本記事の制作体制
BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。
BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。
今回は、漆の蝶ネクタイなどの新しい伝統工芸アイテムを企画されているしゃかいデザイン株式会社の宇田川さんにこれからの伝統工芸とIT化についてお話を伺いたいと思います。
しゃかいデザイン株式会社は、IT系人材育成や社会システムデザインのサポートを行う会社。AIやクラウド技術などを短期に習得するプログラムを提供し、人材育成を行うかたわら日本の伝統工芸をわかりやすく紹介するコミュニケーションプラットフォーム「てしごとクラブ」を運営。
宇田川 燿平
東京大学教育学部卒業後、日興証券に入社し証券アナリストに従事。1990年デュオシステムズを設立、代表取締役に就任。2004年東証マザーズに上場し、電子政府、電子自治体の普及を推進。2010年しゃかいデザイン株式会社設立、代表取締役に就任。広島県庁、内閣官房知的財産戦略推進事務局(JAPAN NEXTキャンペーン)、中国(ニューシティーマスタープラン策定)等のプロジェクトに参加。中小企業基盤機構中小企業大学校BusiNestメンター。
御社の社名である「しゃかいデザイン」について教えてください。
いつも説明が難しいなと感じるのですが、私が代表を努めている「しゃかいデザイン株式会社」は、社会をまちづくりのようにデザインするというコンセプトを持って立ち上げた会社です。
「社会」をデザインするという考え方があるのですね。
そうですね。「社会システムデザイン」という考え方がありまして、新しい社会を築くには、その社会の仕組み自体をデザインする必要があるという考えなのですが、そのような分野に興味があり、また専門として研究をしていたこともあり「しゃかいデザイン」という会社名にしました。
なぜ、そのような会社の方が「伝統工芸」の分野に取り組もうと思われたのですか?
大きくは2つありまして、伝統工芸というと「民藝」に代表されるように手仕事によって生み出された日常づかいの雑貨や食器などに美しさを見出すという考え方ですが、私自身は、クラシック音楽やアートにとても興味があり、伝統工芸も日常使いのものよりも「アート」としての工芸というものに興味を持っておりまして、アートとしての工芸品の価値を広めたいなと思ったのがきっかけです。
もう一つのきっかけは何ですか?
もう一つは、前職で日本全国を訪問する中で、伝統工芸はその規模は小さくとも、地域に深く根ざしているものが多く、これが失われてしまうと、その地域の象徴や魅力も失われてしまうと強く感じたことがきっかけですね。
伝統工芸は、売上は小さくても地域ごとの特色があり、地域産業として伸ばしていく価値のあるものですよね!
CONCERTOの製品開発について教えてください
2010年頃にフランスのある著名なウッドマテリアルを得意とするアートユニットが解散しました。彼らはその精神と技術を集約して木製の蝶ネクタイを製作し、彼らの活動を支えた友人たちに友愛の証としてプレゼントされたというストーリーを知り、その蝶ネクタイを、日本の伝統工芸技術を使って蘇らせたのが漆塗りの蝶ネクタイ『CONCERTO』です。
そういった開発秘話があるのですね。製作にあたって大変だったことはありますか?
最初は、無垢材での製作を考えたのですが、ヨーロッパなどから木目の美しい無垢材を調達するのが難しく、ロットなどの関係で断念しました。そこで、日本の伝統的な技法である漆を使った蝶ネクタイづくりをすることになりました。
製作工程での苦労はどのような点がありましたか?
木を折る技術や角を曲げる技術、さらには布を木に貼り付ける技術など、様々な技術を駆使して制作しているのですが、そのような技術を持った方が今は少なく、依頼できる職人さんを探すのがとても苦労しました。
木を曲げるということは、かなり薄くしないといけないのですよね?
そうですね!国内でもここまで木材を薄く加工し折り曲げられるようにできる会社は少なく、仕事を受けてくれる会社を探すのもまた大変でしたね。
漆塗りがとても美しいですよね。
漆の塗り方によっては、プラスチックのように見える問題がありまして、特に朱色はその傾向が強く、塗師の方と相談しながら試行錯誤しました。
この白色のひび割れたような独特のデザインは何ですか?
