着物の柄に込められた意味って?文様50種類を一挙解説

本記事の制作体制

熊田 貴行

BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。

日本の伝統的な衣装でもある着物。着物にはさまざまな柄がありますが、古から脈々と受け継がれてきた伝統的な柄も多く、それぞれに意味があります。せっかくなら、柄に込められた意味にも着目して着物選びを楽しみたいですね!

本記事では、着物の柄の意味を50種類たっぷりと解説します。ぜひ着物を選ぶときの参考にしてみてください。

目次

着物柄の種類と意味1【幾何文様】
連続文様の着物柄

幾何文様は、ひとつの文様を規則的にくり返した文様の総称です。線や三角形、菱形、正方形、円などからなり、麻の葉や石畳などに見立ててあります。わかりやすい端正な図柄ですが、身にまとうことで模様が揺らぐのも味わい深いです。

着物の柄1:青海波(せいがいは)
【末永く続く幸福と平和への願い】

着物柄:青海波

三重の半円を連続して組み合わせ、波を表現した文様。平穏な暮らしが静かな波のようにいつまでも続くようにと願いが込められた吉祥文様です。

松や四季の花と組み合わせた柄や雪輪のシルエットで表現したものなどバリエーションも豊富。礼装の着物や帯にも用いられます。

着物の柄2:亀甲(きっこう)
【長寿】

着物柄:亀甲

六角形を繋いで表される幾何学模様。亀の甲羅に似ていることが名前の由来で、長寿を願う吉祥文様のひとつです。

亀甲文様を入れ子にした「子持ち亀甲」や山形に3つ組み合わせた「毘沙門亀甲」などさまざまなバリエーションがあります。

着物の柄3:七宝(しっぽう)
【繁栄・円満・調和】

着物柄:七宝

1つの輪に同じ大きさの輪を4つ重ねて繋いだ文様で、「七宝繋ぎ」や「輪違い」とも呼ばれます。円や輪は、はじまりも終わりもないことから古来より完全な図形として珍重されてきました。絶えることのない永遠の連鎖と拡大を意味し、「繁栄」「円満」「調和」などを願う吉祥文様として祝儀の着物や帯にもよく用いられています。

