KUSKA(クスカ)がつくる、オールハンドメイドのネクタイの魅力とは

Journal編集長
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今回は、絹織物の産地として有名な京都・丹後で、手織り・手縫いにこだわり、シルク100%のネクタイを産み出しているKUSKA(クスカ)の楠(くすのき)社長にオールハンドメイドでネクタイを作るようになった経緯や、製品の魅力を教えていただこうと思います。

KUSKA(クスカ)とは

ネクタイを着用している男性

KUSKA(クスカ)は絹織物の産地として有名な京都・丹後で85年の歴史を持つ、老舗織物メーカーが2010年に発足した新ブランド。

糸づくりから染め・手織り・商品完成に到るまで、「職人の手仕事」にこだわりながら、ネクタイをはじめ、マフラー、スニーカーなど現代のライフスタイルにマッチした商品開発を精力的に行っています。2020年9月には東京都千代田区「日比谷OKUROJI(オクロジ)」に、旗艦店となる「KUSKA&THE TANGO(クスカ&ザ タンゴ)」をオープンするなど発展がめざましく、注目を集めるブランドです。

KUSKA&THE TANGO(クスカ&ザ タンゴ)店舗

楠社長

楠泰彦(くすのきやすひこ)

1936年に創業した、丹後ちりめんの製織、販売業を営む家の次男として生まれる。30歳で丹後に戻り、32歳でクスカ株式会社代表取締役に就任。手織りに特化したブランド「KUSKA」を立ち上げる。両親、妻、2人の子どもと暮らす。

Journal編集長
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楠さん今日はよろしくお願いします!KUSKAさんが生産の拠点を置く、京都・丹後は古くから日本でもトップクラスの絹織物の生産地ですよね。なぜ丹後では古くから絹織物の生産が盛んだったのでしょうか?

楠さん
楠さん

丹後地方は海や山といった自然に恵まれ、秋から冬にかけて吹く「うらにし」という季節風の影響で雨や雪が多く湿気が多いのが特徴です。そういった気候風土が、絹糸を扱う作業と相性が良く、古くは江戸時代から、絹織物の産地として栄えていったんですよ。

丹後の海 丹後の山

Journal編集長
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中でも有名な「丹後ちりめん」とはどういったものでしょうか?

楠さん
楠さん

シボと呼ばれる細かな凹凸が特徴的で、染色した際の発色が良さや、シワになりにくいといった特徴から着物の生地として、多く用いられてきました。1970年代の前半には生産量がピークを迎えますが、ライフスタイルの変化とともに着物離れが進んだこと、海外から安い生地が輸入されるようになったことなどが影響し、約40年間で全盛期の3%にまでに生産量が激減しているのが現状です。

絹糸

Journal編集長
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そのような背景の中、KUSKAブランドはどのような経緯で誕生したのでしょうか?

楠さん
楠さん

右肩下がりの織物業界において、厳しい風向きをガラリと変えるためには、大きな方向転換が必要だと感じていました。手織り品ならではの“温かみ”や“風合い”に着目し、2008年に3代目として社長に就任したと同時に、それまで使用していた機械織機を全て手放し、手織り品への全面的な切り替えを行ったのです。そういった流れの中で、2010年に「昔の織り技法で今のライフスタイル」をコンセプトに掲げたブランドKUSKAが誕生しました。

楠泰彦氏

Journal編集長
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全ての機械織機を手放されたとは、大胆な方向転換ですね!今や知る人ぞ知るブランドですが、どのように認知度を高められていったのでしょうか?

楠さん
楠さん

商品改良を積み重ね、職人のハンドメイドであるといったストーリーにスポットを当てることで、だんだんと認知度が上がったと認識しています。2012年にはユナイテッド・アローズの20周年コラボネクタイを発売。京都デザイン賞といったアワードを受賞したことなども認知度を上げた大きな要因となっています。2017年からは海外の展示会にも出展しているんですよ。

Journal編集長
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海外での反響はどうですか?

楠さん
楠さん

“手織りだけのブランド”というのは海外でも希少なので、生地自体に興味を持っていただくことが非常に多く、イタリアやイギリスのバイヤーから「こんな美しい生地は見たことがない」といったお言葉をいただいたこともあります。英国王室御用達紳士服飾店「HUNTSMAN(ハンツマン)」からも生地にお墨付きをいただいて、店頭でKUSKAのネクタイを展開するといった機会にも恵まれました。

Journal編集長
Journal編集長

衰退が激しい業界に、新風を吹き込まれて、目覚ましい発展を遂げられているのですね!

手織りネクタイの魅力とは 

作業風景

Journal編集長
Journal編集長

主力商品である手織りネクタイは、全商品に対して、どのぐらいの割合で作られているのですか?

