本記事の制作体制
BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。
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「セーブルのブルー、オークラのホワイト」とも称される超一流陶磁器ブランドである大倉陶園。今回はその100年を超える歴史と、大倉陶園ならではの白磁の美しさの秘密について取材してきましたので、魅力をお伝えできればと思います!
そもそも大倉陶園を創立した頃の日本の洋食器文化は、どのような感じだったのでしょうか?
大倉陶園は1919年に創立しました。当時の宮中晩餐会などでは、輸入されたヨーロッパの一流洋食器が主に使われていたそうです。
外国の方をおもてなしする場面でも、食器はヨーロッパのものを使用していたんですね。
しかし国際社会の中で、国賓をもてなす晩餐会で使用する食器は、その国の国産であることが暗黙の了解になっており、その際に輸入食器を使うことは、国際交流上好ましいことではございませんでした。
そこで大倉陶園が最高級洋食器をつくることで、国益に貢献させていただこうと思ったのです。
まさに日本の洋文化の立役者だったんですね!
しかし、あくまで日本人の暮らしに寄り添う洋食器の製造を大切にしていた大倉陶園では、日本の良さである四季を色で伝えたり、繊細に写し取った木々や花々をデザインに取り入れたりして、日本人の美意識に基づいた創作を試みてまいりました。
日本らしさを器に込めて発信されていたんですね!
大倉陶園が創立されてすぐに、製造技法の研究が始まりました。
最初はどのような陶磁器を目指していたのでしょうか?
白磁(はくじ)の美しさと強度を兼ね備えた、硬質磁器をつくることを目指しました。世界最高の磁器をつくろうという熱い想いが当時からあったそうです。
ここでも『良きが上にも良きものを』という創立の理念を大切にされていたんでしょうね!
そうですね。そして1922年、大倉陶園初めての製品『白磁薄肉彫蓋付菓子鉢』が完成いたしました。
3年もかかったんですね!特徴を教えてください!
色の白さ、磁器質の硬さ、肌のなめらかさです。素地は、ほかには類を見ない1460度という高温で本焼きをした、硬質磁器となっています。釉薬も、基本的には現在も同じ調合でございます。
今日の大倉陶園の土台となっている白さと硬さ、滑らかさは、創立当初から変わらないんですね!
そうですね。『白磁薄肉彫蓋付菓子鉢』の完成以後、大倉陶園は博覧会や展覧会に積極的に出展を行っていくようになります。宮中の饗宴用食器に国産洋食器を取り入れることも成し遂げ、接待用食器を国産化することに成功いたしました。
大倉陶園の魅力が国内外の方に知ってもらえるようになったんですね。
1930年代は財閥や名家の特別注文に応じると同時に、各地の百貨店での販売会やレストランを通じて、一般の方々にも質の高い製品をご提供させていただくようになりました。
また海外要人のもてなしを目的に創業された老舗ホテルにもご納入させていただきました。
国賓や海外の方を楽しませただけではなく、一般の人々にも洋食器に触れる機会ができたのですね!
なぜ蒲田から戸塚の方へ移転されたのでしょうか?
いくつかの理由がございます。
戦時中の空襲で工場が焼かれてしまったこと。
戦後の高度経済成長の中、学校用地として話があったこと。
またその後の好況によって、新たな工場設備の必要もございました。
また、戸塚の土地は、ケラー式トンネル窯を構えることができる工場用地だったから、ということです。
トンネル窯
トンネル状の長い炉体の入り口から、台車に積載した焼成前の製品を炉体でゆっくりと移動させ、出口に到達するまでの48時間に焼成の全行程を終える窯のこと。
このトンネル窯の導入によって、均質な製品を連続して製造することが可能となりました。これを核とし各工場設備を充実させ、今日まで続く新体制が確立されました。
現在も変わらず稼働しているなんてすごいですね!
東京・蒲田に大倉陶園が創立されてから 100 年の時が経った2019年には、「華めく洋食器 大倉陶園 100 年の歴史と文化」展が開催されました。
創立100周年の展覧会では、草創期から現在までの作品を通じ、その優れたデザインや品質についてご紹介しました。また近年の研究成果として、戦前の様子を伝える貴重な資料も展示いたしました。
戦争で当時の社屋が焼失してしまったということで、それまでの大倉陶園の歩みを知ることができる資料は貴重ですね!
