本記事の制作体制
BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。
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「足袋」ってご存知ですか?若い世代だと読み方も知らない人もいるのではないでしょうか。今回は、「たび」の生き残りをかけて変革に挑戦し続ける足袋製造会社「きねや足袋」さんにお話をうかがってきました!
「足袋」って結婚式やお正月、お祭りのときくらいしか履く機会がありませんよね。正直僕も、履いたことはほとんどないです。
日本人の生活様式や衣服が時代とともに変化する中で、現在ではあまり需要がなくなってしまっているものも多いですよね。
住宅だと、掛け軸や障子、欄間といった昔ながらの日本家屋にはありましたが、現代のマンションなどではそもそも和室がなかったりするので、必要がなくなってしまっています。
衣服だと、浴衣や着物、雪駄や下駄そして今日取材をさせていただく「足袋」もまさしく現代の洋服文化の中で需要が減ってしまっているものですよね。
今回は、そんな需要が減少してしまっている日本の伝統的衣装である「足袋」の製造を行いながら、足袋の新しい需要を作り出す全く新しい活動をされている「きねや足袋」さんにお話を伺います。
きねや足袋が本社を構えるのは、埼玉県の北部に位置する行田市です。
行田は江戸時代の頃から「足袋の町」として知られており、武士の妻たちの内職として足袋づくりがはじまり、明治に機械化が進むと、全国の約8割の生産量を誇るまでに発展した一大生産地です。
2019年には「行田足袋」として経済産業大臣が指定する「伝統的工芸品」にも指定されています。
きねや足袋さんは、減少する足袋の需要に歯止めをかけるべく、全く新しい発想のランニング用足袋をつくり一躍脚光を浴びているメーカーです。
中澤さんよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
早速ですが、きねや足袋のこれまでの歩みについて教えてください。
1929年。先代は最初、家内工業的に足袋を作っていました。この時はまだ下請けだったんです。本業はアイスクリーム(かき氷みたいな)をワゴンで売っていた。当時田舎では珍しかったみたいです。
アイスクリームですか!時代を感じますね。
その後、初代は中澤足袋有限会社をつくり、下請けから自社ブランドへのシフトチェンジをしました。でも、売れなさすぎて起死回生のために熱海の芸者さん1500人くらいに無料で配っていたそうです。笑
当時は鬼怒川とか草津とかの温泉街に芸者が良くいて、当時の芸者は全国から出稼ぎに来ていたので、帰郷する際に自然と全国にきねや足袋の名前を広めてくれました。
その後はどうされていたんですか?
1949年にきねや足袋株式会社設立し、夏に売るものがないから、腹がけ、股引、鯉口シャツなど祭り商品も作りはじめました。
順調に事業を伸ばして行かれたのですか?
いえ、そこでも壁にぶつかり、若い子が加工業とか製造業に参入しなくなってきた時期で、人材確保が難しかったんですよね。そこで2代目は1993年ごろにベトナムに工場を建てました。
先代も、先々代もとてもチャレンジャーですね!その後どうされたのですか?
2014年10月に私が、3代目に就任しました。着物は無くならないけど、和装業界はどんどん右肩下がりになってきていて、このままじゃまずいなと思っていました。工場見学をしてもらい足袋のことを知ってもらう機会を増やしたり、様々な取り組みをしていく中で、足袋自体を他のチャンネルに使えるものはないか考え、ランニングシューズを作ることにチャレンジしました。
このままじゃまずいなと思われていたということですが、足袋の需要ってどのくらい減っているのですか?
昭和初期に、行田だけで年間8400万足も作られていました、当時の日本の人口の90%くらいです。驚きますよね。当時は、今の靴下と同じように毎日履かれていたんですよね。
年間8400万足ですか!?すごいですね!
今は全部合わせても200万〜250万足くらいです。昔は、行田には300軒ほど足袋の工場があったのですが、現在は登記しているのが12社だけになってしまいました。
昭和初期から考えると、約80年で95%以上需要が縮小してしまっているのですね。
そうなんです。また、着物を着ても良い足袋を買ってもらえるわけではないので価値が落ちてしまっているんですよね。成人式で使われている足袋は、見栄えと形重視で、実は本当の足袋ではない場合が多いんです。なんちゃって足袋のように、実は足袋もどきも多いので、成人式で使われている足袋は本物は少ないです。
本物の足袋を知らない人が多いっていうのは、とても残念なことですね。足袋を履くと良いことってどのような点があるのですか?
足袋は雪駄など覆われていない履物で使うので蒸れにくく、足の匂いを軽減できます。靴下の化学繊維では蒸れてしまいますが、綿100パーセントの足袋は適度な湿度を保ち、蒸れにくいです。
水虫などにも効果がありそうですね。
2つ目は、足裏の角質が取れて、足裏柔らかくなります。常に足袋の底と足が触れて摩擦されることでこのような効果があります
美容効果もあるのですね!すごい!
2つ先が割れているので、指への意識が発達します。それにより、脳への刺激が強まり良いと言われています。
確かに、素足に近い感覚で脳にも良さそうですよね!
4つ目は、外反母趾の矯正に効果があって、親指が分かれているデザインなので、矯正しやすいと言われています
そんな効果もあるのですね!
5つ目は、腰の痛みや膝の痛みを軽減する効果です。靴下の中で足が横ズレすると腰や膝に悪いのですが、足袋は横ズレが少なく体にいいと言われています。私も足袋を履くようになってから、全く腰痛がなくなりました。
足袋が、腰痛にも良いというのは驚きですね!これだけメリットが多い足袋なら多くの人に履いてもらいたいですよね。
そうですね。でもやはり生活様式の変化っていうのは、本当に大きくて需要が下げ止まらないのが現実ですね。そこで、私たちは、全くあらたなチャレンジとして「ランニング足袋」の製造に挑んだんです!
