西陣織の技術を活かしてつくる!ネカドのプリーツネクタイの魅力

本記事の制作体制

熊田 貴行

BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。

プリーツのアイディアを組み合わせることで新たな西陣織の魅力を引き出したネカドのプリーツタイ。その魅力と生まれた背景を伺います!

ライター上原
ライター上原

京都を代表する伝統工芸品である西陣織。プリーツというアイディアを組み合わせることで、西陣織ネクタイの新たな魅力を生み出したネカド株式会社の根角専務に、西陣織の魅力とプリーツネクタイが生まれた経緯を教えていただきます!

目次

洋装に和の伝統を~西陣織ネクタイの老舗・ネカドとは

プリーツネクタイ(たて縞ブルー)の写真

ネカドは、1940年より続く老舗の西陣織ネクタイメーカーです。

日本が誇る最高峰の織物・西陣織に魅せられた初代・根角晃(ねかどあきら)さんが、洋装時代の紳士の嗜みとしてのネクタイに、西陣織を採用したことで誕生しました。創業時からオリジナル商品の開発などブランド展開を進め、伝統的技術を生かしつつ、新たなデザイン性を持つ商品の開発を精力的に行っています。

多様な織り方が魅力の西陣織とは

1500年を誇る西陣織の歴史

ライター上原
ライター上原

京都といえば豪華絢爛な西陣織!という印象を持つ方も多いと思いますが、改めて、西陣織にはどのような歴史があるのでしょうか?

根角さん
根角さん

歴史は5〜6世紀に遡りますが、大きく発展したのは平安時代だと言われています。

根角さん
根角さん

「西陣織」という名前自体には約500年の歴史があります。室町時代の応仁の乱の際に京都を離れた織物職人たちが、戦乱の際に山名宗全(やまなそうぜん)率いる西軍の陣地が置かれていたあたりで事業を再開したため、「西陣織」と呼ばれるようになりました。

根角さん
根角さん

江戸時代には飢饉や奢侈禁止令(しゃしきんしれい)、他産地の勢力増などによって需要が減少しましたが、ジャガード織機などの海外の先進技術の導入に積極的であったため、近代化に成功しました。

ライター上原
ライター上原

さまざまな時代の変化にも負けずに続いてきた歴史があるのですね!

織り方で魅せる、西陣織の特徴

西陣織の帯の写真

ライター上原
ライター上原

他の織物とは違う、西陣織の特徴はどういったものでしょうか?

根角さん
根角さん

先染め(さきぞめ)の糸を使い、織組織(おりそしき)を多様なパターンに組み変えることで文様を表現するのが一番の特徴です。

参考

織組織(おりそしき)とは
経(たて)糸と緯(よこ)糸をどのような規則で交差させ、布を織り上げていくかのパターン。

根角さん
根角さん

織組織が多様なことから多くの品種が生まれ、それを職人たちが少量ずつ生産していることも特徴的です。

参考

1976年より国の伝統的工芸品に指定されている西陣織は、全12種。綴(つづれ)、経錦(たてにしき)、緯錦(よこにしき)、緞子(どんす)、朱珍(しゅちん)、紹巴(しょうは)、風通(ふうつう)、綟り織(もじりおり)、本しぼ織(ほんしぼおり)、ビロード、絣織(かすりおり)、紬(つむぎ)となっており、それぞれ異なった歴史と、文様を表現するための独自の織組織がある。

ライター上原
ライター上原

織組織に工夫が凝らされていることによって、緻密で色彩も豊かな西陣織ができ上がるのですね!

西陣織の製作工程~様々なプロが分業制で活躍

西陣織を織っている写真

ライター上原
ライター上原

続いて、西陣織の製作工程について教えてください。

根角さん
根角さん

製作工程は分業制になっています。大きく分けて、織物のデザインと設計図を作る企画・製紋工程、使用する糸を染めたり太さを調整したりする原料準備工程、織機に糸をセットする機(はた)準備工程、実際に織る製織工程、そして整理加工などの仕上げ工程があります。ネクタイを作る場合にはこの後にさらに裁断と加工、縫製の工程があります。

ライター上原
ライター上原

それぞれの工程のプロが連携を取りながら製作するのですね!ネカドさんではどの工程を担っているのでしょうか?

根角さん
根角さん

企画・製紋工程です。オリジナルのデザインや織組織の組み合わせを考えて、ネクタイ作りをしています。

紋紙(もんがみ:ジャカード織機で糸をどこに通すかを示すもの)の写真

西陣織とネクタイ業界の現状

ライター上原
ライター上原

ネカドさんは80年以上続く西陣織ネクタイの老舗ですが、西陣織業界の中でネクタイというのはポピュラーな分野なのでしょうか?

根角さん
根角さん

はい。西陣織の生産者は、大きく着物・金襴・ネクタイ・その他の分野に分かれています。ネクタイの分野は戦後すぐくらいから始まっているため、携わる企業が多いです。国内のネクタイ生産量で見ても、京都西陣は全国一位と言われています。

ネクタイを縫製している写真

ライター上原
ライター上原

洋服が一般化してきた時代に、いち早く着物の技術を応用しようという試みがネクタイの製造に繋がったのですね!しかし、現在日本の伝統工芸品はどこの産地でも厳しい状況だと言われています。西陣織業界の現状はいかがでしょうか?

