【両刃&片刃】堺打刃物のプロが監修!初心者でも失敗しない『包丁の砥ぎ方』

本記事の制作体制

熊田 貴行

BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。

編集部 板倉
編集部 板倉

職人さんが精魂込めて作ったお気に入りの包丁を“砥ぎながら大切に育てる”って素敵ですよね!一方で、「砥ぎ方がわからない」「自分が砥ぐ事で、逆に刃を痛めてしまったらどうしよう…」とはじめの一歩を踏み出す勇気が持てないという方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、刃物のプロである堺打刃物の製作卸「高橋楠」さんにご監修いただき、初心者でも失敗しない包丁の砥ぎ方をご紹介しますよ。是非、参考にしてみてくださいね。

この記事を監修したのは…

高橋佑典さん写真

堺打刃物の製作卸「高橋楠」4代目
高橋佑典さん

刃物のまちとして知られる大阪・堺で104年の歴史を持ち、和包丁や洋包丁の製作と卸売りを行う「高橋楠」の4代目代表。堺打刃物の伝統的な技術を継承し、生み出される和包丁は、卓越した切れ味の鋭さと使い勝手の良さを誇り、国内外を問わず多くのプロから重用されている。
HP:https://takahashikusu.co.jp/

目次

【下準備】包丁を砥ぐタイミングは?砥ぎ石の種類や準備物をまずはチェック!

「どのぐらいの頻度で砥げばいい?」「砥ぎ石にも色々と種類があるようだけれど、どれを買えばいい?」といった疑問をまずは解決していきましょう!包丁研ぎに関する基礎知識をきちんと頭に入れて、下準備を行なっておけば、慣れない作業でもスムーズに取りかかることができますよ。

砥ぎの頻度は”2〜3週間に一度”が目安

毎日使用するメイン使いの包丁は、2〜3週間に1回程度の頻度で砥ぐのが理想です。ステンレスや鋼といった素材によっても適切なタイミングが異なってくるので、“ネギや鶏肉の皮といった食材が切れにくいと感じるタイミング”を目安にしてもわかりやすいですよ。

片刃?両刃?包丁の種類を確認

包丁には大きく分けて片刃包丁と両刃包丁があり、種類によって砥ぎ方が異なります。まずは自分の手持ちの種類を確認しましょう。

両刃包丁は、右と左の両方に刃が付いているので包丁の刃を上から見ると左右対称になっています。片刃包丁は片側だけに刃が付いているので、刃を斜めに切断したような形になっていて、包丁の刃を上から見ると左右非対称になっていますよ。

両刃包丁の代表例…三徳包丁、牛刀、ペティナイフ
片刃包丁の代表例…刺身包丁、柳刃包丁、出刃包丁

砥ぎ石、新聞紙etc…準備物をチェック

参考

CHECK:砥ぎ石は“中砥ぎ石”がオススメ!

中砥ぎ石

包丁砥ぎは“荒砥ぎ石で形を作って、中砥ぎ石で整えて、仕上げ砥ぎ石で切れるようにする”というのが基本的な流れです。初心者が3つの砥ぎ石を使い分けるのは大変なので、中間的な存在である“中砥ぎ石”をまずは使用しましょう。中砥ぎ石の代表的な番手である、1000番あたりを購入しておけば間違いありませんよ。

砥ぎ石を10分〜15分程度“水”に浸す

砥ぎ石の強すぎる摩擦は包丁を変形させてしまい、切れない包丁を作る原因となってしまいます。そこで大切なのが、下準備として砥ぎ石を10分〜15分程度水に浸しておくことです。砥ぎ石を水に浸すことで、包丁と砥ぎ石の余計な摩擦を減らすことができます。

また摩擦で発生する熱を抑える、砥ぎ石に砥粒が詰まって包丁が砥げなくなることを防ぐといった目的もありますよ。水に浸した砥ぎ石から、気泡が出なくなったら水がしっかりと浸透したサインです。砥いでいる途中で、砥ぎ石の表面が乾いてきたなと感じたら、適宜水を追加するようにしましょう。

※研ぎ石の種類によっては水に浸ける必要がないものもあります。取扱説明書を確認の上、作業を行なってくださいね。

包丁の持ち方は“三点支持”

包丁は、峰・あご・ハンドルの三点支持で持つのが基本です。利き手でハンドルを握り、峰に人差し指をあごに親指を当てて、包丁をしっかりと安定させましょう。

【本番】コツを押さえれば簡単!両刃&片刃包丁の砥ぎ方3ステップ

①包丁の表面:刃っ先からスタート

刃を手前に向け、包丁の表から砥いでいきます。利き手で包丁を持ち、利き手でない方の人差し指と中指で刃先を軽く押さえましょう。この時、包丁は砥ぎ石の縦方向に対して約45度に置きます。次に砥ぎ石の水平面に対して、約15度(1円玉2枚程度)の角度がつくように包丁の峰を浮かせます。

砥ぎ石はあまり力を入れなくても砥げるように作られています。包丁を前に押し出す時のみ“腕の重さを乗せる”ようなイメージで、軽く力を入れます。手前に戻すときに力を入れる必要はありません。

利き手でない方の人差し指と中指があたっている部分しか研げないので、指をずらしながら切っ先→刃中→あご近くと、各20回程度を目安に、順番に砥いでいきましょう。砥ぎ石は縦方向いっぱいに使うのがポイントです。石の摩耗が偏ることも防ぎながら、効率よく包丁を砥ぐ事ができますよ。

参考

CHECK:刃先が浮かないようにハンドルは少し上げて持って!

