本記事の制作体制

BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。
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信楽焼と聞くと、真っ先に「たぬきの置物」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?実は私の実家の玄関にも、ドーンと大きなたぬきが鎮座しています。
でも、この「信楽焼のたぬき」には、どんな由来や意味があるのでしょう?
今回、産地・信楽を訪ね、創業130年を越える老舗問屋「ヤマ庄陶器株式会社」の谷井さんに、たぬきの魅力や裏話をたっぷりうかがってきました!
「信楽焼=たぬき」のイメージは、どこから始まったんですか?
昭和26年に昭和天皇が信楽を訪れたとき、人口が少ない地域だったので、信楽焼のたぬきの置物を沿道にずらっと並べてお迎えしたのがきっかけです。
あのとき詠まれたお歌、今でも有名ですよね。
「幼なとき 集めしからに 懐かしも しがらき焼の 狸をみれば*」
*「幼いころに集めていたので、懐かしい気持ちになりました。信楽焼のたぬきを、今このように目にして」といった意味です。
その印象が強く残ったこともあり、たぬきは信楽焼の“顔”として定着していったんだと思います。キャッチーな見た目も手伝って、全国に広がっていきました。
余談ですが、信楽で最初にたぬきをつくった人は、「夢にたぬきが出てきたから作った」という逸話もありますよ。(笑)
たぬきの誕生エピソードまでユニーク!信楽ならではの奥深いストーリーに、ますます興味がわいてきました!
日本では、たぬきは縁起のいい動物とされていますよね?
はい。「たぬき」は「他を抜く(たぬき)」という語呂合わせから、とくに商売繁盛の象徴として好まれてきたんです。
だから、商店やレストランの店先でよく見かけるんですね!
そうなんです。関西では「一家に一匹」と言ってもいいくらい、たぬきの置物は本当にポピュラーですよ。
それはすごいですね。信楽のたぬきが、地域の暮らしに根づいていることがよくわかります!
ところで「信楽焼のたぬき」は、どれも笠をかぶって、徳利を持って、まん丸なお腹にニッコリ笑顔。
あの恰好にも、意味があるんですか?
はい。「八相縁起(はっそうえんぎ)」といって、たぬきの見た目に込められた八つの縁起の意味があるんです。
たぬきの表情や持ち物一つひとつに、商売繁盛や幸運の願いが込められていたんですね!
「信楽焼のたぬき」は、実は時代とともに少しずつ姿を変えてきました。
つくられ始めた当初のたぬきは、スリムな体型でリアルな表情をしており、現在の親しみやすい姿とはずいぶん印象が異なります。
写真を見ると、子どもが驚いてしまいそうな、どこか野生味のある風貌です。
それが時代の変化とともに、よりふっくらとした体つきと大きなお腹を持つ、愛嬌のあるスタイルへと進化していきました。
現在、私たちがイメージする「信楽焼のたぬき」に近い姿です。
最近では、表情やポーズもかわいらしくデフォルメされ、インテリアとして取り入れやすいデザインも増えています。
たぬきの姿は、縁起物としての役割だけでなく、時代のニーズや感性にあわせて変化を続けているのです。
うちの近所では、たぬきを外や玄関に置いている人が多いのですが、置く場所に決まりはあるのでしょうか?
とくに決まりはないですが、玄関に置くことが多いのは「玄関から縁起を呼び込みたい」という願いがあるからです。
お店の場合は、人の目を惹くという効果もありますね。信楽焼は丈夫なので、外に置いても壊れにくいのも理由のひとつです。
そういえば、実家のたぬきもずっと壊れずに玄関にいます!
車で信楽を走ったとき、お店の前に大小さまざまなたぬきがずらりと並んでいて、とても目を引きました。
お店をやっていない人でも、気軽に取り入れられるたぬきってありますか?
ミニサイズのたぬきがおすすめですね。インテリアとしても取り入れやすく、若い方や信楽焼を初めて知る方にも人気があります。
「Tanutanuシリーズ」は手のひらサイズで、モダンなデザインがとてもかわいいですね!
たぬきの置物って昔ながらのイメージがあって少しハードルが高かったんですが、これは気軽に飾れそうです。
ありがとうございます!好きな色を組み合わせたり、ペアにしたり、全色そろえる楽しみ方もあります。
玄関だけでなく、リビングやデスクにも馴染むようにデザインされていますので、ぜひ自由に楽しんでください。
縁起物として親しまれている「信楽焼のたぬき」ですが、もし壊れてしまったら、どうすればいいのでしょうか?
基本的には、普通の陶器と同じように処分して大丈夫です。ただ、神社で授与されたものや祈祷を受けたものは、その神社に持っていって供養してもらうのが望ましいですね。
なるほど。でも、あのかわいいたぬきだと、なんだか手放すのが寂しくなってしまいそうです…。
そうですよね(笑)。表情が可愛らしいので、愛着がわく方も多いです。
そういう場合は、お墓をつくったり、破片を何かに活用したり、自分なりの気持ちを込めた方法でお別れしていただければと思います。
なるほど、自分らしい送り方ができるんですね!ところで、やっぱり壊れたら代わりを買いに来る方も多いのでしょうか?
はい、高価すぎず手に取りやすい価格帯なので、また新しいたぬきを探しに来られる方も多いですよ。
こうした親しみやすさも、「信楽たぬき」の魅力のひとつですね。
信楽焼のたぬきは、外に置いても平気なほど丈夫に作られています。そのため簡単に壊れることは少ないですが、万が一のときには今回のような方法で対応するのが安心です。
また、どうしても手放せない大切なたぬきや、修理したいという場合は、購入先に相談すると対応してもらえるケースもあります。気になる方は、まず購入元に問い合わせてみるとよいでしょう。
明治時代に創業し、130年以上の歴史を持つ老舗問屋「ヤマ庄陶器株式会社」。
1930年代から信楽焼の取り扱いを始め、現在では80社以上の窯元や作家と取引しています。
単なる問屋にとどまらず、長年培った知見やネットワークを活かし、商品企画やアイデアの提案なども行う、信楽焼業界のキープレイヤー的存在です。
これまでに、
など、時代に合わせた挑戦も数多く手がけています。
「信楽焼のたぬき」において、ヤマ庄陶器さんが大切にしていることは何でしょうか?
