和太鼓の種類・歴史・たたき方などの基礎知識から和太鼓の楽しみ方まで紹介

和太鼓の歴史

日本の伝統的な楽器として、古くから親しまれてきた「和太鼓」。日本における和太鼓の歴史は古く、縄文時代にはすでに太鼓が使われていたようです。最古の資料として残されているのは、群馬県の佐波郡の遺跡から出土した、6、7世紀ごろのものとされる太鼓を持った男の埴輪。こうした資料から、古代日本では和太鼓は楽器としてではなく、おもに宗教的儀式に使われる道具だった考えられています。『埴輪 太鼓を叩く男子』(東京国立博物館所蔵)「ColBase」収録 画像出典元:ジャパンサーチ

また、和太鼓は歴史のなかでは伝達の道具としても活用されました。飛鳥時代に時間をはかる技術が生まれると、時報として太鼓が打たれるようになったそう。平安時代に入ると、戦場で味方兵に指示を出す「陣太鼓」としても使われました。

飛鳥時代から奈良時代にかけて、中国や朝鮮半島から仏教とともにさまざまな音楽が伝来しました。その音楽に使う楽器のなかに太鼓があり、現在の長胴太鼓や締太鼓のルーツになったと考えられています。太鼓は日本の文化をとり入れ芸能とともに発展し、古典音楽の「雅楽」や「能楽」など、何百年も前から続く伝統芸能でも重要な役割を担ってきました

現在においても、和太鼓はお祭りや伝統芸能など、日本の伝統文化に欠かせません。また、近年は種類のちがう和太鼓を組み合わせた「組太鼓」と呼ばれる合奏が注目を集め、和太鼓パフォーマンスを行うプロ集団も登場。日本だけでなく世界でも公演が行われ、音楽としても人気が高まっています

和太鼓の種類

和太鼓とひと口に言っても、さまざまな種類があり、見た目や音色が異なります。和太鼓にどんな種類があるのかや、それぞれの特徴を見ていきましょう。

和太鼓の種類1
長胴太鼓

和太鼓と言われてイメージする人が多く、もっともなじみ深いのが「長胴太鼓(ながどうだいこ)」。名前のとおり、胴部分が打面の直径(口径)よりも長いことが特徴です。昔、やぐらの上で歌舞伎の公演のはじまりや終わりを告げるのに使われたことから、「やぐら太鼓」と呼ばれたり、神社仏閣で使われたことから「宮太鼓」と呼ばれたりもします。

胴は一本の木を輪切りにし、内部を樽型にくり抜いたもの。上下に革を張り、鋲(びょう)でとめて仕上げます。材料にはけやきや栓(せん)などの樹木が使われますが、音質・見た目・耐久性どれをとってもけやきが理想的と言われています。革には、なめした牛皮が用いられるのが一般的です。

美しい木目と、打つと大きく響く低音が魅力。盆踊りやお祭りの演奏など幅広く用いられます。

和太鼓の種類2
平胴太鼓

「平胴太鼓(ひらどうだいこ)」は、長胴太鼓同様くり抜いた木に革を張り鋲でとめた和太鼓ですが、胴が短いのが特徴。胴が短いぶん余韻があまり残らず、音もやや低音です。

胴の両脇に付いた取っ手「かん」を使ってつるして打ったり、低い台に打面を上向きにして置いて演奏したりします。

お祭りなどで長胴太鼓といっしょに演奏されることも多い和太鼓です。

和太鼓の種類3
附締太鼓

木をくり抜いて作った胴に、ロープやボルトで打面を締め付けた和太鼓が「附締太鼓(つけしめだいこ)」。高い音が特徴で、こまかいリズムを表現するのに適していることから、お囃子の伴奏などでよく使用されます。

ロープやボルトを締める強さを変えることで、音の高さ調節が可能。音の調整はロープ締めよりもボルト締めの方がかんたんです。

附締太鼓の原型になり、おなじようなつくりの和太鼓として「締太鼓」もあります。附締太鼓よりもやや小ぶりで革が薄いことが特徴。能楽などでよく用いられ、なかには蒔絵が描かれた華やかなものもあります。