七宝の中心に花菱を据えた「七宝花菱文」も有名です。

着物の柄4:麻の葉(あさのは)
【魔除け・子どもの健やかな成長への願い】

着物柄:麻の葉

正六角形を基本とした幾何学模様で、名称は大麻の葉に似ていることに由来しています。江戸後期の文化・文政年間に歌舞伎衣装に用いられて大流行しました。

麻の葉は生長が早くまっすぐ伸びることから、魔除けや子どもの順調な成長を願う意味が込められています。

着物の柄5:立涌(たてわく・たてわき)
【運気の上昇】

着物柄:立涌

波上の曲線を向かい合わせに並べた縞柄の文様です。吉兆とされる立ち上る蒸気を文様化したものとされ、運気が盛んで上昇の兆しがあることを意味するとされています。

波線の膨らんだ部分に文様が入っていて、代表的なものには瑞雲を描いた「雲立涌」、桐を描いた「桐立涌」、波を描いた「波立涌」などがあります。

着物の柄6:鱗(うろこ)
【魔除け・厄除け】

着物柄:鱗

三角形を横と斜めに繋いだ文様で、鱗のように見えることに由来しています。魔除けの意味を持つとされ、着物や襦袢のほか武具などにも用いられました。

とくに、女性が厄除けとして身に着ける風習があります。

着物の柄7:市松(いちまつ)
【繁栄】

着物柄:市松

色違いの正方形を交互に敷き詰めた文様です。柄が途切れずに続くことから「繁栄」を意味するとされています。

かつては「石畳」や「霰(あられ)」と呼ばれていましたが、江戸時代の歌舞伎役者である佐野川市松が舞台衣装に好んで着用したことからこの名になったとされています。

着物の柄8:籠目(かごめ)
【魔除け・厄除け】

着物柄:籠目

竹籠の網目から生まれた文様です。六芒星が連続しているように見えることから、魔除けや厄除けの意味を持つとされています。

石を入れ土のう代わりとして使われた「蛇籠」からの連想で、葦や柳、水鳥など水辺の動植物と組み合わされることが多いです。

着物の柄9:紗綾形(さやがた)
【繁栄・長寿】

着物柄:紗綾形

梵語の卍を菱形に変形して複雑につなぎ合わせた文様です。紗綾形という名称は、室町から桃山時代に明から渡ってきた紗綾と呼ばれる絹地に用いられていたことから由来しており、別名「卍崩し」「卍繋ぎ」「雷門繋ぎ」「菱万字」とも呼ばれます。

不断長久の意味を持ち、家の繁栄や長寿を願う文様です。紗綾形に菊と欄を組み合わせた「本紋」は、綸子の着物の柄(地紋)として多用されています。

着物の柄10:網代(あじろ)
【魔除け】

着物柄:網代

網代とは、薄くて長い檜の板や葦、竹などを縦横や斜めに編んで網状にしたもので、川で魚を取る装置として使われます。その網代を文様化したのが網代文で、邪気を払う魔除けの意味合いがあります。

昔から天井や壁紙など室内装飾にも広く使われる柄。着物では、小紋染めの柄や織りの絣模様などに多く用いられています。

着物柄の種類と意味2【植物文様】
植物を用いた着物の柄

植物文様は、着物の柄のなかでももっとも多く用いられている文様です。四季のある日本では、それぞれの季節を代表する草花を柄として取り入れることで、季節の移ろいを表現してきました。

着物の柄11:松竹梅(しょうちくばい)
【忍耐・生命・長寿】

着物柄:松竹梅

古来中国では、冬でも変わらず緑を保つ松と竹、寒中に花を咲かせる梅を「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」といい、清廉な文人の象徴としていました。それが日本にも伝来し、松竹梅の柄はおめでたい吉祥文様として慶賀に重用されています。

松竹梅の柄には、忍耐や生命の誕生、長寿の意味合いがあるとされています。

着物の柄12:椿(つばき)
【神聖・高貴】

着物柄:椿

椿は冬に葉を落とさないことから、古来より悪霊を払う力がある神聖な木と考えられてきました。

冬の季節感を演出できる柄のひとつですが、種類により晩秋から春まで咲くため長いシーズン着用できます。

着物の柄13:橘(たちばな)
【子孫繁栄・長寿】

着物柄:橘

橘は日本に自生するみかんの一種を文様化したもの。中国由来の文様が多いなか、日本生まれの数少ない吉祥文様でもあります。

橘は垂仁天皇が田道間守を常世に遣わせて採ってきたと伝説のある延命長寿の果実とされ、古くから吉祥の徴として崇められてきました。実は子孫繁栄、葉は長寿を意味するとされ、格調高い文様として、婚礼衣装や留袖の柄に多く用いられています。

着物の柄14:菊(きく)
【不老不死・延命長寿・無病息災】

着物柄:菊

菊は薬効があることから古来中国では仙花といわれ、日本にも奈良時代に薬草として伝わったとされています。花や葉などさまざまに図案化されていますが、パスポートや皇室の紋にも使われる国民的な文様です。文様としては、その薬効から「不老不死」「延命長寿」「無病息災」などの意味を持ちます。