昔ながらの伝統的なたぬきを守りながらも、20~30代の若い世代や、焼き物に馴染みのない人たちにも手に取ってもらえるようにデザインを工夫しています。
たとえ色やフォルムを変えても、「八相縁起」の要素や、職人の想いはきちんと受け継ぐようにしています。
また、小さめのサイズや価格を抑えた商品でも、作り方は通常のたぬきと同じ。手を抜かず、きちんとした工程で仕上げることにもこだわっています。
たぬきにこれだけ力を入れているのには、何か理由があるのでしょうか?
「信楽焼=たぬき」というイメージは、昭和天皇が信楽をご訪問された際に一気に広まりました。
そのイメージを活かして、信楽焼自体の知名度や魅力を、もっと多くの人に伝えていきたいと思っているんです。
確かに、焼物にあまり関心がなくても、たぬきの置物は知っているという人は多そうです。先ほど拝見した、ポップなたぬきもすごく親しみやすかったです。
ありがとうございます。「Tanutanuシリーズ」も、若い人や信楽焼のたぬきを知らなかった層が買ってくれているんです。
つくる側としても、次の世代につなぐ役割が果たせているのは本当にうれしいですね。
有名企業とのコラボも、そういった思いから始まったのでしょうか?
そうですね、信楽焼の魅力をもっと広く伝えるために、挑戦できることには積極的に取り組んでいます。
その際には、作り手や地域のこだわりがきちんと伝わるように、丁寧に企画を進めるよう心がけています。
異なる焼き物の産地同士でのコラボは珍しいと思いますが、九谷焼との取り組みはどのように始まったのですか?
「やってみよか~」って感じでした(笑)。私たちは問屋なので、もともといろいろな地域のつくり手さんと関わることが多いんです。
九谷焼とのコラボも、実はコロナ前からアイディアは出ていたのですが、きっかけ自体はとてもカジュアルでして(笑)。
その柔軟さが、新しい魅力のたぬきを生み出したんですね。
ここでは、「信楽焼のたぬき」の作り方を紹介していきます。
「ヤマ庄陶器」さんと取引されている「たぬき工房」さんに協力していただき、貴重な作陶風景を見ることができました!
信楽焼のたぬきは、長い歴史の中で技法も進化してきました。
もともとはすべて手びねりで、ろくろや型を使わずに手作業で土を成形していました。
たぬきの人気が高まった後は、より多くの注文に対応するために石膏型が導入され、現在も主に「手押し型」と「鋳込み型(いこみがた)」の方法が使われています。
たぬきの正面と背面で分かれた石膏型に、土を手で押し込んで成形する方法。
中が空洞になった型に泥漿(でいしょう:粘土を水で溶いたもの)を流し込み、乾燥させた後に型を外して成形する方法。信楽ではこの鋳込み型が多く使われています。
どちらの方法でも、細かい模様や表情の表現は難しいため、目や毛並みなどの細部はすべて手描き。そのため、一つひとつのたぬきに個性があり、まったく同じものは存在しません。
また、80cm程度までのサイズであれば1つの型で成形できますが、それ以上の大きさになると、パーツごとに分けて成形し、乾燥前に接合して一体化させます。こうした工程により、人の身長を超えるほどの巨大なたぬきも制作可能です。
成形し、完全に乾燥させた後は窯で焼いていきます。
小さな置物であれば、写真上・下のような窯で焼かれます。
信楽焼のたぬきがどんなふうに作られているかを知ると、「ちょっと家にも迎えてみたいかも」と思えてきませんか?
でも、従来の“定番たぬき”は存在感が強すぎて、今の暮らしに馴染むのか…ちょっと不安。そんな方におすすめなのが、「ヤマ庄陶器」のTanutanuシリーズです。
小ぶりでシンプル、だけどユーモアとぬくもりがある佇まい。「たぬき=縁起物」という意味合いはそのままに、現代のインテリアに合うデザインと価格帯で展開されており、自分用はもちろんプレゼントにもおすすめです。
最後に、信楽の産地問屋としての「ヤマ庄陶器」さんが、たぬきを作り続けるうえで大切にされていることを教えてください。
たぬきをモダンにアレンジして制作しているのは、あくまでも「信楽」や「信楽焼」という産地そのものの魅力を知っていただくきっかけにしたいからなんです。
たぬきは約50年前から信楽の象徴として知られてきましたが、その知名度が高まりすぎて、逆に信楽焼の本質─うつわや花器、焼き物としての魅力が埋もれてしまったと感じることがありました。
なるほど、たぬきの印象が強すぎて、ほかの良さが見えにくくなってしまっていたんですね。
展示会や店舗で、素敵な作家さんのうつわを並べても、お客さんの目はどうしても「たぬき」に向いてしまうことが多かったんです。
だからこそ、うつわの隣に置いても違和感のない、新しいたぬきの姿が必要だと感じました。
そうした思いから、モダンなたぬきや愛らしいたぬきのデザインが生まれているのですね。
たぬきという入り口から、信楽焼の奥深さや美しさにも目を向けてもらいたい。それが、産地問屋として「つなぐ」という役割のひとつだと思っています。
これまでとは違った視点で、信楽焼のたぬきを見られるようになりそうです。貴重なお話をありがとうございました!
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