刃先のカーブした部分から先は、包丁と砥ぎ石の間に隙間ができてしまい、刃が付かないといった失敗が起こりがちです。これを防ぐにはハンドルを少しだけ持ち上げて、刃先を石に密着させることを意識しましょう。このときも砥ぎ石の水平面に対して15度の角度はキープするのは忘れないでくださいね。

参考

POINT:砥げているかは“かえり”で確認

砥げたかどうかは、先端付近の金属が削れて反対側に反り返ってできた“かえり”で確認します。指で、刃の先端を写真の矢印の方向になでるように触って、ざらっとするものが確認できたらOKです。ケガしないように、指を動かす方向に注意してくださいね。

②包丁の裏面

次に包丁の刃を向こう側にして、裏を砥ぎます。利き手でハンドルを持ち、親指で峰、人差し指は真っ直ぐに伸ばして刃に近い部分に当て、三点を支えましょう。(慣れてきたら、利き手でない方でハンドルを持つと、よりよく研げます)
表を砥いだ時と同様に包丁は砥ぎ石の縦方向に対して45度、水平面に対して15度をキープします。利き手でない方の人差し指と中指の2本を軽く包丁に当て、砥ぎ石の手前から奥へと移動させていきましょう。刃っ先→刃中→刃元へと研ぎ進めます。あご付近はハンドルが石に当たるのを防ぐために、包丁を砥ぎ石に対して直角に置きかえるようにしましょう。

表面を砥いだ時と同様に、指で刃先をそっと触り“かえり”が確認できたら、砥ぎは終了です。

③“かえり”を取る

最後に平らな場所に広げた新聞紙の上で、包丁を払うような感覚で刃先の両面をこすって“かえり”を落とします。その後、試し切りをしてスムーズに切れない場合はかえりがまだ残っている可能性があるので、さらに何往復かさせてかえりを完全に落としましょ

片刃包丁の砥ぎ方

刃を手前に向け包丁の表を砥ぎます。利き手でない方の人差し指と中指で刃先を軽く押さえ、包丁は砥ぎ石の縦方向に対して約45度に置きましょう。片刃包丁は、砥ぎ石の水平面に対して角度をつけず、切り刃の面(しのぎから刃先にかけての面)をそのまま砥石に乗せます。

利き手でない方の人差し指と中指の2本をズラしながら、刃っ先→刃中→刃元へと各20回程度前後させながら、研ぎ進めましょう。かえりが刃っ先からあごまで全体に出ているかを指で確認します。

②包丁の裏面:片刃は3〜5回程度でOK!

片刃包丁とは両刃包丁と異なり、片方にしか刃がついていないので裏面は砥ぐ必要がありません。砥ぎ石の縦方向に対して、斜めに包丁を置きます。砥ぎ石の水平面に対して刃をぴったりとつけ、表面を砥いだ時に出たかえりを落とすようなイメージで、半円を描くように動かしながら、軽く2〜3回程度砥ぎぎましょう。

③“かえり”を取る

より切れ味の良い包丁に仕上げるために、細かなかえりを取っていきましょう。平らな場所に広げた新聞紙の上で、包丁を払うような感覚で刃先の両面をこすってかえりを落とします。試し切りをしてスムーズに切れない場合はかえりが残っている可能性があるので、さらに何往復かさせてかえりを完全に落としましょう

【作業後】砥ぎ石の表面を“真っ平ら”に整える

包丁砥ぎを成功させるためには、砥ぎ石を“真っ平ら”に整えておく事が欠かせません。包丁砥ぎが終わったら、次回のためにへこんだ砥ぎ石を平らにする作業を必ず行いましょう。

①鉛筆でマーキング

どこがへこんだかを確認するために、鉛筆で砥ぎ石に印をつけていきます。

②“面直し砥石”で表面を削る

水につけておいた「面直し砥石」を使って、表面をこすって削りましょう。鉛筆のあとが完全になくなり砥ぎ石が“真っ平ら”になれば面直しは完了です。作業が終わったら、砥ぎ石と面直し用砥石の水気をふき取り、乾かしてから保管しましょう。

編集後記

いかがでしたか?お気に入りの包丁を自分で砥ぐことができれば、包丁への愛着も増し、より日々のお料理が楽しくなります。はじめは難しく感じるかもしれませんが、継続してトライすることで、ぜひコツを掴んでくださいね。

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