有田焼「清六窯」の魅力が詰まったアクセサリー「6.kiln」の誕生と挑戦

本記事の制作体制

熊田 貴行

BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。

山口あみ
山口あみ

あなたは「焼き物」というと何を思い浮かべますか?湯呑などの器を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか?

今回は、佐賀県「有田焼」の窯元「清六窯(せいろくがま)」で誕生したアクセサリーブランド「6.kiln」について取材をしました。2019年にブランドを立ち上げた作家 中村美穂さんに、焼き物のアクセサリーを作った理由や作品の魅力、今後の挑戦などを伺っています。

参考

中村美穂さん
1983年生まれ 福岡県出身 佐賀県有田町在住
福岡教育大学にて陶芸を学び、卒業後有田の窯元「清六窯」に嫁ぐ。
子育て、窯元従事をしながら、2019年に制作をスタート。
2019年6月の佐賀美術協会展では「和紙染鉄紋壺」、11月の県展では「鉄染線紋壺」を制作、ともに最高賞に輝く。​

6.kiln制作風景、清六窯

目次

有田焼の窯元「清六窯」とは

山口あみ
山口あみ

アクセサリーブランド「6.kiln」が作られている有田焼の窯元「清六窯」について教えてください。

中村さん
中村さん

佐賀県波佐見町出身で有田に来てロクロ師を始めた中村清六が1966年に清六窯を立ち上げました。有田焼と言えば主に呉須(青色の顔料)の染付や、釉(表面に焼き付けるガラス質)を掛けたものですが、清六は白い磁器「白磁」を中心にロクロを極めた作品を作りました

中村さん
中村さん

現在は、中村清六の長女のゑ美こ・孫の清吾がロクロの技術をメインに制作。ゑ美こは呉須を使った和紙染め技法で染付をしています。私は大学で陶芸を学んだ後、中村清六の孫 清吾と結婚し、義母(ゑ美こ氏)から和紙染め技法を学び、制作しています。

山口あみ
山口あみ

和紙染めとは、どのような技法ですか?

中村さん
中村さん

昔からある技法で、染めたい形に切り取った和紙を作品に貼り付け、絵の具を垂らすと和紙の形に染まり、乾かして和紙を剥がすと和紙の形だけ色が付きます。それを繰り返す技法で、時間も手間が掛かりますが、塗るとは違う独特の風合いになります

清六窯の呉須の器

「清六窯」での作家デビューまでの道のり

山口あみ
山口あみ

福岡県出身の美穂さんですが、なぜ大学で陶芸を学ばれたのですか?

中村さん
中村さん

元々はものづくり全般が好きだったのですが、在学中に陶芸に出会い「これだけを続けたい」という気持ちになったんです。

山口あみ
山口あみ

陶芸のどんな点に魅かれましたか?

中村さん
中村さん

絵画などは素材や表現が自由で制約が少なく、工芸の世界は工程で多くの決まりや制約があります。私にとって陶芸の制約は心地良くて、その中で「どう表現するか?」と創作することに魅力を感じました。

山口あみ
山口あみ

在学中は、どのような作品を手がけましたか?

中村さん
中村さん

はじめは器など実用的なもの、次にオブジェなど奇抜なもの、その後は再び実用的なものに魅力を感じ「使うものを作りたい」と考えました。

山口あみ
山口あみ

卒業後、清六窯で活動された切っ掛けは何ですか?

中村さん
中村さん

在学中、陶芸の様々な技法を学ぶために全国の窯元を巡っていましたが、「ロクロを学ぶなら中村清六先生」と大学の先生の紹介で清六窯へ。その時、祖父(清六氏)は高齢だったので、夫(清吾氏)が取材に応じてくれて、そのご縁で結婚しました。

山口あみ
山口あみ

そうなんですね!では、結婚後すぐに清六窯での制作がスタートしたのですか?

中村さん
中村さん

学生の時は自由な作品を作っていましたが、清六窯は「ザ・伝統工芸」なので、まず清六窯や有田焼について体感・実感するのに時間が掛かりました。地域の風習に慣れるまで大変でしたし、子供が生まれて作品を作る余裕はありませんでした。

山口あみ
山口あみ

では、しばらく陶芸はお休みだったのですか?