秋を代表する花ですが、吉祥文様の一つとして季節を問わず着用されます。

着物の柄15:桐(きり)
【高貴】

着物柄:桐

桐の木には鳳凰が棲むとされ、古くは菊とともに皇族にだけ許された高貴な文様でした。一般に広まった今も格の高さを表す着物柄として人気で、季節を問わず用いられます。

鳳凰は竹の実を食べると言われることから、桐竹鳳凰を組み合わせた絵柄は、格が高い留袖の裾模様や帯に多く描かれます。

着物の柄16:鉄線(てっせん)
【恋愛成就・夫婦円満】

着物柄:鉄線

初夏に紫や白の花を咲かせるクレマチスを描いた文様です。硬い蔓を持っていることから、蔓が縁を結ぶとして恋愛成就や夫婦円満の意味合いがあります。また、末長く固い絆を結ぶ願いを込めて、婚礼衣装にも多く取り入れられる柄です。

単独で用いる場合は初夏の季節感が出ますが、ほかの花と組み合わせれば季節を問わず使えます。

着物の柄17:牡丹(ぼたん)
【富貴・美しさ】

着物柄:牡丹

牡丹の花は華やかな花姿から「百花の王」とも呼ばれ、古くから富貴の象徴として染織や工芸の柄として取り入れられてきました。

牡丹は4月~5月に咲くため春の着物に向く柄ですが、藁囲いとともに描かれる寒牡丹は冬の季節のモチーフにりなります。また、デザイン化されたものは季節を問わず和装の柄に取り入れられます。

着物の柄18:葡萄(ぶどう)
【豊穣・子孫繁栄】

着物柄:葡萄

葡萄はたくさんの実を付けるため、古くから豊穣の象徴とされてきました。葡萄の実と葉、蔓を文様化した葡萄文は、西方から中国を経て奈良時代に日本に渡来し、豊穣と子孫繁栄を象徴する吉祥文様として礼装の着物や帯の柄として用いられています。

また、実りの秋を感じさせるため、季節柄のおしゃれ着にも使われます。

着物の柄19:撫子(なでしこ)
【かわいい子】

着物柄:撫子

大和撫子の言葉もあるように、撫子は清楚で可憐な日本人女性の象徴として愛され、着物の柄としても取り入られてきました。子どもの頭を撫でるように愛でたいと思わせることが名前の由来とされ、かわいい子という意味を持ちます。

夏から秋に咲く秋の七草のひとつなので、夏~秋の着物にふさわしい柄です。

着物の柄20:桜(さくら)
【豊穣・繁栄】

着物柄:桜

桜は日本人が愛する花で、古くから意匠化され着物の柄にも多く用いられてきました。春を代表する花ですが、バリエーションが豊富で、四季の花と組み合わせるなどして季節を問わず着られる柄も多いです。

桜は春にたくさんの花が芽吹くため、物事のはじまりに縁起が良いとされるモチーフです。また、五穀豊穣を表し、「豊かさ」「繁栄」を象徴するといわれています。

着物の柄21:露芝(つゆしば)
【はかなさ】

着物柄:露芝

芝草に露が降りが様子を表した文様。朝の日差しによって消える露は、はかなさを表現しています。

円弧を描いた芝草に玉露を散らした涼しげな文様は夏の着物、薄(すすき)や秋草に露を添えたものは秋の着物の柄とされます。地紋の場合は季節は問いません。

着物の柄22:紅葉(もみじ)
【長寿・世渡り上手】

着物柄:紅葉

紅葉や楓を文様化した紅葉文は、秋を代表する着物の柄です。紅葉は長寿を意味するおめでたい柄。また、季節により葉の色を変え人々を喜ばせることから「世渡り上手」という意味も持ちます。

