本記事の制作体制
BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。
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伝説の彫刻職人として名を馳せた【左甚五郎】日光東照宮の「眠り猫」があまりにも有名ですが、眠り猫以外にも数々の名作を遺しています。
仏閣神社や彫刻作品、または落語や講談に詳しいならご存知であろう【左甚五郎】の名。
「実在した」とも「架空の人物だ」とも言われますが、左甚五郎の作品だと言われる作品は全国に存在しています。
そんな左甚五郎作品の中でも、とくに名作というにふさわしい3つをピックアップ。落語になったエピソードも紹介しますので、ぜひ「左甚五郎」という人物に想いを馳せてみましょう。
左甚五郎が実在したかどうかについては、賛否あるようです。
それは”左甚五郎 作”として知られる作品の年代が、安土桃山時代〜江戸時代後期までと、優に300年間の幅を持つから。
左甚五郎の出身地として語られる場所も多々あり、また現在その作品が全国各地にあることから、実際には「優れた彫刻職人の代名詞にすぎないのでは」ともいわれています。
しかし「確かに実在はした」という見解もあり、いまや全国に点在する100近い作品のうちのいくつかは、本物の左甚五郎の作品であるということです。
なんともロマンのある話。あなたはどう考えますか?
実在したと仮定した上での左甚五郎のうまれは、1594年(文禄3年)、播磨は明石。13歳で、伏見禁裏大工棟梁・遊左法橋与平次の弟子となります。
その後は江戸に下り、江戸城の改築にも参加したとされています。
1651(慶安4年頃)に逝去。享年は58歳。
有力と言われている説では「岸上甚五郎左義信」という人物が、左甚五郎のモデルであるということです。
岸上甚五郎左義信は、16歳の時”多武峯十三塔”などを建立し、天下人によって絶賛。
「昔より右に出る者はいない。」「それでは甚五郎は左である。」「左を号すべし。」との仰せをつかり”左”を名のるようになったといわれています。
他にも、特別な「”左”官」だったから、左利きだったから、嫉妬した大工仲間に右腕を落とされ左腕のみで彫ったから、飛騨出身だったから(ひだ→ひだの)、大酒飲みで「左党」だったから…と、様々な説があります。
左甚五郎の彫る”動物”があまりにもリアルであるため「その動物は夜な夜な歩き回る」といわれていたそうです。
例えば、1592年に再建された秩父神社にある”つなぎの龍”は、「毎晩田んぼを荒らしている」とされました。
それは、龍が暴れたとされる翌朝、この彫刻の下に必ず水たまりができていたから。そのため、この龍には鎖がかけられたという伝説があります。
経歴だけを見ると、それはそれは偉大な、伝説の彫刻職人!といったイメージの左甚五郎。
しかし実際には酒が大好き、毎食一升・おやつに5合呑んでいたというのですから相当なもの。
決して人として”デキた人間”というわけではないが、大工・彫刻職人としての腕はかなりのもの、ノミを持たせれば天下が驚く…という人物だからこそ、落語の題材にもなり「江戸初期のスーパースター」などといわれたのでしょう。
確かに彼の魅力には、男としてはなかなか惚れるものがあります。
落語や講談にも登場する左甚五郎ですが、「木彫りの鯉」という作品も、なかなか格好の良い噺。簡単にご紹介しましょう。
ーー京都に召喚されたその道中、左甚五郎は追い剥ぎに会い、身ぐるみ剥がされ無一文になってししまいます。なんとも情けないやら哀れやらの展開ですが、ある庄屋に助けられ、屋敷に世話になることに。
すると驚くことに、その屋敷には偽の”左甚五郎”が泊まっていました。偽物は「料理が下手だ」「酒がまずい」と、モンスタークレーマーそのものの振る舞い。
本物の左甚五郎は、汚名を晴らすためどうにかして自分が本物だと示したいところですが、褌(ふんどし)一丁の今の自分には、とても信じてもらえそうにありません。
そうこうしているうち、左甚五郎の名を聞いた遠州の殿様が「左甚五郎に何か彫ってほしい」と頼みに来ます。
「これだ!」とばかりに本物の左甚五郎は、偽物の左甚五郎とともに【鯉】を彫ることに。偽物の左甚五郎の彫った鯉はとても生き生きとした素晴らしい鯉で、皆は歓声をあげます。
一方、本物の左甚五郎の鯉は何やらとても不恰好。皆が「ダメだこりゃ…」な雰囲気の中、左甚五郎は【双方の鯉を水の中に入れる】ことを提案します。