そうですね。また、創立100年記念作品である100種類の花々で彩った特別なディナーセット「百花譜(ひゃっかふ)」を製作しました。こちらは限定5セット、価格は1000万円でしたが、おかげさまで展覧会中に販売を終了いたしました。
1000万円ですか!一貫して美術的価値の高い磁器をつくり続けてきた大倉陶園は、100年経っても変わらず愛されているのですね!
そう思っていただけたら嬉しいです。これからも大倉陶園は、「良きが上にも良きものを」の理念のもと、伝統の継承と同時に新たなる創造や革新を続けていきたいと思っています。
大倉陶園のモノづくりで、すべての土台となっているのが生地、つまり白磁です。
白磁の特徴は、色の白さ、磁器質の硬さ、肌のなめらかさです。磁器の性質を決めるのは原料と焼成温度で、一般的には、焼成温度を高くするほど、磁器は硬くなり、結果として薄くて割れにくいものとなります。一方で、その高温に耐え、なおかつ白さを有する原料を使わなくてはなりません。
焼き物は普通、1200度前後で焼き上げると思っていましたが、1460度という温度はかなり高温ですよね!?
そうですね。一般的には1300〜1400度とされ、ヨーロッパでも1460度で焼かれる食器はなくなりつつあります。
1460度という高温で焼成するのは世界でも珍しくなっているんですね!
この温度帯は10℃上げるだけで莫大な燃料を必要とし、特殊な窯や原料の調合が必要となります。
大倉陶園だからこそ高温焼成が可能となり、質の良い硬質磁器をつくることができたのですね!
1460度という高温に耐えられる原料って、いったい何でしょう?
カオリンという粘土質の陶土です。カオリンは高温焼成に耐え、白く焼き上がる性質を持っています。
カオリンを使っているからこそ高温焼成にも耐えられ、かつ大倉陶園ならではの白磁になるんですね!
そうですね。良いカオリンとされるものは世界でいくつかありますが、大倉陶園では創立当時から、最高級のものを贅沢に使用しております。
ちなみにカオリンのほかには、どのような素材が配合されているのでしょうか?
珪石と長石ですね。この3つを原材料として、工場では砕くところから行っています。
「色の白さ、磁器質の硬さ、肌のなめらかさ」は原料の調合も大切なんですね。
そうですね。大倉陶園が目指した白磁は、この温度、原料だからこそ実現できたのだと思います。
岡染とは
大倉陶園独特の技法。中でも1928年にデザイン誕生した「ブルーローズ」は、大倉陶園を代表する絵柄となっている。普通の染付は釉薬の下に絵付けするのに対して、岡染では、釉薬をかけて本焼きをした白生地の上にコバルトで絵付けをする。それを再び本焼きと同じ1460度で焼くと、絵具が釉薬の中に溶け込んで、染付とは違った柔らかさと深みのある絵となる。
珍しい技法ですよね!
しかも1460度の窯を2回もくぐらせるわけですよね?
高温で焼成されることで、釉薬の上に描かれた模様が釉中に沈むとともに滲み、独特の風合となります。
上絵でも下絵でもない中間の技法になってくるんですね!岡染だからこそ、深い青みが表現できるのでしょうか?
そうですね。青の濃淡のみによって複雑な諧調を生み出し、華やかでありながら柔らかな表情が生まれています。
「ブルーローズ」が愛され続けている理由は何だと思いますか?
紺青のバラの色褪せない美しさ、白磁とのコントラストがデザインとして老若男女問わず評価を頂いていることに加え、多数のアイテム展開により様々なシーンにお使いいただけることが理由かもしれません。
独自の製法による高い品質と、時代を経ても変わらない普遍的な美しさで、「ブルーローズ」は人々を魅了し続けているんですね!
「ブルーローズ(8011)」1928年誕生の複数のバラが咲き誇るエレガントなデザインです。上品かつ華やかでどなたにも喜ばれるので、贈り物としても最適です。
大倉陶園
ブルーローズ(8011) カップ&ソーサー
大倉陶園は、創立者である大倉孫兵衛の「此上なき美術品を作り度し」という創立時の夢を具現化するために、数々の新技法を開発、独自の美を紡ぎ出してきました。
金色の模様を浮き出させる技法。型抜き直後の柔らかい成形生地に、ローラーを回転させながら模様を刻み込み、その部分のみ釉を施さず本焼き。その後さらに金を焼き付ける装飾技法。
この技法は元々ヨーロッパの技法なんですよね?
はい。しかし今日でもローラーで模様を刻んでいるところは、珍しいと思います。
ローラーで模様を刻み込むのは難しいのですか?
円形の皿に施す場合は、素地をロクロで回転させながら行うので、熟練の技が必要です。
繊細で複雑な技法なんですね!