これはウズラの卵の殻を用いたもので、一つ一つ手作業で職人が貼り付けています。これは伝統的な蒔絵の手法で白色を表現するために用いられていたものです。なぜこんなにも面倒なことをするかというと、漆だけでは白色を表現することが難しく、この技法が生み出されたと言われています。この商品は非常に手間がかかるものの、市場での評価は高く、よく売れています。
赤色と金色が混ざったようなこちらのデザインも素敵ですね。
西陣織と高岡漆器の美しい協奏曲(concerto)が楽しめる蝶ネクタイです。赤漆に金箔を貼る白檀という技法を応用した本体と最高級の絹糸を贅沢に織り込んだ西陣織ストラップの光沢感が、あなたの首元を上品に演出します。15gととても軽いため1日中付けたままでも不快感がありません。
ハレの日の舞台にとても映える蝶ネクタイですので、持ち運びに便利な樹脂ケースで旅行先でもお楽しみください。
CONCERTO
【高岡漆器-西陣織】 漆 蝶ネクタイ (白檀)
朱色の漆を塗った上に金箔を貼る技法で、金箔は非常に薄いため下に色、つまり朱色が透けてみえるのです。中から見える朱色の美しさや、卵の殻を一つ一つ貼り付けて魅せる技法などはどれをとっても、伝統の中で培われた美しさがあります。これらの製品は、ただの物としてではなく、それぞれが持つ背景やストーリー、技法などを理解して鑑賞することで、さらにその価値や美しさを感じることができますよね。
そうですね。ご説明をお聞きしてとても貴重なものでより美しく見えるようになりました。こういった製品づくりに取り組む中で得られた経験などはありましたか?
このような新しい技術や手法を取り入れた製作活動は、伝統的な技術を守りつつも新しい価値を創出するという意味でとても面白かったですね。それぞれの技術や素材の特性を活かしながら、新しいアート作品や工芸品を製作する挑戦は、新しい感動がありますね!
新商品として「招き猫」の商品を開発されたのですよね?
はい!日本の伝統的な「招き猫」をポップな現代アートと組み合わせてデザインして海外に向けて販売したいなと考えプロジェクト”Maneki Neko”をスタートさせました。
とても可愛らしいデザインですね!
漫画 “ONE PIECE “に登場する麦わらの一味のブロンズ像の原型制作を任されている仏像彫刻家・造形作家の丸山達平さんに依頼してデザインをしていただきました。最新の3Dスキャナ、3Dプリンターを用いて製作を行い、日本の仏像の造形美、禅の精神性を意識しながら形を整えていきました。
伝統工芸高岡銅器の原型を製作されている原型師。
銅像や仏像等の立体物を、粘土などを用いひとつひとつ、手作業で作品を作り上げていく作業を行う。その技は伝統工芸だけには留まらず、「ルアー」というオリジナルの世界を作り上げた。そして、その魅力はイカUSBメモリーへと発展し、MoMA(ニューヨーク近代美術館)にも認められたほど。
とても印象的なデザインですよね。見る角度によって表情や印象が違う気がします。
そうですね。正面から見ると伝統的な招き猫のデザインで具体的な部分や意匠が取り入れられているのですが、裏側から見ると現代アートの抽象的な雰囲気に見えると思います。
そうなのですね!小判の部分に螺鈿が施されているのですね。
螺鈿の部分は、日本の伝統的な意匠である「青海波」や「七宝」の他に伝統的な中に新しさも感じられる花柄や数字を織り交ぜたデザインなどを採用しました。
デザインだけではなくITも駆使されているのですよね?
NFCタグを用いたブロックチェーンでの個体管理をしています。ICチップが付属しており、スマートフォンでスキャンするだけで記録情報に簡単にアクセスできます。これは招き猫だけではなくて、CONCERTOなど他の製品にも活用しています。
とても先進的ですね!
