和の装いに華を添えるべっ甲のかんざし
今も昔もかわらず、和の装いに華を添えるかんざし。その多くは、熟練の技術を要する伝統工芸によって作られてきました。
なかでもべっ甲のかんざしは、丈夫な固さと軽さ、また手になじみやすいこともあり、とても重宝されてきたアイテム。自然素材ならではの質感と色合いは、本物のべっ甲だからこそ表現できるうつくしさです。
かんざしといういうとなかなか日常で取り入れることは少ないかもしれませんが、ひとつ持っていると着物や浴衣を着る時に重宝します。また、和装が好きな女性への誕生日プレゼントや記念日のギフトとしてもおすすめです。
日常使いから花嫁のかんざしまで!
べっ甲のかんざしの種類
べっ甲のかんざしには、形状によっていくつかの種類に分かれます。それによって普段使いに向いている、フォーマルシーンに向いている、など使用に適したシーンも変わります。
また、本物のべっ甲以外にも、張りべっ甲と呼ばれる樹脂にべっ甲を張り合わせた素材のもの、完全な樹脂製など素材もさまざまです。
形状・素材など、べっ甲のかんざしを選ぶ際のポイントを以下で解説しますので、購入を検討している人は参考にしてください。
べっ甲のかんざしの種類その1
玉かんざしや平打ちかんざし
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一本挿しの玉かんざしや平打ちかんざしは、玉のような(また玉をつぶしたような平たい形状の)飾りが付いている、シンプルなかんざし。飾りも軸(棒の部分)もすべてがべっ甲素材のものもあれば、飾りの部分だけがべっ甲で軸は別素材、軸だけがべっ甲で飾りは別素材、などさまざま。
その昔は日常的に使われていたように、かしこまった場や礼装の時ではなく、小紋や紬など、和装のなかでも普段着として用いられている装いにあわせるといいでしょう。夏の浴衣にあわせるのもいいですね。
使い方は、髪をまとめるために使ったり、まとめた髪に挿して使います。アレンジ方法もいろいろあるので、和装に合わせたヘアスタイルを楽しめますね。
べっ甲のかんざしの種類その2
バチ型のかんざし
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上部が幅広くなっていて、だんだんと細くなる形状をしたかんざしは、三味線のバチに形が似ているためバチ型と呼ばれています。また、葉の形に似ていることから銀杏型、見た目の通りに扇型と呼ばれることもあります。
バチ型のかんざしは、べっ甲だけでできているものから、パールや珊瑚をあしらったもの、また漆で施された蒔絵まで、さまざまなデザインのものがあります。なかでも華やかに装飾されているものは、フォーマルシーンにおすすめ。逆に、装飾が少ないものやべっ甲だけでできているシンプルなバチ型かんざしは、さりげなくつけることができるので普段着の着物や浴衣にも合わせることができます。
バチ型のかんざしは、ヘアセットした髪に、刺すようにして固定して使います。
べっ甲のかんざしの種類その3
櫛(くし)型やコーム型のかんざし
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くし型のかんざしも、その名のとおりくしの形をしたかんざしのこと。日本髪などに整えた時に、前髪を留めるようなイメージで使われることが多く、フォーマルな場ではもちろん、振袖や花嫁衣装などにもあわせることがあるかんざしです。
くし型のかんざしを探していると、「コーム」と呼ばれるものを目にすることもあるでしょう。くしの持ち手が左右まで広がっていて、くしの歯が中央のみに配されているかんざしが本来のくし型かんざしではありますが、コームタイプは上部の飾り部分以外全てが歯になっていて、より挿しやすくなっています。べっ甲素材のコームも華やかなものが販売されていますので、髪型によって使い易いタイプを選ぶといいですね。
バチ型かんざしと同様に、蒔絵などの細工がされているものもあり、シンプルなデザインから華やかなデザインまで、和装スタイルに合わせて選ぶことができます。使い方もバチ型同様、整えてヘアセットした髪に飾りとしてつけます。
べっ甲のかんざしの種類その4
笄(こうがい)や花嫁様のかんざしも
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これまでご紹介したかんざしの他にも、髪に飾るための道具があります。
笄(こうがい)は、細長い棒の様な形状をしているもの。かんざしの一種のように見えるかもしれませんが、そもそもは髪の毛をまとめるための道具でした。そのため、髷を結うために男性が使うこともあったそう。それが次第に髪飾りとして形を変えていったと言われています。
棒状の、真ん中のが結った部分の中心にくるように挿し、左右対象、またはアシンメトリーに見えるようにして使います。
花嫁用のべっ甲かんざしは、神前式などの結婚式で白無垢などの礼装を着る際につけるもの。くし型のかんざしや立体的な装飾が付いた一本挿しのかんざし、笄などがセットになっている商品もあります。工芸品としても価値が高くとても高価なものなので、本べっ甲のものをなかなか見かけることはないかもしれません。まさに、特別なハレの日にふさわしいかんざしですね。
べっ甲のかんざしの種類その5
張りべっ甲や樹脂などのプラスチック製もあり
べっ甲のかんざしには、いくつかの素材があります。
ひとつめは天然素材を使った本物のべっ甲のかんざし。タイマイと呼ばれるウミガメの一種の甲羅から作られています。本べっ甲とも言われ、伝統工芸品としても重宝されています。希少な素材を使って、職人が時間と手間をかけて製品へと仕上げているため高価で、本物ならではの上質な質感があります。
ふたつめは樹脂の土台に薄いべっ甲を張り合わせている張りべっ甲。かんざし本体は樹脂などのプラスチックでできているため本べっ甲に比べると安価ですが、表面にはべっ甲が貼られているため本物の質感を併せ持っています。
最後は、すべてが樹脂などのプラスチックでできている「べっ甲風」のかんざし。成形などに専門的な技術を要する本物のべっ甲よりも安価です。パールなど装飾がされているものもあるので、華やかさは本物のべっ甲に劣らないほど。ただし、本物のべっ甲よりも割れたり折れたりしやすいので注意しましょう。
形や使うシーンもいろいろ!