和太鼓の種類4
桶胴太鼓

「桶胴太鼓(おけどうだいこ)」は、木の板をつなぎ合わせて作った桶のような胴をもつ和太鼓です。もともとは、東北地方・北陸地方のお祭りや農村行事で使用されていました。

長い胴で重量感のある音を響かせるのが特徴。打面がロープで締められていて、締め付けの強弱で音の高さを調整できます。

胴には杉や桐などの軽い木材が使用され、軽量さを活かして帯で肩からつるして動き回りながら演奏するなど、さまざまなパフォーマンスで用いられます。

和太鼓の種類5
団扇太鼓

画像出典元:株式会社 宮本卯之助商店

なかには、胴のない変わったかたちの和太鼓もあります。「団扇太鼓(うちわだいこ)」は、丸い枠に革を張り、持ち手をつけた太鼓。細いバチを使って演奏します。もともとは仏教の儀式用ですが、近ごろは演奏にも使用されるようになりました。

台において打つように作られた大きな団扇太鼓は「月鼓(げっこ)」と呼ばれ、舞台での演奏に用いられます。

和太鼓をたたく道具「バチ」の種類

演奏する和太鼓の種類や求める音色によって、使用するバチの太さや材質が変わります。基本的には、やわらかい音を出したいときには太くやわらかい材質のバチを、するどい音を出したいときには細くかたい材質のバチが使用されます。

樫バチ

樫(かし)はかたく重い材質。バチの重みを利用して和太鼓らしい力強い音を出すことができます。また、かたく折れにくいため、縁打ちや胴打ちにもぴったりです。

朴バチ

軽くやわらかい朴(ほお)材のバチは、打つ人にも太鼓にもあまり負担になりません。また、音も樫バチほど響かず、やわらかな音色です。バチの両側がおなじ太さのものや、バチ先を細くしたものなど、さまざまな種類があります。

太く長いものは長胴太鼓や桶胴太鼓など、バチ先が細いものは附締太鼓に適しています。

桧バチ

桧(ひのき)バチは、軽量で、握ったときの手の感触も良いのが特徴。バチとしては最高級品です。締太鼓用の細バチに好んで使用されます。

竹バチ

竹を割って作った弾力のある平らなバチ。桶胴太鼓によく使用されます。

和太鼓のたたき方

和太鼓のバチの持ち方

和太鼓をたたくとき、バチの持ち方によっては、たたいている最中にバチが飛んで行ってしまったり、手首に負担になってしまったりすることも。正しい持ち方でバチを握りましょう。

一般的なバチの持ち方は、親指とひとさし指でつまむようにバチを持って、残りの指を軽くそえる方法。コントロールしやすく、こまかいリズムもたたけます。

長胴太鼓などを手首のスナップを効かせて打ちたいときは、バチを薬指と小指で握って、残りの指を軽く巻き付ける方法がおすすめです。

和太鼓をたたくときのかまえ

和太鼓の大きさや自分の身長、バチの長さなどを考慮して位置決めをします。太鼓の中心におへそがくるように立ち、腕を振り上げてそのまま降ろしたときにバチ先が打面の中心にあたるくらいの距離がベストです。

顔を正面に向け、背筋を伸ばして構えます。バチは八の字に構えるのが基本。両足は、肩幅よりもやや広めに開き、左足をすこし前に、右足を左足の2倍程度うしろに引いて重心を低くしましょう。

和太鼓をたたくときの腕の動かし方の基本

和太鼓をたたくときの基本的な腕の動かし方は以下になります。

1.腕を勢いよくふり上げ、まっすぐ上まで伸ばす。
2.バチを立てたまま、まっすぐにふりおろす。
3.バチがひじよりも低い位置にきたら、バチの先で打面をたたく。
4.反対の手をふりあげ、同様にたたく。

和太鼓をたたくときはバチを振るのではなく、腕を振るのがポイント。腕は付け根から体に沿ってまっすぐに動かし、ひじや腰をうまく使い、勢いよくたたきます。座ってたたく場合は、腕の振りが小さくならないように注意しましょう。

また、長胴太鼓の場合は、打面の中心は革が薄くなっているためたたくのを避け、中心の少し外側をたたくよう心がけます。打面のどこを打つかで音色が変わるため、良い音が出るところを探してみましょう。

