暖かいのですか?
衣服で暖かさを保つ役割をするのが、実は「空気」なんです。暖かさを保つためには、外の冷たい空気を防ぎ、自分の体温を逃がさないことが大切です。
動く空気(風など)は肌寒く感じますが、動かない空気は断熱効果が高いので、衣服の繊維の中にたくさんの動かない空気を蓄えることができれば「あったかい」と感じられます。
衣類はほどんどが糸からつくられていますが、その原料となる綿や毛などの繊維が細ければ細いほど、たくさんの空気を蓄えることができます。ビキューナなど特別ルートで販売されている製品を除くと、一般的に販売されているウール製品の中で一番細いのはカシミヤの毛です。
通常のウールよりどのくらい細いのですか?
カシミヤの繊維の太さは約13.5~16.5マイクロン(1マイクロンは1/1000ミリ)です。モヘアが約34~40マイクロン、一般の羊毛が20マイクロン前後ということから、カシミヤがいかに細いかということがおわかりになると思います。
繊維が細いからこそ、暖かさに加え、軽く、柔らかいということにもなるんですね!
軽さと暖かさ、極上の肌触りはもちろんのこと、それを身につけることから生まれる「精神的な心地よさ」が、個人的にはカシミヤの一番の魅力だと思っています。
UTOではブランドとしてもそれを伝えていて、「身も心もあたたまる」、そんなカシミヤの良さを私たちは「御馳走」と呼んでいます。
最高級の素材で丁寧につくられた、自分にとって心地良いものを身に着けるのは最高の贅沢ですから、「御馳走」という表現はぴったりですね!
良いものは多少お値段がしても長く使えるというのが魅力だと思いますが、カシミヤもそうなのでしょうね。
そうですね。UTOのお客様にもレピーターや、長年使ってくださる方が多いのが特徴で、20年使われたニットを着て来られたり、「何十年ぶりに買いにきました」と仰られる方もおります。
最高の原料で、丁寧につくられているからこそ、長く着ることができて、また、レピート買いされる方も多いのでしょうね。
弊社ではほぼすべての製品に、東洋紡糸さんのある一種類の糸を使っています。
東洋紡糸
明治12年(1879年)に創立された、日本の繊維産業発祥の工場・桑原紡績所を前身とする、日本を代表する紡績会社の一つ。昭和5年(1930年)にカシミヤ糸の生産を国内で初めて行い、以来、純国産のカシミヤ糸を世界に誇るトップレベルの品質で生産し続ける。高級な糸を紡績する世界的な協会であるCCMI(カシミヤ・キャメルヘア工業会)の役員に名を連ねる。
糸を変えると、一から研究しデータをすべて変えなければいけなくなります。それなら、一つの糸にしぼって研究した方が良いものを提供できる、という考えで行っています。
たくさんのこだわりから、長く愛用できるカシミヤができ上がるのですね!
カシミヤをより長く良い状態着るためには、どんなことに気を付けたらいいでしょうか?
毎日続けて着るのではなく、一日着たら2、3日休ませることが大切ですね。
それはどうしてですか?
型崩れしてしまう可能性があります。例えば運動をした時、ニットは動きにあわせて伸びます。伸びた後は、カシミヤは自然素材ですので「休ませる」と元の状態に戻ろうとするのですが、毎日着続けてしまうと元の状態に戻れず、歪んだ状態が癖になってしまうこともあります。
休ませないと、形が崩れていってしまうのですね!
そうなんです。それから毎日着続けると、体から蒸発した水分などが溜まってきてしまいます。でもカシミヤは、動物の毛から採った天然の繊維で呼吸をするので、水分を吸った後に休ませる時間があれば、放出してリセットしてくれます。
生きている素材だから、休ませて自然に元に戻ってもらうことが長く着られるコツなのですね!
それから、ニットはどうしても毛玉が気になるのですが、どうケアしたらよいですか?
毛玉ができる原因は、「摩擦」と「湿気」と「熱」です。摩擦を減らすためには、先ほど触れたように毎日着ないというのが大切です。また、重ね着や、カバンの紐などがあたって摺れる部分なども要注意です。
湿気や熱に関しては、ジャンパーやウィンドブレーカーなど蒸れやすい上着の中にニットを着て、運動をしたりシートベルトがずっと当たっていたりすると毛玉ができやすくなるので、そういう部分に注意したら良いと思います。
日常でちょっと気を付けてみたら違うかもしれませんね。毛玉ができてしまった場合は、どうしたらいいですか?