ランニング足袋って、どのように作り上げられたのですか?
2011年の秋ごろに元陸上選手で裸足のフルマラソン日本記録保持者の高岡尚司さんという方から電話があって、「裸足のような感覚で走れる陸上用の足袋がほしい」と連絡をいただきました。これがランニング専用足袋「KINEYA MUTEKI」の開発するきっかけになりました。
突然ですか!?
突然なんですが、高岡さんが来られる前に、高岡さんの若手スタッフの方が工場見学しに来られたんですよ。その事がきっかけとなったので、工場見学を続けてきてよかったなと思いましたね。
工場見学から、繋がりができるというのは本当に素晴らしいことですね!
ありがたいです。その後何度も試作をして約1年後にランニング足袋「KINEYA MUTEKI」が完成しました。本当に何度も何度も作り直したので、出来上がったときは感動しましたね!
「KINEYA MUTEKI」の特徴はどのあたりなんですか?
一番の特徴は、アウトソール(足袋の底)が5mmの天然ゴムを使っていて、脚の動きを邪魔せずに、素足感覚で走ることができるという点ですね!
素足で走ると痛そうですよね。
痛いです。最初はなかなか長い距離を走れないのですが、足裏の小指球から接地する様なイメージで足全体で着地する走法で走ると痛くないんです。
それってどのような効果があるんですか?
人間本来の方法で走ると、膝やふくらはぎにかかる負荷を減らせるということがあります。正しいフォームが身につくので長い距離を疲れずに走ることもできるようになります。
そんな効果があるのですね!実際の売れ行きはどうでしたか?
2013年の9月に販売をスタートして、足袋の新商品は売り始めはごく僅かなんですが、すぐに500足売れてしまいました。これは本当に驚きました。
500足ですか!すごいですね!
その後も東京マラソンの会場に販売スペースを設けたことや、テレビドラマの題材にランニング足袋がなったことなどで、売れ行きはとても良いです。
素晴らしいですね!
「KINEYA MUTEKI」は足袋の良さを広く知ってもらうための製品だと思っているので、楽しんで使ってほしいですね。
僕もランニングするときには、履いてみたいと思います!
ぜひ、よろしくお願いします。
きねや足袋さんのように、いろいろなことにチャレンジをして伝統的なものづくりを残していこうとしている方がいる一方で、後継者不足から廃業されてしまう方もいると思うのですが、後継者問題についてはどうお考えですか?
継ぐなとか継がなくていいとかお前は継ぐべきではないっていうのを60%くらいの職人が子供に言っているようなんですよね。私は、継いでほしいとか継いでくれないかとかを積極的に言うべきだと思っています。
そうなんですね。
俺はお前にこうなって欲しい。という言い方で子供に言っていくことで、子供の気持ちが前向きになっていくと思うんですよね。「こうしろ!」と言われると反発したくなっちゃいますが「こうしてほしい、こうなってほしい」っていうのは、気持ちなので、その気持が伝わると思うんです。
気持ちを伝えるって大切ですよね。
私の場合ですが中三くらいの時に、おじいちゃんが亡くなる直前に、最期人工呼吸器を付けながら「3代目よろしく頼むな」と言う一言が、家業に向き合うきっかけだったんですよね。
そうだったのですね。
跡継ぎがいる方は、絶対に自分が元気なうちに、想いを伝えるべきだと思うんです。言わなかったり変に気を使うことでギクシャクして余計継ぐ人が減ってしまいますし、想いを伝えることで、なにか前に進むと思うので。
想いが大切なんですね。後継者問題とも絡んでいると思うのですが、伝統工芸品として足袋を残していくために取り組んでいることは他にありますか?
足袋の館という見学スペースをつくっています。はじめは業者さん向けに見学解放していたんですが、もったいないので小学生から一般のお客様まで幅広い層に見学をしてい
反響はどうでしたか?
はじめは、まったく人が来ませんでしたが、最近ではバスで来てくださる方や外国人の方も増えてきて、工場見学を地道にやってきてよかったなと思っています。
他にはどのようなことを取り組まれているのですか?
機械化を導入したこともあるのですが、手作業の方が格段に早く仕上がったんですよね。熟練の職人技はやはりすごいです。また、技術の伝承という意味も込めて、機械化はせずにできるだけ手仕事でやっています。
新しいチャレンジをされていると思いますが、中澤さんお一人で考えているのですか?
全くそんなことはありません。社長と社員という構図で、みんなが社長の言うことを聞くだけではなくて、職人皆でアイデアを出し合ってものづくりをしています。伝統工芸品に行田足袋が指定されて、これからが大切な時期だと思うので、職人と力を合わせていいものをつくり続けたいですね。
貴重なお話をありがとうございました。
今回の取材で、縮小し続けている市場の中でも、新しいことにチャレンジをし続ければ道は拓けてくるのだなということを感じました。
また、伝統工芸業界の中で非常に深刻な後継者問題を抱えているところがとても多いですが、跡継ぎの方がいるという方は、ぜひ「想い」を伝えてもらいたいなと思いました。
売上が上がらずに、なかなか跡継ぎの方に「継いでほしい」と言えないという方も多いと思いますが、そんなときはBECOSに声をかけてみてください。
新しい販売ルートの開拓や生産管理の仕組みづくりなど一人では解決できないお悩みを一緒に解決してくれるはずです。
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