日本製のべっ甲の簪(かんざし)おすすめ10選
べっ甲のかんざしおすすめその1
【本べっ甲】鮮やかな珊瑚が飾りの玉かんざし
本物のべっ甲ならではのうつくしい黒いツヤに、珊瑚の赤がアクセントになっています。上品なかわいらしさがあり、小紋や紬、浴衣などの外出着や普段着の着物にも合わせやすいですね。
なにわべっ甲プラージュ
べっ甲 玉簪
べっ甲のかんざしおすすめその2
【本べっ甲】おめでたい絵柄の平打ちかんざし
稲穂は豊穣や子孫繁栄を象徴するおめでたい絵柄です。色留袖や訪問着を着用して、パーティーやお祝いの席、入学式や卒業式などに出席するときなどにおすすめです。
京都うのはら
京の雅 本鼈甲稲穂本金蒔絵簪
べっ甲のかんざしおすすめその3
【本べっ甲】真珠つき!清楚な印象のバチ型かんざし
3粒のパールが絶妙なバランスで配されていて、髪に挿すととても上品。お出かけやお祝いのシーンから浴衣着用時まで、どんなシーンにも対応でき、幅広く活躍するかんざしです。
匠の工芸館
本べっ甲 かんざし
べっ甲のかんざしおすすめその4
【本べっ甲】伝統技術を惜しみなく込めたコーム
模様はシンプルで上品なので、どんなシーンにも使える万能さが嬉しいですね。素材・技術ともに妥協なく作り上げられており、お値段もそれなりにしますが、世代を超えて受け継いでいけるものでもあります。
かづら清老舗
本べっ甲 純金蒔絵螺鈿 コーム
べっ甲のかんざしおすすめその5
【本べっ甲】ストレート型で汎用性大!
装飾が一切施されていないこともあり、べっ甲そのものの上質さを活かしています。普段着の着物や浴衣だけでなく、洋服など和装以外にもコーディネートしたいかんざしですね。
京都 井和井
かんざし 本べっ甲 ストレート型
べっ甲のかんざしおすすめその6
【本べっ甲】貝の光沢がうつくしい扇型のかんざし
着物はもちろん、色とりどり夏の浴衣にも合わせたいかんざし。いろいろな色の表情を合わせ持っているアイテムなので、どんなカラーの着物でも合わせやすいのがうれしいポイント。年齢を問わずおすすめできる商品です。
かんざし屋wargo
本鼈甲扇型簪 黒甲蒔絵螺鈿
べっ甲のかんざしおすすめその7
【張りべっ甲】フォーマルシーンにもおすすめのバチ型かんざし
本物のべっ甲がはられているため表面は上質な質感に仕上がっており、留袖や訪問着などを着用するフォーマルシーンにもおすすめ。入学式などの各種式典にもぴったりの品ですね。
べっ甲の菊池
本べっ甲張りかんざし
べっ甲のかんざしおすすめその8
【樹脂製】ラインストーンで華やかなバチ型かんざし
一筋のラインストーンが、シックなべっ甲調のかんざしに華やかさを添えています。色留袖や訪問着、振袖など、うつくしいカラーの着物に合わせたいかんざしですね。
京都ひのや呉服店
かんざし 髪飾り べっ甲調大
べっ甲のかんざしおすすめその9
【樹脂製】挿すだけで小粋にキマる!笄(こうがい)セット
シンプルな形状だけに、どんなアレンジにも使いやすいのが特徴です。振袖や浴衣などで、大人っぽくも小粋な印象にしたい時におすすめですよ。
*SOUBIEN
笄(こうがい)2本セット
べっ甲のかんざしおすすめその10
【樹脂製】花嫁かんざしのレンタル商品
神前式に白無垢を着る際に、文金高島田のおかつらをつけてべっ甲かんざしをつけるのは王道です。パーティや披露宴で、お色直しとして色打掛や引き振袖を着たい時に、おかつらではなく地毛で和風に結い上げる新日本髪と合わせてべっ甲かんざしをつけるのもレトロで素敵ですよ。
Juliette room’s
花嫁 かんざしレンタル