中村さん
中村さん

個展の準備や窯の手伝いをしていたので、ものづくりから離れてはいませんでした。夫は「作ろう」と背中を押してくれていましたし、「いつか作りたい」と創作のイメージは持ち続けていました。

山口あみ
山口あみ

その後、美穂さんが清六窯で作った作品が佐賀美術協会展で最高賞を受賞されています。どのような作品でしょうか?

鉄染線文壷

中村さん
中村さん

こちらの「鉄染線文壷」は、植物をモチーフにした作品です。ロクロの中心から外に広がる力と、木の実や玉ねぎの中心から育つ力に共通点を感じて作りました。

焼成は素焼き・本焼き・上絵焼成と3回。それぞれの焼く工程で和紙染め・針で削るなどの装飾を加え、失敗も含めると3ヵ月程掛かっています。

山口あみ
山口あみ

とても手が掛かっていますね!他にどのような作品を手掛けていますか?

中村さん
中村さん

有田焼らしい白磁に呉須で染付ける作品も作っています。

白磁に呉須の有田焼

自信と不安の中で有田焼のアクセサリー作りがスタート!

制作風景(美穂さん)

山口あみ
山口あみ

有田焼でアクセサリーを作った切っ掛けを教えてください。

中村さん
中村さん

有田焼の白磁の材料の土は、天草の上質な陶石という石を砕いたものです。なので「石から作る白磁は上質なジュエリーになるのでは」と夫から勧められ、やりたいと思いました。ただ、なかなか一歩踏み出せませんでした。

山口あみ
山口あみ

何が切っ掛けで動き出したのですか?

中村さん
中村さん

コロナ渦でした。展示会や陶器市の中止で時間ができ、陶芸関係の会議などで外出が多かった夫が自宅にいる時間が増えて以前より育児を分担できるように。丁度、下の子が手が掛からない年頃にもなって「今だ!」ってスタートしました。

山口あみ
山口あみ

突然始まったんですね!ブランド名の由来は何ですか?

中村さん
中村さん

清六窯の「六」に「窯」の英語kiln(キルン)で6.kilnにしました。清六が「六」の字は、「八」が鍋蓋に押さえられても踏ん張っている強い字だと言っていて、それを聞いてから私は六に支えられ、良い字だと思っていたので使いました。

山口あみ
山口あみ

コンセプトを教えてください。

中村さん
中村さん

品の良いものであり、量産品が多い時代ですが、ひとつずつ手作りした一点物の良さを知っていただけるアクセサリー。そして、工芸の世界観に入りづらいと感じる方の入口的な存在になりたいと考えました。また、ただの飾りではなくストーリーを感じる、有田の思い出になるようなアクセサリーでありたいと思っています。

釉薬

山口あみ
山口あみ

アクセサリーを作るという話に周りの反応はいかがでしたか?

中村さん
中村さん

清六窯は祖父が育て続いてきた伝統のブランドなので、アクセサリーは「カジュアル過ぎるのでは」と心配する声もありました。

山口あみ
山口あみ

確かに、心配もありますよね。

中村さん
中村さん

私は白磁アクセサリーで良い物を作る自信はありましたが、それが清六窯に合うかは不安でした。そこで、伝統的な陶芸の仕事を疎かにしないように、アクセサリーは夜の自分の時間で作っていました。

山口あみ
山口あみ

大変だったのでは?

中村さん
中村さん

やる気がみなぎっていたので大丈夫でした!今は軌道に乗ってきたので、昼間に作っていますよ。

道具

山口あみ
山口あみ

6.kilnがスタートして約4年ですが、制作する上で意識することはありますか?

中村さん
中村さん

時間や手間を掛け過ぎないことですね。祖父は「仕事は時間でするな」と、時間を気にせず創作に集中するように言っていたそうで、私も作品つくりの際心がけています。アクセサリー作りも始めはそうしました。ただ、手頃な価格のアクセサリーでそれをするとお客様のニーズに合わず続きません。凝りたい気持ちを抑え、製作時間や価格のバランスを意識するようになりました。

山口あみ
山口あみ

アクセサリー作りで難しかった点を教えてください。

中村さん
中村さん

焼き物は以前から扱っているので難しくなかったのですが、金具のパーツには苦戦しました!福岡やネットで探すのですが、非常に沢山の種類から納得できるパーツに出会うまで大変でした。

山口あみ
山口あみ

焼き物と金具を付ける作業はどうでしたか?