たたき方や練習方法については、YouTubeにもさまざまな動画がアップされているので参考にしてみるといいですね。

和太鼓の楽しみ方1
和太鼓をはじめてみよう

たたくだけで誰でも音が出せる和太鼓。「力や体力が必要なのでは」、「リズム感がない」と不安に思う方もいるかもしれませんが、子どもからお年寄りまで幅広い方が和太鼓を楽しんでいて、基礎からていねいな指導を行ってくれる教室もあります。和太鼓をはじめることで日本の伝統文化に理解が深まり、運動不足解消やストレス発散、ダイエットにもつながります

和太鼓教室や和太鼓サークルなども各地にあり、なかには段ボール製の消音太鼓や、ポリバケツなどで作る自宅練習用の和太鼓を使ってオンラインレッスンを受けられる和太鼓教室も。和太鼓に興味のある方は、ぜひ挑戦してみるといいですね。

和太鼓の楽しみ方2
和太鼓が主役のお祭りに注目!

日本では一年を通してたくさんの祭りが行われますが、どの祭りでもかならずと言っていいほど太鼓が登場します。お祭りに参加して、和太鼓を楽しんでみるのもいいですね。日本全国のお祭りのなかから、和太鼓が主役になるおすすめのお祭りをいくつかご紹介します。

盛岡さんさ踊り(岩手県盛岡市)

画像出典元:盛岡さんさ踊り実行委員会

その昔、神様が悪鬼を退治したことをよろこんだ人々が、三ツ石神社の大きな石のまわりを「さんささんさ」と踊ったのがはじまりとされる「盛岡さんさ踊り」。盛岡市とその周辺地域のさまざまなグループが、和太鼓をたたきながら踊り、パレードを行います。

1万個以上の和太鼓が使われるパフォーマンスは圧巻。2007年にはじめて「和太鼓の同時演奏記録」の部門で世界一に輝き、2014年にふたたび世界記録の認定を受けました。

くらやみ祭り(東京都府中市)

画像出典元:大國魂神社

東京都府中市の大國魂神社(おおくにたまじんじゃ)で行われる「くらやみ祭り」。昔は深夜に街の明かりをすべて消し、暗闇のなか行われたことから「くらやみ」と名が付いています。

祭りのメインでは、打面直径約2mもある国内最大級の大太鼓をはじめ、6つの大太鼓が登場。まるで地鳴りのように打ち鳴らされ、太鼓と提灯の明かりに導かれながら、8基のおみこしが町内をねり歩きます。

新居浜太鼓祭り(愛媛県新居浜市)

画像出典元:一般社団法人 愛媛県観光物産協会

四国三大祭りのひとつに数えられる「新居浜太鼓祭り」。豊年の秋に感謝して行われるお祭りです。高さ5.5m、長さ12m、重さ約3tという巨大な山車である太鼓台を最大150人の男衆が担ぎ、太鼓台から打ち鳴らされる太鼓の音や運行を仕切る指揮者の笛、男衆の掛け声とともに市内をねり歩きます。

祭り最大の見どころは、複数の太鼓台が一カ所に集まり、男衆が太鼓台を持ち上げる様の見事さを競い合う「かきくらべ」。担ぎ手たちを奮い立たせるように和太鼓が早打ちされます。

和太鼓の楽しみ方3
和太鼓が主役のパフォーマンスも!

和太鼓を楽しむなら、和太鼓を主役にした音楽や舞台を鑑賞してみるのもおすすめです。新潟県佐渡を拠点に国際的な公演活動を展開する太鼓芸能集団「鼓童(こどう)」や、「世界で通用するエンターテイメント」を目標に掲げ、和太鼓を主体とした和楽器の演奏や殺陣などのパフォーマンスを行い、世界で800万人以上の観客を動員する「DRUM TAO(ドラムタオ)」など、今ではさまざまな和太鼓グループが活躍しています。

伝統芸能やお祭りなどの行事とはまたひと味違う和太鼓の魅力を感じることができますよ。

日本伝統の和楽器「和太鼓」を楽しもう!

日本で長い歴史を持ち、文化に根付いてきた和太鼓。今も、習い事やお祭り、音楽や舞台などで私たちを魅了し続けています。ぜひ和太鼓に興味を持って、さまざまな楽しみ方で魅力を堪能してみてくださいね!