伝統工芸というのは、こういったIT分野とこれまではとても遠い距離にあったと思いますが、これからはこのような最先端技術を駆使して、世界中に価値を届けられると考えています。
日本発のクラウドファンディングサービスプラットフォームの一つであるMakuake(マクアケ)にも”Maneki Neko”が2023年9月13日から登場予定!
詳しくは、Makuakeのプロジェクトページをご確認ください。
工芸とアートの融合について教えてください。
これまで伝統工芸品はあまり価値が認められず高値で取引をされるようなことはありませんでした。しかし、新しいアートと工芸の融合は今の時代の流れに合っており、非常に魅力的であると考えております。
伝統工芸品をアートにするために重要なことは何だとお考えですか?
アートの市場価値は、持っている場所や客層、さらにはその時の流行や世界の経済状況に影響されます。たとえば、高級ワインやアート作品は、正確な価格を知る専門家やコレクターを通じてのみ適切な価格で取引されることが多いです。また、最近ではブロックチェーン技術を用いて所有者の変更履歴を追跡する試みも見られています。つまり、誰が評価をしてどのような商流で人の手に渡るかということが価値付けを行う上で重要なのです。
そのためにNFCタグなどのITを取り入れられているのですね。
そうですね!また、これまでは画廊などが美術品の商流においては重要でしたが、IT化の流れの中で、美術品を流通させられるプラットフォームも増えてきています。そのようなプラットフォームに、日本の伝統的なものづくり技術を活かした工芸アートを出展し価値を高めることができればと考えております。ITを駆使することで、これまで誰も見向きもしなかった日本の地方の工芸作家さんの作品が世界的に評価されるようなことも今後出てくると思います。
これからは、世界に目を向けることも重要なのですね!
はい!日本の経済規模は過去には世界第2位でしたが、現在は中国に大きく水をあけられ第3位で、1人あたりGDPでは31位です。そのため、国際的な価値観で物の価格を見ることが大切で、例えば、ヨーロッパやアメリカの物価は日本とは異なり、その感覚に基づいて価格を設定する必要があります。総じて、アートや工芸品の価値は相対的であり、多様な要因に影響されるものです。現代のアート市場での成功は、伝統的な価値観だけでなくて、国際的な視点や技術的な進歩を取り入れることが不可欠だと考えております。
これまで、伝統工芸というのは昔ながらの手法で伝統的に作られており、製造方法も伝統的ですが、販売方法も小売店への委託販売や卸売り、催事などがメインだったりと全てが前時代的な産業でした。しかし、宇田川さんのようにITに長けた方が支援することで、世界中に価値を伝えることができ、また価値を高めていくことが可能になると思うととてもワクワクしました。取材をさせていただきありがとうございました。
1位
「彩-irodori-」バスタオル2枚 & フェイスタオル2枚セット。あらゆる贈答シーンに対応し、どのような方も思わず笑顔にさせる大満足の逸品です。
税込 16,500 円
★★★★★
(1レビュー)
4位
【牛刀】210mm 高炭素ステンレス鋼割込 磨きダマスカス 樫八角柄-柿渋仕上- | 堺刃物 | 。「縁起の良い贈り物」として包丁のプレゼントはおすすめです。
税込 24,750 円
★★★★★
(3レビュー)
\ BECOS編集部が厳選 /
伝統工芸品おすすめランキング発表
\ BECOS編集部が厳選 /
伝統工芸品おすすめ
ランキング発表
1位
「彩-irodori-」バスタオル2枚 & フェイスタオル2枚セット。あらゆる贈答シーンに対応し、どのような方も思わず笑顔にさせる大満足の逸品です。
税込 16,500 円
★★★★★
(1レビュー)
4位
【牛刀】210mm 高炭素ステンレス鋼割込 磨きダマスカス 樫八角柄-柿渋仕上- | 堺刃物 | 。「縁起の良い贈り物」として包丁のプレゼントはおすすめです。
税込 24,750 円
★★★★★
(3レビュー)
\ BECOS編集部が厳選 /
伝統工芸品おすすめランキング発表
\ BECOS編集部が厳選 /
伝統工芸品おすすめ
ランキング発表