桜と組み合わせた「桜風文」や、流水と絡ませた「竜田川」、鹿と合わせた「鹿紅葉」などが着物や帯によく用いられています。

着物の柄23:唐草(からくさ)
【長寿・子孫繁栄】

着物柄:唐草

蔓草が絡み合う様子を表現し、文様化したのが唐草文。模様としての歴史は古く、古代エジプトで生まれ、シルクロードを経て奈良時代に日本に伝わったとされています。

蔓草の強生命力にあやかり、長寿や子孫繁栄の意味を持ちます。縁起が良い吉祥文様とされ、お祝いの着物の柄によく用いられます。

着物柄の種類と意味3【動物文様】
生き物を用いた着物柄

農耕文化が根強い日本では、他国に比べ動物文様は少ないものの、獣や鳥、魚介類から中国から伝わった空想上の生き物まで多様な動物文様があり、着物の柄になっています。

着物の柄24:鶴(つる)
【長寿・夫婦円満】

着物柄:鶴

「鶴は千年」という言葉があるように、鶴は長寿延命の象徴とされ、単独はもとより、亀や松竹梅などとともに吉祥文様として広く用いられます。

また、鶴は夫婦仲良く一生を添い遂げるため夫婦円満の象徴でもあります。見た目にも優美で、婚礼衣装の柄としても定番です。

着物の柄25:鳳凰(ほうおう)
【平和・高貴・祝福】

着物柄:鳳凰

鳳凰は古代中国の伝説の鳥で、天下泰平をもたらす瑞鳥とされます。日本では正倉院宝物のなかの染織や諸工芸のデザインにも用いられ、吉祥文様の代表柄のひとつです。

平和や高貴、祝福などの意味を持ちます。

着物の柄26:ふくら雀
【招福・豊かさ】

着物柄:ふくら雀

ふくら雀は、冬の寒さを防ぐために羽毛をふくらませた状態の雀を文様化したものです。当て字で「福良雀」や「福来雀」と書き、「福が来る」という縁起が良い意味をもちます。

また、ふっくらとした佇まいから「豊かに暮らせるように」との願いも込められます。吉祥文様として通年を通して着用できます。

竺仙
竺仙鑑製浴衣地 綿紬 ふくらすずめ文 藍

着物の柄27:兎(うさぎ)
【長寿・招福・飛躍・豊穣・子孫繁栄】

着物柄:兎

月では兎が不老長寿の仙薬をついているという伝説から、中国では兎は長寿の象徴とされています。また、長い耳は福を集めるといわれ、跳びはねる様子は飛躍を表し、繁殖力から豊穣・子孫繁栄の象徴ともされます。

愛らしい姿から、現代においても着物の柄として人気。兎に付きや秋草といった取り合わせも、夏から秋のおしゃれ着によく描かれています。

着物の柄28:蜻蛉(とんぼ)
【勝利・出世】

着物柄:蜻蛉

蜻蛉はまっすぐにしか飛ばないことから、別名「勝ち虫」とも呼ばれ、縁起を担ぐ武士の武具などの柄にも多く用いられました。勝利などの意味があるほか、物の先に止まる性質から人の上に立つ出世への願いが込められ、男児の産着などの柄にも使われました。

江戸時代以降、武士以外にも着物の柄として取り入れられるようになり、夏の着物や浴衣の柄としても多く用いられています。

着物の柄29:鴛鴦(おしどり)
【夫婦円満】

着物柄:鴛鴦

美しい羽色を持つ鴛鴦は、雌雄がつがいで泳ぐ仲睦まじい姿から、古くから夫婦円満の象徴とされ模様として愛されてきました。

吉祥文様として、婚礼衣装や留袖など正装の着物や帯によく描かれます。

着物の柄30:蝶(ちょう)
【立身出世・不死】

着物柄:蝶

蝶は羽根やひらひらと舞う姿の美しさから、虫類の文様が少ない着物柄でも古くからモチーフとして用いられてきました。蝶は青虫からさなぎになり、羽が生えた姿へ大きく変わるため、立身出世や不死不滅などの意味があります。

平家の家紋である「揚羽蝶」や、有職文様の「向かい蝶」などさまざまな図案があり、礼装から普段着まで広く用いられています。

着物の柄31:貝尽くし(かいづくし)
【夫婦円満・家庭円満】

着物柄:貝尽くし

貝尽くしは、さまざまな形の貝を模様にして集め意匠化したものです。貝は命・豊穣の象徴。なかでも蛤は対となる殻以外にぴたりと重なるものがないことから夫婦の契を象徴し、夫婦円満・家庭円満の願いが込められます。

