クラウドファンディングの支援金で後継者育成をする意味はあるのか?

BECOSJournal編集長
Journal編集長

山形市が始めるクラウドファンディングを使っての後継者育成事業への支援金集め。本質的な解決になっていない気がしますが、今後も含めて見守っていきたいと思います。

後継者難から継承が難しくなっている伝統工芸産業の技術を残していくため、山形市は11月9日からインターネットで寄付を募る「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」で集めた支援金で後継者育成事業を始める。市は伝統工芸産業の修業者に年間150万円を限度に最長3年間支給する。

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これまで、数百人の伝統工芸に従事する職人さんやメーカー、プロデューサーと会ってきましたが、どの地域の伝統工芸でも、後継者問題というのが常に課題に上がっています。

どの業界でも、人材不足や後継者不足は叫ばれていますが、こと伝統産業の業界では危機的な状況で、工房に取材にうかがうと平均年齢80歳ということも珍しくありません。70〜80歳の方々が現役でものづくりをされていることは非常に素晴らしいことだと感じる一方で、10年後や20年後この工房は果たして残っているのだろうかということを考えてしまいます。

今回の、ガバメントクラウドファンディングに関して詳細はまだ発表されていませんが、目標金額が200万円で、修業者に対して年間150万円を限度に3年ということですので、おそらく資金調達をした支援金のほぼすべてが修業者に対して支払われるということだと思います。

300年の歴史のある権之助(ごんのすけ)塗 山形県ホームページより引用

これまで、なかなか金銭的な支援ができなかった地方自治体でもこのようなガバメントクラウドファンディングという形態で資金調達をすることで、伝統産業を支援するという新しい取り組み自体は非常に素晴らしいのですが、支援金を出さなければ後継者が集まらないという伝統産業の事業自体に問題があるのではないでしょうか。

お金を支給するのではなく、将来お金を生み出せるようになるような仕組みを構築するために、支援金を使うべきと考えます。

平成25年に当時の大阪市長である橋本市長が文楽協会への補助金を減額したことで、テレビ局などの民間企業が協力して観客動員数を増やしたといったことを例に上げても、ただ資金を支援するだけではなく、その産業自体の売上が上がる仕組みを考えていくことが重要ではないでしょうか。

この、ガバメントクラウドファンディングは11月9日からのスタートとのことで、今後の展開が気になります。