中村さん
中村さん

それも大変で、周りにアクセサリーを指導してくれる方はいないので試行錯誤でした。こどもの友達のお母さんに使ってもらい使用感を聞いたり、オシャレな方がいれば声を掛けて話を伺うこともありました。

白磁効果!?6.kilnのアクセサリーの魅力

ブランドラインナップ

山口あみ
山口あみ

6.kilnの現在のラインナップを教えてください。

中村さん
中村さん

上質な磁土を白く焼いた白磁、それを呉須で青や藍色に和紙染めして針で削り絵を描いたもの、2つのシリーズです。種類はピアス、イヤリング、ネックレス、ブローチ、ブックマーカーなどです。

山口あみ
山口あみ

清六窯の作品と同じ窯で焼いているのですか?

中村さん
中村さん

同じ窯で、壺やお茶碗と一緒に6.kilnのパーツも焼いています。以前、テスト用の窯で焼いてみたら違う色になったんです。改めて「清六窯だから出せる白なんだ」と自信にもなりました。

焼く窯

山口あみ
山口あみ

アクセサリーのモチーフは何ですか?

中村さん
中村さん

「自然の美しさには叶わない」と感じているので、それを作品に落とし込んで表現しています。

山口あみ
山口あみ

生活や環境が作品に影響していますか?

中村さん
中村さん

実は、はじめの頃は夜に作っていたので月や星をモチーフに、今は制作時間が日中なのでモチーフも朝露や鳥などになってきました。

作品たち

山口あみ
山口あみ

デザインで意識している事は?

中村さん
中村さん

最近は清六窯の「白磁」の良さが伝わる、良さを活かすデザインを意識していて、それにはシンプルがいいかなと思っています。

山口あみ
山口あみ

気づきがあったのですか?

中村さん
中村さん

やっぱり白磁の「白」はいいなと。清六窯では白を「白色」と捉えて、白の中にも多くの種類があります。6.kilnで販売中の白磁は少し青みがかった白ですが、黄色がかった白、ツヤやマットなど様々です。そういった白へのこだわりを6.kilnで活かしたいです。

山口あみ
山口あみ

お客様の反応は?

中村さん
中村さん

「この白はいいね」と言っていただきます。白磁は小さくても品よく映えますし、レフ版効果のように、お顔を明るくキレイに見せるので、私は「白磁効果」と呼んでいます!

山口あみ
山口あみ

それは魅力的ですね!6.kilnはどのような場面で使ってほしいですか?

中村さん
中村さん

白磁の器にはどんな料理も美しく盛り付けできる安心感のようなものがあります。6.kilnも同様に幅広い装いにも合わせやすいよう、色々なシーンをワクワクとイメージして制作しています。結婚式で着けた!なんてご報告は最高に嬉しいですし、お仕事や普段使いに着けるといったお話も作家冥利に尽きます。

針で絵を描く様子

山口あみ
山口あみ

お客様はどのような方が多いですか?

中村さん
中村さん

幅広い年齢層で、最近は親子でおそろいで購入していただき嬉しかったです。

山口あみ
山口あみ

年齢を選ばないアクセサリーなんですね!お客様は清六窯について詳しく知らない方が多いですか?

中村さん
中村さん

そういった方も、以前から清六窯に来店されている方も両方です。よくお父様に付き添って来店されるお嬢様が、アクセサリーのコーナーを楽しそうにご覧になっていた時は嬉しかったですね。

山口あみ
山口あみ

有田焼の新しい楽しみ方を提案していますね。幅広い層に人気の商品はどちらですか?

