
食器やカップは毎日使うものだからこそ気に入ったものを見つけたいですが、年月が経っても飽きずに使い続けられるような、丈夫で味のあるものと出会うのはなかなか難しいですよね。
しかし、佐賀県唐津市で発祥した「唐津焼」(からつやき)は、食べ物や飲み物のシミ・汚れなどの経年変化で使うほどに美しさを増す焼きものです。
古い歴史のなかで品格のある茶器として名を馳せている焼き物ということもあり、日常的な使いやすさのなかにも渋さや重厚感をあわせ持っています。
今回は、唐津焼の基本知識とともに、日常生活で使いたいアイテムを5品厳選して紹介します!
目次
佐賀県に伝わる「唐津焼」とは?
「唐津焼」は、現在の佐賀県唐津市北波多(きたはた)にある岸岳の城主・波多氏の領地で焼かれた陶器が発祥と言われています。
現在では唐津市内に70以上の窯元があり、伝統的な製法を守りながらも現代の感性を取り入れた、新しい唐津焼の作品が多く発表されています。
使い続けるほどに美しさを増して唯一無二のものになる唐津焼は、“用の美”を楽しむことができる焼き物。
どのような歴史をたどり、どのような特徴のある焼き物なのでしょうか。
茶器の名品として名を馳せた背景は?
岸岳周辺の土はガラス原料となる砂岩質なのですが、唐津焼初期の陶工たちは独特な風合いが出るその土に着目して唐津焼を始めたと言われています。
豊臣秀吉が朝鮮出兵した際に陶工たちを連れて帰り、その陶工たちが「蹴ろくろ」「登り窯」などの技術を伝えたことで唐津焼が形成されたという一説も。
それから、千利休によって日本国内で茶の湯が流行したことで唐津焼が広まりました。
古くから伝わる茶器の格付けにも「一井戸、二楽、三唐津」とあるように、唐津焼は茶陶器として広く使われています。
唐津焼の作り方は?
朝鮮から伝わった製法が現代でも用いられています。
- 蹴ろくろ:はずみ車を足で蹴って回すろくろ
- 叩き技法:外側から叩き締める技法
- 登り窯:燃焼効率のいい伝統的な薪窯
このような伝統的な製法を今でも使っている窯元も多く、唐津焼独特の風合いが味わいが守られているのです。
唐津焼の種類は?
唐津焼は、土や釉薬、技法などによってさまざまな種類があるのが特徴です。
主な唐津焼は以下の通り。
- 絵唐津(えがらつ):鬼板という鉄溶液で絵付けをしてから透明な釉薬をかけて焼いたもの
- 無地唐津(むじからつ):一種類の釉薬のみを使い、絵付けをしていない無地のもの
- 斑唐津(まだらからつ):乳白色の器肌に青や黒の斑点が出ているもの
- 黒唐津(くろがらつ):鉄分を多く含んだ釉薬を使ったもので、鉄分の量などで漆黒から飴色まで色のバリエーションが多い
- 朝鮮唐津(ちょうせんがらつ):鉄釉と灰釉の二種類の釉薬を使っており、黒と白の二色のグラデーションが特徴のもの
- 三島(みしま):半渇きの素地に模様を描いてから焼いたもの
- 粉引き(こひき):褐色の土を使用し、半渇きの素地に白い化粧土をかけて焼いたもの
使うほど美しくなる唐津焼の厳選5品
茶器の名品としても有名な唐津焼ですが、もちろん日常的な食事などのシーンでも使いやすいようなお皿やお茶碗などのアイテムがたくさんあります。
最近ではぐい呑みも人気。
経年変化を楽しみながら日々の食事が更においしくなる唐津焼の商品を5つ厳選して紹介します。
【唐津焼】中村恵子 黒唐津六寸五分皿
>【唐津焼】中村恵子 黒唐津六寸五分皿をもっと詳しく見てみる。
唐津焼作家の中村恵子氏が一点一点丁寧に手作りした、黒唐津の中鉢です。
発色の良い漆黒は料理が映え、煮汁のある料理でも安心の深さがあります。
力強く存在感のあるこのお皿で、メインディッシュをいただきたいですね。
直径:約20㎝
高さ:5.5cm
価格:8,580円(税込)
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【唐津焼】瀬戸口真 酒器3点セット
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現代の唐津焼作家・瀬戸口真氏が手掛けた、とっくり・ぐいのみ3点セットです。
器全体に施されたヒビが使うほどに飲み物のシミなどを吸収していき、まさに“用の美”を楽しむことができますよ。
深みのあるグリーンは、敬老の日や父の日などのプレゼントにも喜ばれそうです。
【とっくり】直径:9.0cm×10.5cm 高さ:9.8cm 180cc
【ぐいのみ】直径:7.0cm 高さ:6.5cm 80cc
価格:8,360円(税込)
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【唐津焼】矢野直人 粉引湯呑
唐津焼職人・矢野直人氏が一つひとつ手作りしている作品の中から、粉引の湯呑を紹介します。
ぽってりとした質感と、乳白色の色味が温かみのある湯呑は、毎日のお茶がさらにおいしくなりそうですね。
湯呑としてだけでなく、料理を盛る小鉢としても使えそうです。
直径:8.3cm
高さ:5cm
価格:3,300円(税込)
【唐津焼】十四代中里太郎右衛門作 朝鮮唐津ぐい呑
>【唐津焼】十四代中里太郎右衛門作 朝鮮唐津ぐい呑をもっと詳しく見てみる。
唐津市内にて14代にも渡って続いている窯元「中里家」は、現在14代中里太郎右衛門がその伝統を受け継いでいます。
一点一点を職人が手作りしており、全てが一点もの。
その14代が手掛けたぐい呑みは、朝鮮唐津ならではの二色のコントラストが美しい一品です。
伝統工芸品らしい重厚感や渋さがありながらも、モダンで日常に溶け込むようなデザインが特徴的ですね。
直径:7.7㎝
高さ:3.7㎝
価格:44,000円(税込)
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【唐津焼】中野陶痴窯 灰釉蓮弁皿
明治時代に唐津市の松島弥五郎窯で修業した京都の中野氏が、松島氏の没後に窯元を受け継いだ中野窯は、現在では中野陶痴と中野霓林の兄弟で作品を作り続けています。
その中野窯で作られた蓮弁皿は、蓮の花の絵柄が施された女性が喜びそうなお皿です。
料理を食べ進めていくうちに蓮の花が見えてくる演出が素敵ですね。
口径:15㎝
高さ:5㎝
価格:4,000円(税込)
まとめ
安土桃山時代頃からの歴史のある唐津焼の焼き物は、その伝統のなかから受け継がれた渋みや深み、そして重厚感が持ち味の、年齢をともに重ねたくなるような品ばかりです。
また、種類が豊富なことも唐津焼の特徴なので、きっとお気に入りの一品が見つかるはずですよ。
日々の食事やお酒と相性のいい、お気に入りの唐津焼のアイテムとともに過ごしてくださいね。