楠さん
楠さん

現在は、全体の80%程度を占めています。コロナ以降は手織りのマスク製作などにも取り組んでいます。

Journal編集長
Journal編集長

KUSKAのネクタイを実際に触ってみると、厚みや立体感といったものを感じるのですが、手織りのネクタイは、機械織りのものに比べて、どのような違いがあるのでしょか?

楠さん
楠さん

手織りの場合、職人が優しくゆっくりと空気を入れながら織っていきます。「絡み織」という織り方を用いてるのですが、立体的で陰影を持たせた仕上がりを実現することができるので、シルクならではの“重厚感”や“光沢”を存分に楽しむことができるんですよ。とても丁寧に作業を進めるので、1日に1人の職人が織れる手織りの生地の長さはネクタイ2〜3本分なんです。

ネクタイ裏側

Journal編集長
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機械で生産するものと比べると、とても希少なものなんですね!実際に、利用されている消費者の方からはどのような反響がありますか?

楠さん
楠さん

生地がつるっとしていないので、「キュッと締まる感覚が心地良い」とご好評をいただいています。「生地自体に陰影があることで、着けた姿が美しい」といった声も届いていますよ。

ネクタイを着用している姿

Journal編集長
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リピーターの方が多いのでは?

楠さん
楠さん

そうですね。「一度味わうと他のものは買えない」といってくださる方が多いですね。

Journal編集長
Journal編集長

様々なデザインを展開されていらっしゃいますが、丹後ジャガードタイの独特な風合いは、中でも印象的ですね。

楠さん
楠さん

機械織りでこのような表情を出すのはなかなか難しいので、手織りのジャカード織りならではの「流れるような上品な織り柄」をぜひ楽しんでいただきたいです。丹後の青い海をイメージした「丹後ブルー」のジャガードタイはとても人気があって、品薄な状態なんですよ。

丹後ジャカードタイ商品画像

Journal編集長
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単色で使いやすいカラーが揃っているので、幅広い年齢の方にマッチしそうですね!

ネクタイの色展開

ALL HAND MADE IN TANGOにこだわる理由

Journal編集長
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タグにある「ALL HAND MADE IN TANGO」の記載が印象的ですが、このように記されているのには、何か理由があるのでしょうか?

楠さん
楠さん

KUSKAは糸づくりから染め・手織り・商品完成までを全て丹後で行うことにこだわりを持っています。

絹製品を作る過程には、不要なものを落とす精錬や染色など様々な加工があるのですが、丹後にはそれぞれの過程で高い技術を持ったスペシャリスト達がいますし、絹糸を扱うのに適した気候風土があるので、ここでしかできないものづくりが行えるのです。

また京都といえば南が注目されがちですが、日本海側である丹後には海があり、自然や食といった部分もとても魅力的な地方です。“丹後”を世界に向けて発信し、地域活性化を図る一貫として、「KYOTO」でもなく「JAPAN」でもなく、「ALL HAND MADE IN TANGO」と記載しているんですよ。

タグ

“伝統工芸をモダナイズさせる”とは

手織り作業風景

Journal編集長
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”伝統工芸をモダナイズさせることがKUSKAの使命”といったメッセージをSNSなどで発信されていますが、具体的にどういった意味なのでしょうか?

楠さん
楠さん

丹後ちりめんを和装で使われるものから、洋装でも使われるものへと変化させたように、300年の歴史がある丹後ちりめんの技術を使いながらも、時代に即した新しいものを作っていきたいと思っています。その結果、丹後の織物に対する認知が新たに広まったり、消費増に繋がるんだよという実績を積んでいきたいと思っています。そういった結果を残すことで、地場産業の良さを地元の方にも再認してもらえるきっかけになれば嬉しいですね。

Journal編集長
Journal編集長

丹後の伝統ある技術を生かしつつも、現代生活にマッチした製品。とても魅力的ですね!私も早速KUSKAのネクタイを手に入れたくなりました。

KUSKAのおすすめネクタイ

オールハンドメイドの高級ネクタイ
一度締めたら虜になること間違いなしの逸品

一度締めたら虜になること間違いなしの逸品

世界でも珍しい手織り、手縫いにこだわったシルク100%のネクタイ。独特の織り柄とニットタイのようなかろやかさ、手織りの立体感が生み出すシルクの光沢が胸元を印象的に飾ります。その品質は英国王室御用達のテーラーにも認められ、世界から高い評価を得ています。
シルクにストレスを与えないよう、手織りでゆっくりと空気を含ませながら織っています。

 

KUSKA
KUSKA ガルザタイ

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編集後記

効率の良い機械織りをあえて手放し、手織りに移行することで、独自性を高めるブランドKUSKA。伝統に裏打ちされた高い技術と、織物産業、地場産業の活性化への思いが詰まったオールハンドメイドのネクタイは、身に付ける人に特別な気品と自信を与えてくれるだけでなく、伝統工芸を未来へとつなぐ価値ある1本と言えそうです。

取材/赤津陽一 構成・文/板倉理紗