根角さん
根角さん

やはり需要は大きく減っていますね。金襴の分野では土産物やお守り、アニメとのコラボなどを通して頑張っている企業もいると聞きますが、着物やネクタイの分野は西陣織に限らず、製品そのものの需要の減少が影響し、厳しい状況です。ネクタイ専業の会社の廃業も多く、10年で半分ほどになっています。

ライター上原
ライター上原

職人さんの高齢化や後継者不足なども問題なのでしょうか?

根角さん
根角さん

そうですね。まず商品が売れないと、後継者を招き入れること自体に消極的になります。そんな状況を打破するためにも、新たな個性のある商品を生み出し、西陣織ネクタイの需要を高めたいと思っています。

ネカドのつくる西陣織ネクタイの特徴

プリーツネクタイ(ドット柄ライトブルー)の写真

ライター上原
ライター上原

ネカドさんの西陣織ネクタイの特徴を教えてください!

根角さん
根角さん

まず、西陣織の中でも使用しているシルクの糸が細いため、通常の2〜3倍以上の高い密度で生地が織られています。

ライター上原
ライター上原

最高級のシルク糸で丁寧に織られているので、独特の光沢と、しっとりした質感が生まれるのですね!

糸の写真

ライター上原
ライター上原

糸の太さ以外にも特徴となる点はありますか?

根角さん
根角さん

それぞれの商品の生地に合わせたを選び抜くことで、締めやすく、朝締めても夜までシワにならないようなネクタイを提供しています。

ライター上原
ライター上原

糸の太さや芯の種類など、細部まで妥協のないこだわりが、ネカドさんのネクタイ独特の見た目の美しさや、心地よい使用感につながるのですね!

最高級のプリーツタイ

多くの壁を乗り越え完成したプリーツタイ

ライター上原
ライター上原

ネカドさん独自の商品、プリーツタイはどのような経緯で生まれたのでしょうか?

根角さん
根角さん

きっかけは、偶然プリーツ加工のできる職人さんと出会ったことです。個性的かつ、使いやすいネクタイを作りたい、ネクタイ専業の老舗として他には真似できないものを作りたい、という信念にプリーツが合うと思いました。

ライター上原
ライター上原

確かにプリーツの入ったネクタイはとても珍しく、目を引きそうですね!

プリーツネクタイ(ストライブ)の写真

ライター上原
ライター上原

プリーツを取り入れるにあたって難しいことはありましたか?

根角さん
根角さん

よじれが生じやすいため、シルクにプリーツ加工をするのはとても難しく、初めはできるかわからないと言われました。

根角さん
根角さん

また、西陣織ではプリントではなく、先染めの糸を織ることによって柄を表現するため、通常より生地が厚くなります。生地を折り畳むことで生まれるプリーツの効果を施すにあたって大きな関門でしたが、何度も試行錯誤を重ねて、現在の商品に至りました。

ライター上原
ライター上原

プリントではない柄入りのシルクにプリーツを施す技術だけでも、大きく差別化が図れるのですね!他にもこだわっている点はありますか?

根角さん
根角さん

プリーツの向きです。横向きのプリーツが入ったネクタイはイタリアなどでも見られますが、ネカドのネクタイのような縦に入ったプリーツは珍しいです。

根角さん
根角さん

また、縦半分にプリーツを入れることで、プリーツの立体感と、ネクタイ本来の光沢感の両方が生きるため、どの角度からも美しく個性的に見えるネクタイに仕上がりました。

複数のプリーツネクタイの写真

ライター上原
ライター上原

目を引くこと間違いなしのネクタイですね!プリーツ加工以外で、製作工程において特別なところはありますか?

根角さん
根角さん

プリーツという凹凸のある状態では通常の機械で縫えないため、職人さんが1本ずつ手縫いで縫製を行っています。日本にもうほとんどいないレベルの技術を誇る職人さんが携わってくれているのは、分業制の西陣織の良さが表れていると思います。

ライター上原
ライター上原

まさに新たな技術と伝統の融合ですね!

プリーツタイから考える、西陣織のこれから

ライター上原
ライター上原

最後に、西陣織と西陣織ネクタイの未来についてどのようにお考えですか?

根角さん
根角さん

西陣織は長い歴史の中で、何度も衰退と発展を繰り返しながら続いてきた織物です。和装から洋装に転換する時代にネクタイの需要を見抜いて適応したように、これからもその時代にアピールする新しい魅力を持った商品で伝統を繋いでいきたいと思っています。

根角さん
根角さん

プリーツの技術以外にも、他の伝統工芸やアーティストとのコラボレーションも積極的に行うなど、新しい試みにもチャレンジしながら、高品質で長く愛されるネクタイを目指していきたいと思います。

ライター上原
ライター上原

今の時代、品質もデザインも風化することなく長く愛せるネクタイは、サステナビリティーの観点でもとても魅力的ですね!

伝統と新たに組み合わされる技術で個性的に!
西陣織のプリーツタイ

西陣織のプリーツタイ

歴史ある西陣織にプリーツという新たな発想と技術が加わった特別なネクタイ!試行錯誤の末に生まれた技術の融合で、他にはない、個性的かつ上品なネクタイです。

色柄種類も豊富!新たな華やかさを纏った西陣織で、ネクタイを締める1日をより特別に彩ります!

NEKADO|西陣織
プリーツタイ

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まとめ

カジュアルなワークスタイルが広まってきている中、ネクタイを締める機会はより特別なものとなっています。その特別さを思う存分楽しむために、西陣織の伝統と技術に新しい発想が掛け合わされたプリーツタイは、ぴったりだと思いました!

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