海藻や流水などと合わせて海辺の情景を描くこともあり、夏の着物の柄としてほしくなる文様です。

灯屋2
貝尽くし文様訪問着

着物の柄32:燕(つばめ)
【安産・縁結び】

着物柄:燕

春になると越冬していた南の島からやってくる燕は春の風物詩。外側に伸びた尾羽を長く引く姿は意匠化され、春から夏の着物の柄によく用いられます。

毎年決まった軒先に巣を作り子育てをする姿がよく見られるため、古くから安産や縁結びにも縁起が良いとされています。

着物の柄33:千鳥(ちどり)
【勝利・豊かさ】

着物柄:千鳥

海辺や川原で群れで飛ぶ千鳥を意匠化したものです。愛らしい風情が古くから親しまれ、夏物の着物や浴衣の定番柄になっています。

千鳥は「千取り」にかけて「勝利」や「豊かさ」を意味します。また、水に関する文様と組み合わせて描かれることも多く、波文と合わせた「波に千鳥」は、波間を世間にたとえ「ともに荒波を乗り越えていく」という意味を持つとして、夫婦円満や家内安全などを意味する縁起の良い柄と言われています。

着物の柄34:荒磯(ありそ・あらいそ)
【立身出世】

波間に鯉が跳ねるさまを表した文様。もともとは名物裂の「荒磯緞子」に由来しています。

中国では龍門という急流を超えた鯉は龍になるという故事があり、これにちなんで出世を意味する吉祥文様とされています。

加藤商店
角帯 正絹 博多織物 原田織物 荒磯 青

着物柄の種類と意味4【自然・風景文様】
自然風景を使った着物柄

山や海、川などの自然風景を美しく文様化したもの。大胆なデフォルメを加えたり、なかに別の文様を配置して場面を区切ったりすることが多いのも特徴です。

着物の柄35:瑞雲(ずいうん)
【縁起が良いことの兆し】

着物柄:瑞雲

瑞雲とは、おめでたいことがある前兆として現れる雲のことです。平安時代以降、公家の装束や調度品に用いられた「有職文様」にも見られ、吉祥柄として祝儀の着物や帯に用いられてきました。

中国で不死の象徴とされる「霊芝(れいし)」と呼ばれるキノコをかたどった「霊芝雲」という枯れた雰囲気のデザインもあります。

着物の柄36:雲取り(くもとり)
【悠々自適な暮らしへの願い・輪廻転生】

着物柄:雲取り

雲取りは、雲がたなびいているさまを表し、輪郭のなかにさまざまな模様をあしらった文様です。昔の人に天候を左右する不思議なものと捉えられていた雲。千差万別にかたちを変えることや龍や神の住処とも言われることから常識を超えた力と結び付けられ、良い事が起こる兆しを伝えるものとしておめでたい着物の柄として使われるようになりました。

雲の漂う姿やくり返し沸き立つ姿から連想し、悠々自適な暮らしへの願いや輪廻転生の意味があると言われます。着物の柄のつなぎ目や模様の途中で区切りの役割で用いられることも多いです。

着物の柄37:流水(りゅうすい)
【魔除け・清らかさ・火除け】

着物柄:流水

幾筋もの曲線で水の流れを表した流水文。固有の形を持たない水の流れは、季節の草花や花筏、扇などさまざまなモチーフと組み合わせて用いられることが多いです。

曲がりくねって流れる水の様子から「清らかさ」を表し、厄を流す「魔除け」や「火除け」の意味も持ちます。

着物の柄38:観世水(かんぜみず)
【変わり続けていく未来】

着物柄:観世水

横長に渦を巻く水模様を観世水といいます。能楽の流派のひとつである観世家が定式文様として使ったことからこの名が付きました。

つねに新しく変わりながら姿を留める水の流れから、「変わり続けていく未来」を意味します。

着物の柄39:雪輪(ゆきわ)
【豊穣・豊作】

着物柄:雪輪

雪輪は、雪の結晶を円形で表した文様です。なかに模様を入れたり、文様を区切る目的で使われるものもあります。雪は春の豊富な雪解け水を意味し、豊穣、豊作を象徴する柄です。