施釉前の素焼素地に彩色する技法。工程は伝統的な染付と変わらないが 素地の特製上、素早く書かなければならず、通常の染付以上に高い技術が必要とされる。
一般的な下絵付と同じ技法です。素焼きの状態で絵を描いて、釉薬をかけていきます。
岡染とはまた違った技法ですね!描く時の特長はございますか?
そうですね。絵の上に釉薬をかけていますので、淡い藍青色を感じていただけるかと思います。呉須の場合、色の濃さを揃える配合が難しいといわれていますね。
岡染めも呉須も同じペインターが描かれているのですか?
大倉陶園では、異なる職人がそれぞれ担当しております。
漆を接着剤として絵具を定着させる技法。本焼後の白生地に漆を塗り、絵具の粉を蒔いて、それを綿でこすりながら染み込ませた後に焼成すると、絵具が釉面に美しく焼き付く。漆蒔は、ほかにない深みのある色合いが出せるという長所がある。
漆が糊のような役割をしているんですね!
そうなんです。漆蒔は1924年からあるので、こちらも大倉陶園以外では現在なかなかない技法となっています。
ムラがなく本当に綺麗ですね!
漆蒔の技法は「色蒔き」シリーズに使われており、色の深み・艶やかさが魅力になっています。
エッチングとも呼ばれ、サンドブラストの方法を用いる。本焼きした白生地にマスキングされた絵模様を貼り付け、細かい砂を噴射して生地の表面を削り、モチーフを浮き彫りにする。その後に金を施して焼成すると、マスキングされた部分と削り取られた部分で、金の光沢に差が出て模様が浮かび上がるのが特徴。
この金蝕(エッチング)は、昔はフッ化水素酸で腐蝕させておりましたが、現在はサンドブラストに移行しておりまして、凹凸面模様となっているのがポイントです。
そうなんですね!金のバラが白磁に映えて、とても美しいデザインですね!
削られた部分は艶消しの状態になり、金の光沢の対比が生まれます。
華やかさとシックさと、両方の雰囲気を兼ね備えているんですね!
大倉陶園では、手描き技法にもこだわっているんですよ。絵師たちは手作業で白生地のキャンパスに、色彩豊かに筆をふるっています。
絵師の方が多いのは、大倉陶園の特徴ですよね。あの美しい絵柄を手で描くのには、相当に熟練した技が要りますよね?
国家技能検定1級を取得した選りすぐりの絵師たちが心を込めて制作させて頂いております。 大倉陶園の手描き商品は、分業制ではなく、1人の絵師が1つの商品のすべてを担当させて頂いております。
大倉陶園が日本を代表するブランドになった理由はなんでしょうか?
創立当初から変わらず、「良きが上にも良きものを」という理念を大切にしてきたのはありますね。
大倉陶園は創立100年を経ても、創立理念に忠実に、また技法や材料を変えずに受け継いでいかれていて、すごいと思いました!
そうですね。大倉陶園のクオリティと伝統は大切な資産であり、なんとしても守ってゆくべきものだと我々は考えています。そして伝統を守りつつ、これからも新しいことにチャレンジし続けていきたいですね。
食器というものは、日常生活に欠かせないアイテムのひとつだと思います。きっと大倉陶園の食器を使われているご家庭でも、生活になくてはならない存在になっているのかな、と思います。
そう思っていただけたら嬉しいですね。これまでご愛用くださった方はもちろん、これからはより多くの方に、「大倉陶園の食器で食べると美味しい」ということを感じていただければと思っています。
ご自身の生活の中で、たとえば高揚した気分を一杯のお茶で落ち着かせたいときなど、そんなちょっとした瞬間に、大倉陶園の商品を身近なものとして使っていただけたら嬉しいですね。
ひとつそういうアイテムがあるだけで、生活空間全体が豊かになりそうですよね!
使う方の幸せを願い製作された商品で、贈り物にもピッタリ!
イエロー、ブルー、ピンクの全3色で、「カップ&ソーサー」や「お皿セット」などもあります。
大倉陶園
うまくゆく 回転木馬 マグカップ
創立当初から変わらない、大倉陶園の白磁の美しさと世界にも誇るべき独自の技法。そのモノづくりの根底には、創立者・大倉孫兵衛が述べた「良きが上にも良きものを」という創立理念が、今でも確かに息づいているのを感じました。創立の精神を大切にしつつ、さらなる進化を続ける大倉陶園。これからどんな素敵な器を生み出していかれるのか、とても楽しみです!
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