そうして水の中に入れてみると、偽物の”素晴らしい鯉”はすぐに腹を見せて浮き上がったのに対し、本物の左甚五郎の鯉は、今にも尾を振って泳ぎだしそうな姿に見えるのでした。水の中に入った状態で、歪んで見える鯉を計算して作った彫刻だったんですね。
左甚五郎の「鯉は水の中にあってこそ鯉と言えましょう…」というセリフがオチの、人気の噺です。
左甚五郎が実在するのかしないのか、100近い作品のどれが本物の”左甚五郎”作なのかという点はまだ研究中ということになります。
しかし、左甚五郎作とされる作品はどれも魅力的で、観る者の動きを止めるものばかり。
ここからは、ぜひ拝観したい左甚五郎の名作をご紹介します。
先述した、躍動感あふれる龍の彫刻。じっと見ていると、うねる身体が蛇のようにヌルヌルと動き出しそうです。
先にも述べたように「龍が田畑を荒らした翌日には、この龍の下に必ず水たまりができた」という言い伝えがあります。
今となれば「豪雨だったのでは?」などと無粋なことを考えてしまいそうですが、実際にこの”つなぎ龍”の躍動感を目の当たりにすると、当時の人々がそう思っても無理がないと思えるでしょう。
埼玉県秩父市にある、秩父神社御本殿東側に観ることができます。
和歌山県にある「粉河寺(こかわでら)」。この本堂にある「野荒らしの虎」も、左甚五郎野作品とされています。
この作品は、夜な夜な田畑を荒らしまわっていた虎を、村人が退治している様子を表したもの。目を突いた、とも後ろ足を刺した、ともいわれます。確かに、後ろ足を怪我しているようにもみえます。
枠からはみ出す尾や、手前の筍のようなものとの奥行き感といった構図により、非常に躍動感のあるデザインになっています。
最後に、愛嬌たっぷりの可愛らしい作品を。
日光東照宮にある「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿は有名ですが、同時期に作られた、この「よく見・よく話し・よく聞く」猿は「つなぎ龍」と同じ秩父神社にあります。
「見ざる・言わざる・聞かざる」には、余計な情報を取り入れず、悪は遮断し、健康に育ちましょうという想いが込められています。
それに対しこちらの”お元気猿”は「いつまでも元気に」という想いが込められており、確かに猿たちの表情を見てみると、とても生き生きとしていることがわかります。
何にでも興味を持ち、知り、アウトプットしていく、非常に積極的な意味合いを持つ作品です。
他にも、日光東照宮の「眠り猫」や、久能山東照宮「神馬」などが有名な作品として挙げられます。
どの動物も、まるで魂の宿っているかのような佇まいや愛嬌が見られ、なんだか左甚五郎の人柄までもが滲み出てくるようです。
神社に立ち寄る際には、ぜひ左甚五郎の作品があるかチェックし、実物を臨みましょう。
「伝統工芸品」とは、数百年数千年の歴史を超えて脈々と受け継がれている技術や技法を用いて、ハンドメイドで作られた商品を指します。日本では現在、約25,000社、合計140,000人の職人達が、1,200種類もの「伝統工芸品」のものづくりを行っています。
そのような「伝統工芸品」の中には、日本国が特別に指定した「伝統“的”工芸品」が存在します。「伝統“的”工芸品」は、ものづくりが始まってから100年以上の歴史を持つなど、5つの厳しい条件を、商品、技術、文献などの歴史資料を基に、経済産業省が審査を行います。見事、審査をクリアすると「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて指定されます。下記では日本の伝統工芸品の一覧を紹介しているので、興味がある方はぜひ覗いてみてくださいね。
左甚五郎の代表作には、「ねずみの寝床」や「東照宮の眠り猫」、「木曽三川の三大珍獣」など、緻密な彫刻技術と独創性が評価されている作品が多くあります。詳しくはこちら。
左甚五郎の作品は、日本各地の神社や寺院、美術館などで観ることができます。特に有名なものは、日光東照宮の「眠り猫」や、東京国立博物館で展示されている「ねずみの寝床」です。詳しくはこちら。
左甚五郎は、その独創的で緻密な彫刻技術から江戸時代に大変有名であり、その逸話が多くの落語家によって語られるようになりました。彼の作品にまつわるエピソードが多くの落語作品で扱われています。人物像に関して詳しくはこちら。
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