市販の毛玉取り機で表面をそっとなでるように取り除いていただければ良いと思います。
それから、ブラッシングはした方がいいのでしょうか?
毛玉ができる元は、繊維の切れ端など小さな異物が付着したり、静電気で繊維同士がくっついて絡まり始めるなどです。それらを避けるためには、ブラッシングが一番です。
着用してしまう前に、優しくブラッシングしてあげるだけで大丈夫です。
大した手間ではないですよね。でも、面倒な気がしてしまって、なかなかできなくて…。
そこまで神経質にならなくて大丈夫です(笑)。ブラッシングをすることより、洗濯をきちんとしていただく方が大切だと思います。
カシミヤについて、ぜひ伺いたいのが洗濯の方法です。お家で洗濯して大丈夫なんですか?
「クリーニング屋さんに出した方がいいですか?」とよく聞かれますが、ご家庭の方が逆にいいのではと思います。
というのは、「フェルト化」にのみ気をつけていただければ、簡単にご自宅で洗濯いただけるからです。「フェルト化」は温度と摩擦によって起こるので、「水で」「一枚一枚ネットに入れて」「手洗いモードなど一番優しいモードで」という点に気をつけていただければ、実は簡単にカシミヤは洗濯できます。
カシミヤは高級なイメージなので、家で洗うのが恐ろしい気がするのですが…。
カシミヤの毛は、キューティクルの突起が小さく絡まりにくいため、普通のウールより実は洗濯しやすいんです。一回やれば、すごく簡単だとわかりますよ。
注意点は二つで、「温度」と「摩擦」です。先ほど申し上げたように、フェルト化の原因になるからです。
フェルト化とは、フェルトのように縮んで堅くなってしまうことですか?
そうです。毛が絡まって戻らない状態のことを言います。
30度以下の水で、ネットに入れて一番優しいモードで洗濯機洗いすれば大丈夫です。一枚ずつ、短時間で洗うのがポイントです。
洗濯機で大丈夫なんですか?!
大丈夫です。ただ、ドラム式洗濯機はダメージが強すぎるので推奨していません。
手で洗ってもいいんですか?
手洗いでももちろん大丈夫です。ニットは強く押さなくても汚れがとれますので、軽く押し洗いか振り洗いしていただければ大丈夫です。ただ、脱水は脱水機の方がおすすめです。
脱水機で大丈夫なんですか?!
脱水機では遠心力で同じ力で水分を飛ばしていくので、手で絞るよりむしろ繊維に優しんです。
意外ですね…。
乾燥は自然乾燥で、形を整えて風通しのよい日陰で「平干し」してください。ハンガーなどで吊るして干すと、伸びてしまうので注意してください。平干しネットを利用したり、床にタオルを置いて広げても大丈夫です。タオルの上で干す場合は、半日に一度くらいタオルの位置を変えてください。
洗濯の頻度はどのくらいがいいですか?
ワンシーズンに一回ほどの洗濯で大丈夫です。ただ、それでは足りないという方は、UTOのカシミヤはきちんと材料を使ってしっかり編まれていますので、もっと洗っていただいても大丈夫です。
最後に虫食い対策はどうしたらいいですか?
特に難しいことはないですが、日陰の風通しのいい場所で、防虫剤を衣類の一番上に置いて保管していただけたら、と思います。衣類の下だと、成分が全体に行き渡りません。
大切にケアしても、虫食いなどで穴が開いてしまった場合は、直していただけるのですか?
うちでつくっている製品は、有料になりますが、お直しを承っております。穴が開いた場合、通常3cm以内であれば修復できます。
お直しはどんなケースが多いのですか?
ほとんどはひっかけか、虫食いの穴ですね。汚れはうちの範囲外ですが、汚れでお問い合わせをいただいたことはほとんどないと思います。カシミヤは汚れがつきにくく、また汚れが落としやすい性質ですので。
本当にカシミヤは優秀ですね!原毛の段階から詳しく教えていただいたので、カシミヤについて大分わかってきたように思います。今日はどうもありがとうございました!
「カシミヤが洗濯機で洗える」というのにはびっくりしましたが、手の届かないもの、というカシミヤのイメージが、いっぺんに親しみやすいものに変わりました。
今回、カシミヤの原材料からつくり、特徴や魅力などを教えていただいて、「なぜカシミヤが良いのか」が納得できるようになったと思います。
お手入れも思いのほか簡単なので、お気に入りの一品を手に入れて、長く大切に着てみたいですね!
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