季節を問わない柄で通年着用でき、涼感を表現するために夏の着物の柄にも使われます。

着物の柄40:エ霞(えがすみ)
【永遠】

着物柄:エ霞

エ霞は、霞がたなびく様子を「エ」の字のように図案化したもの。霞は現れては消えることから、「永遠」の意味があると言われています。

風景や草花と組み合わせて描かれることも多く、中をほかの文様で埋めたり、空間を区切るのに用いたりと着物の柄としてなくてはならないもののひとつです。

着物の柄41:雪持ち笹(ゆきもちささ)
【豊作への願い】

着物柄:雪持ち笹

笹に雪が降り積もったさまを表した着物柄です。雪は豊年の兆しとされ、雪の重みに耐える枝葉の姿に豊作への願いが込められています。

雪の重み、冷たさに耐えるしなやかな植物の姿に豊作・春への期待が込めた柄はほかにもあり、雪持ち柳や雪持ち梅などもあります。

着物柄の種類と意味5【器物文様】
身の回りの道具を使った着物柄

器物文様(きぶつもんよう)とは、扇や巻物、文箱などの身の回りにある道具類や生活用品を文様化したものです。季節の花や別の文様と組み合わせて用いられることも多く、御所車や貝桶などの平安の宮廷人の生活を彩ったものは「王朝文様」と呼ばれ、礼装や晴れ着に向いています。

着物の柄42:扇面(せんめん)
【開運・繁栄】

着物柄:扇

扇は末広がりのかたちから、「開運」や「繁栄」を表す縁起が良いものとされ、晴れ着の着物や帯の柄として多く用いられてきました。

なかに草花などさまざまな模様を入れて描くほか、扇に貼る紙の部分だけを文様化したものや、飾り紐を付けた華麗な柄などさまざまなものがあります。

着物の柄43:宝尽くし(たからづくし)
【開運招福・繁栄】

着物柄:宝尽くし

宝尽くしは、縁起が良いとされる宝物をいくつか散らした吉祥文様。「開運招福」や「富貴繁栄」を意味します。もとは中国の吉祥思想のひとつ「八宝」に由来しますが、鶴亀や松竹梅なども加え日本風にアレンジされており、晴れ着や礼装の着物の柄として使われています。

描かれる宝は打出の小槌や宝珠、隠れ蓑、如意分銅などで、時代や地域によって異なります。

着物の柄44:熨斗文(のしもん)
【おめでたい意味を持つ吉祥文様】

着物柄:熨斗文

鮑の肉を薄く削ぎ、引き伸ばして乾かした「熨斗鮑」を儀式の肴に用いたことがはじまりとされる熨斗。熨斗文は、この熨斗を文様化したものです。熨斗は祝儀物などに添えられることから、おめでたい意味を持つ柄として振袖や礼装の着物によく用いられています。

細長い帯状の紙を数本束ねた「束ね熨斗」として表現されることが多く、さまざまな吉祥文様を入れてデザインされます。

着物の柄45:矢絣(やがすり)
【出戻らない】

着物柄:矢絣

矢の上部につける「矢羽根」を絣で表した柄です。射った矢は戻らないことから「出戻らない」の意味が込められた縁起のいい柄。嫁入り支度の着物にも多く用いられました。

明治時代に、女学生の袴に合わせた着物柄として大流行したことでも知られています。

着物の柄46:源氏車(げんじぐるま)
【永遠・発展】

着物柄:源氏車

源氏車は、平安時代に公家が乗っていた牛車、御所車(源氏車)の車輪を文様化したものです。源氏と名前につくのは、源氏物語由来のという意味。どこまでも回転する円の吉祥性を表現していて、「永遠」や「発展」などの意味を持つ縁起が良い柄とされています。

