本記事の制作体制
BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。
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皆様は日本の伝統工芸が何種類あるかご存知でしょうか?ネットで調べてみると、一番上に出てくるのは青山スクエアさんの記事で「240種ある」と書いてあります。しかし、これは伝統工芸の数では無く、正しくは「国が指定する伝統的工芸品」の数です。そこに県に指定されているものや国や県に指定されていなくても伝統工芸と呼べるものをふくめると、全国には1200種類もの伝統工芸が存在しています。
今の状態だと何を伝統工芸と呼べば良いのか分かりにくいので、今回の記事では何を基準に伝統工芸と呼ぶのかを考えてまとめてみました!
伝統工芸と呼ばれるものに明確な基準は存在していません。国や各都道府県によって指定の条件は違いますし、それぞれの基準も抽象的でていねいな審査を通して指定が行われます。なので明確に数値として「この基準を満たせば伝統工芸」という基準を示すのは難しいでしょう。その上で国や伝統工芸の言葉の意味や国と各都道府県の指定要項を参考にして伝統工芸の基準について考えていきたいと思います。
伝統工芸の基準を考える上で、まずはその言葉の意味から考えていきましょう。
とある辞書によると、伝統とは
伝統・日常の中にある事・美しい事、この三要素が重要なんですね。
次に国や各都道府県の定める伝統工芸の基準をまとめます。
まず、国が指定する伝統的工芸品の基準は以下のものです。
1.主として日常生活の用に供されるものであること。(美術品は含まれない)
2.その製造過程の主要部分が手工業的であること。
3.伝統的な技術又は技法(注)により製造されるものであること。
4.伝統的に使用されてきた原材料(注)が主たる原材料として用いられ、 製造されるものであること。
5.一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又は その製造に従事しているものであること。 (30名以上もしくは10企業以上)
(注)具体的には100年以上の歴史を有していること。
これらの基準をクリアしたものが伝統的工芸品と名乗る事を許されます。
そしてこの5条件に該当するかを調べるため文献や今残っている物の精査や書類の作成を行うので、認定のためには通常2年以上の期間を要します。伝統的工芸品の指定は国から呼びかけられるものではなく、自分で国に申請をする必要があり、文献や今残っている物の準備も自分達で行わなければなりません。なので、国から伝統的工芸品の指定を受けようと思うとかなりの労力・時間が必要になります。伝統的工芸品の数が伝統工芸全体から見てかなり少ないのはここがネックになっているんですね。
次に各都道府県が定める基準をいくつかピックアップしてみます。
次の1から3までのいずれにも該当し、4又は5のいずれかに該当するもの
1.主として日常生活の用に供されるものであること。
2.製造過程の主要部分が手工業的であること。
3.一定の期間、県内において当該工芸品が製造されているもので、将来にわたって製造の継続が見込まれること。
4.製造技術又は技法が地域に継承されていること。
5.郷土の風土、暮らし及び資源等を題材または素材とし、優れた技術又は技法により製造され、品格を備えていること。
1.製造過程の主要部分が手工業的であること。
2.伝統的な技術又は技法により製造されたものであること。
3.主たる原材料が、伝統的に使用されてきたものであること。
4.一定の期間、おおむね10年以上、県内で製造されているものであること。
以上が県指定の基準ですが、その前提となる「工芸品」の定義については、一般的に「美術的意匠(いしょう)と技巧とによって、美感を与えると同時に日常生活に役立つ品物」と解釈されています。
(「伝統的」とは技術・製法の確立が大正以前である事を指す)
1.主として、日常生活の用に供されるもの
2.製造過程の主要部分が手工業的であるもの
3.伝統的な技術・技法により製造されるもの
4.伝統的に使用してきた原材料を主たる原材料とし制作されるもの
5.おおむね30年以上の歴史を有するもの
今回は岐阜県・千葉県・熊本県の指定要項をピックアップしてみました。それぞれで歴史の長さの指定に違いがあったり、県内で製造されている期間の指定があったりと違いがあります。
ここまで国の基準、そして各都道府県の基準をいくつかピックアップしてみました。それぞれ違いはありますが重要な部分は共通しています。
・日常生活の用に供されるものであること
・主要な製造工程が手工業的であること
・伝統的な技術・製法によって作られるものであること
・伝統的な材料を使って作られるものであること
伝統工芸と呼ぶにはこれらの要素は不可欠である事がわかります。ここで問題になってくるのは「伝統」をどのくらいの期間で見るかです。私が調べたところ最も短い期間を制定しているのは鹿児島県・熊本県の30年です。少なくとも30年以上の歴史を有していれば伝統工芸として認める公的機関が存在しています。ということは、30年以上の歴史が有って上に挙げたような4項目を満たしていれば世間的に伝統工芸と呼べるの
ここまで伝統工芸という言葉の意味、そして国や各都道府県の基準を参考に伝統工芸の基準について考察してみました。ここで考察した基準というのは国や各都道府県が定めた内容をまとめたものです。はじめに書きましたが「これさえあれば伝統工芸」という基準を設けるのはとても難しいでしょう。
伝統工芸について考える上で頭に入れておかなければいけないのは「伝統工芸は人々の生活と共に発展・変化してきた物」である事です。技術の継承を行い、形を変えながら存在している工芸とその作り手が日本にはたくさん存在しています。「形は変わっても、受け継がれてきた技術によって作られたものであれば伝統工芸と呼べる」というのが個人的な見解です。
BECOSでは独自の基準で日本全国の伝統工芸1200種類を紹介しています。伝統工芸を愛する皆様の出会いの機会になればと思います。よければ読んでみてください。
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