中村さん
中村さん

ブックマーカーです。プレゼントとしての購入も多く、本や手帳に挟む、かんざしや帯飾り、ネックレスのペンダントヘッドなど、色々な使い方をしてくださっています。

有田焼の窯元が作るハンドメイドアクセサリー「6.kiln」
白磁がポイントのブックマーカー

【ブックマーカー】 白磁 | 有田焼

日本を代表する焼き物「有田焼」の窯元「清六窯」で誕生したアクセサリーブランド「6.kiln」。上質な土から生み出される美しい白磁を使った作品は、こだわりが詰まった逸品です。

こちらは、白磁とゴールドの華やかなブックマーカー。形がシンプルなので読みかけの本や手帳のしおり、かんざし、帯かざりなどいろいろな使い方ができ、贈り物にもオススメです。

6.kiln
【ブックマーカー】 白磁 | 有田焼

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中村さん
中村さん

ブローチも人気で、最近は男性も付けてくださる方が増えています。ブローチが会話の入口になると聞きました。白い鳥なので平和の象徴として付けてくださる方もいます。

有田焼の窯元が作るハンドメイドアクセサリー「6.kiln」
ぽってりとした小鳥がモチーフのブローチ

【ブローチ】 白磁 とりさん | 有田焼

佐賀県の有田焼の窯元「清六窯」で誕生したアクセサリーブランド「6.kiln」。一点一点手作りで丁寧に作られる作品は美しく、着け心地にもこだわっているので長く愛用していただけます。

こちらは白磁にゴールドをあしらった小鳥のモチーフのブローチ。シンプルなデザインで、どんなファッションにも合わせやすく、装いのワンポイントになります。

6.kiln
【ブローチ】 白磁 とりさん | 有田焼

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安心して着けられるアクセサリーにするために

鳥ブローチ制作風景

山口あみ
山口あみ

6.kilnのスタートから今まで最も大変だったことは何ですか?

中村さん
中村さん

金具選び、これに尽きます。着け心地や強度はもちろん、金属アレルギーでも安心できるものを探し、医療器具にも使用される「サージカルステンレス」に出会いました。今は6.kilnのピアスやネックレスに使っています。

山口あみ
山口あみ

直接肌に触れるものが安心できる素材なのは嬉しいですね。

中村さん
中村さん

私自身の経験からも大切だと思っています。イヤリングの留め具にもこだわり、痛くならない特許を取っているソフトタッチイヤリングを採用しました。実は、理想のイヤリングの留め具になかなか出会えず、しばらく耳飾りはピアスだけの販売でした。なので、このパーツに出会った時は自信を持ってオススメできる!と感激しました。

山口あみ
山口あみ

着け心地も大切ですよね。

中村さん
中村さん

重さも付け心地に影響するので気を使っています。なので、みなさん手に取って軽さに驚かれます

山口あみ
山口あみ

驚くほど軽いんですね!

今後の挑戦と有田の強みを活かしたものづくり

半月制作

山口あみ
山口あみ

今後の挑戦について教えてください。

中村さん
中村さん

6.kilnは大切に育てながら、並行して新たなブランドを始めます。6.kilnは比較的シンプルなデザインで購入しやすい価格を考慮していますが、新ブランドは私がやりたい事を思いっきり詰め込み、採算度外視で作りたいです。

山口あみ
山口あみ

新ブランドのも楽しみにしています!美穂さんが挑戦を続ける上で意識していることは何ですか?

中村さん
中村さん

陶芸の新しい技術、技法、材料などに敏感でいることです。有田は伝統だけでなく、新しい技術が生まれる街でもあるので、産地の強みを活かしたいです。

中村さん
中村さん

有田にある佐賀県窯業技術センターでは、新しい研究の内容が提供され、最新機器を使うこともできます。また、有田には使える絵の具や上絵の特許も沢山あるんですよ。

山口あみ
山口あみ

新しい研究や技術が生まれているんですね。

中村さん
中村さん

白磁は昔は作ることが難しかったのですが、今は技術が上がって作りやすくなりました。ロクロも今は電動ですが、昔は祖父のロクロの補助で祖母が蹴って回すこともあったそうです。技術の発展で出来ることが増えたので活かしていきたいですね。

編集後記

今回、作家 中村美穂さんが作る焼き物アクセサリーの魅力や挑戦などを知ることができました。ふわりと優しい雰囲気の美穂さんですが、ものづくりに対する情熱のようなものが伝わって感動しました。また、新しい環境や子育ての中で挑戦する姿勢に「応援したい!」と言う気持ちになった取材となりました。

この記事で取材したブランド「6.kiln」

「6.kiln」半月

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【ブックマーカー】 白磁 | 有田焼
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白磁のチャームで個性を演出できるブックマーカー

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