御所車全体を文様化した雅な雰囲気のものは、「御所車」と呼ばれます。また、四季の花をあしらった「花車」、流水に車輪が半分だけの「片輪車」などもあります。

着物の柄47:手毬(てまり)
【良縁・家庭円】

着物柄:手毬

日本に古くからある玩具、手毬を描いた柄です。手毬は長い糸を使って作られることから「縁を結ぶ」という意味があり、また丸い形から「円満な家庭を築けるように」との願いが込められています。

親が子どもに願いを込めて手毬柄の産着を着せたり、娘が嫁ぐ際にお守りとして手毬柄の着物を持たせたりすることもありました。見た目も愛らしく、子どもや成人前の女性の着物の柄に多く見られます。

着物の柄48:貝桶(かいおけ)
【夫婦和合】

ジャパンスタイル 貝桶に四君子宝尽し

貝桶は、平安時代の貴族社会に発生した王朝遊び「貝合せ」の貝を入れる貝桶を文様化したものです。貝合わせの貝は対になる貝以外にはうまく噛み合わないことから、結婚や貞操を象徴します。そのため、貝桶はかつて嫁入り道具のひとつでもありました。

貝桶に紐や花をあしらったりして文様化した貝桶文は、礼装用の着物や帯などに使われています。また、貝桶は雛飾りの道具でもあることから、雛祭りの頃の装いにも合います。

ジャパンスタイル
貝桶に四君子宝尽し

着物の柄49:瓢箪(ひょうたん)
【無病息災・子孫繁栄・商売繁盛・厄よけ】

着物柄:瓢箪

瓢箪を文様化したもので、酒器として使われたことから蒔絵や飾り紐で装飾されて表現されることも多いです。丸く愛嬌のあるかたちは江戸っ子にも好まれました。

語呂合わせから6つ揃えると無病(六瓢)息災と言われ、ご利益があるとされた縁起の良い柄です。また、種が多いことから「子孫繁栄」「商売繁盛」「厄除け」の意味も持つとされています。

着物の柄50:糸巻き(いとまき)
【長寿・子孫繁栄】

着物柄:糸巻き

糸巻き文は、染織に欠かせない糸巻きを文様化したものです。糸枠という立体的なものと板状の平面のものがあり、桜花などをあしらったものが女児の着物の柄などに見られます。

長い糸には「長寿」や「子孫繁栄」の意味が込められています。

着物の柄の選び方は?

着物の柄は季節先取りが粋

着物の柄は、季節を少し先取りするものを選ぶのが粋だとされています。たとえば花なら、実際に咲く1ヶ月くらい前から咲く直前までのシーズンがおすすめです。

これは、これから来る季節を着物の柄で予感させるという意味合いや、実際の自然の美しさに勝るものはないという昔からの考えによるもの。かならずこのルールに従わなくてはならないわけではありませんが、花が散るころには次の季節のモチーフを取り入れた柄の着物を着るとセンスのよさが引き立ちます。

季節を気にせず通年着られる着物柄もある

枝や茎が描かれた写実的な植物柄は季節に合わせて装うのが基本ですが、以下のようなものは通年を通して着用可能です。

  • 花だけが図案化された柄
  • 季節の異なる植物を複数描いた柄
  • 吉祥文様
    (格調高く縁起が良いとしておもに礼装用の柄として使われる文様。「松竹梅」「鶴」「亀」など)
  • 有職文様
    (平安時代以来の貴人の礼装や調度品に用いられた格調高い文様。「立涌」「亀甲」「七宝」など)
  • 「唐草」「唐花」
  • 「蝶」

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