日本の伝統色を知る!意味・歴史文化との関わり&伝統色を楽しむおすすめアイテムも

本記事の制作体制

熊田 貴行

BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。

日本には、「伝統色」と呼ばれる古来から伝わる多彩な色があります。色彩だけでなく、色を示す響きも美しく趣深いものばかり。伝統色を通して日本人の美意識や文化に触れることができます。 今回は、日本の伝統色について特集!以下の内容を見ていきます。

本記事の内容
  • 伝統色とは
  • 伝統色の具体例&意味
  • 伝統色と日本人の歴史文化の関わり
    (「位色・当色・禁色」「かさねの色目」「四十八茶百鼠」「役者色」)
  • 伝統色を楽しむおすすめアイテム

記事を読めば、奥深い伝統色の世界に理解を深め、もっと楽しむことができますよ。ぜひ最後までご覧ください。

目次

日本の伝統色とは

伝統色とは、日本に古くから伝わる特有の色のこと。現代でも耳にする名称から、あまり馴染みのないものまで、日本人特有の色彩感覚に基づく伝統色が千種類以上もあると言われています。

日本には豊かな自然と四季があり、日本人は自然と密着して生きてきました。伝統色には植物や動物、自然現象から取られたものも多くあり、日本人が古くから自然の色の微妙な違いを見分け、楽しんでいたことが感じ取れます。

多彩な伝統色は、染織や工芸品などの身近なものとして暮らしのなかで活かされ、日本の文化を彩ってきました。

日本の伝統色と意味

日本の伝統色の色合いはどれも味わい深く、色を示す表現や由来も趣深いです。具体的にどんな伝統色があるのか、代表的な色と色名の持つ意味を説明していきます。

日本の伝統色【赤系】

紅梅色(こうばいいろ)

伝統色の名前と意味:紅梅色

紫がかった淡い紅色で、早春に咲く紅梅の花の色に由来します。色名は王朝の詩歌や物語にも多く見られ、平安時代には高貴な身分の女性たちが表着の色として愛用しました。

紅梅色とひとくちに言っても、「濃紅梅」「中紅梅」「淡紅梅」などバリエーションが豊富なのも特徴です。

茜色(あかねいろ)

伝統色の名前と意味:茜色

アカネ科の多年草であるアカネの根で染められた濃い暗めの赤色。アカネは藍に並ぶ人類最古の染料と言われ、邪馬台国の卑弥呼が魏に朝貢した返礼として茜染めの布を贈られたという記録も残っています。

東雲色(しののめいろ)

伝統色の名前と意味:東雲色

夜明けの東の空のような明るい黄赤色。東雲という言葉は、昔の住居の明り取りとして設置された篠竹の網目「篠の目」に由来しています。室内に篠の目からほのかに灯りが差し込んだことから転じ、夜明けの空や夜明けそのものを当て字で「東雲」と呼ぶようになり、東雲色という名前につながったそうです。

日本の伝統色【オレンジ系】

洗朱(あらいしゅ)

伝統色の名前と意味:洗朱

朱色を洗って薄くしたような淡い赤橙色。「洗」という文字には色味が落ちて薄くなったという意味があります。

黄丹(おうに)

伝統色の名前と意味:黄丹

黄丹とは赤色顔料である鉛丹の別名で、ベニバナとクチナシで染めたオレンジ色が鉛丹の色に似ていたことに由来しています。

奈良時代に皇太子の礼服の色として定められ、かつては皇太子以外の着用は禁じられていました。現在も皇太子の礼服に使われています。

照柿(てりがき)

伝統色の名前と意味:照柿

赤く熟した柿の実のような濃い橙色。現在「柿色」と呼ばれているのはこの照柿の色ですが、柿色はかつては柿渋で染色した茶系の色のことでした。柿色が照柿の色を示すようになったのは江戸時代に入ってからです。

日本の伝統色【紫系】

藤色(ふじいろ)

伝統色の名前と意味:藤色

藤の花に由来する色名で、淡い青みのある紫色。古くからなじみ深い伝統色で、平安時代から後世の化学染料の時代にいたるまで、日本人女性の衣服の色としても好まれました。

薄色(うすいろ)

伝統色の名前と意味:薄色

浅く、少しくすんだ紫色。平安時代、紫は高貴な色として色のなかでも別格の扱いでした。そのため、濃色(こきいろ)といえば濃い紫、薄色といえば薄い紫色を示していました。

江戸紫(えどむらさき)

伝統色の名前と意味:江戸紫

江戸で染められた青みがかった紫。伝統的な紫紺染による京染に対し、蘇芳で染めた紫を江戸紫と呼びました。江戸庶民が好み、江戸歌舞伎で助六が頭に巻いている鉢巻の色に代表されます。

日本の伝統色【青系】

浅葱色(あさぎいろ)

伝統色の名前と意味:浅葱色

藍染めの明るい色調の緑味を帯びた青で、葱の若葉に似ていることから浅葱色と呼ばれます。青緑系の伝統色の代表的なカラーで、新選組の羽織の色としても知られています。

空色(そらいろ)

伝統色の名前と意味:空色

晴天の空のような明るい青色。平安時代からある古い伝統色で、「空天色」や「壁天」という別名も持ちます。

日本の伝統色には気象や天体に関するものは少なく、珍しいタイプの伝統色でもあります。

藍色(あいいろ)

伝統色の名前と意味:藍色

藍は人類最古の染料とされていて、藍染では染液に浸しては乾かす作業をくり返すことで色の深さが増していきます。バリエーション豊富な藍染の色のなかでも、純粋な青色である「縹色(はなだいろ)」よりも暗い青が藍色です。

平安時代には黄蘗や刈安をかけた緑がかった色のことを指しましたが、近世には濃い青が藍色と呼ばれるようになりました。

日本の伝統色【緑系】

萌黄色(もえぎいろ)

伝統色の名前と意味:萌黄色

春の萌え出る若葉のような色。平安時代から用いられてきた黄緑色を表す代表的な伝統色で、「萌木」と記されることもあります。春の色として愛されるとともに、若さを象徴する色として、若武者の鎧などにも使用されていたそうです。

後世には「萌葱」とも表記されるようになりますが、この場合濃い緑色を指すことも多く、歌舞伎の定式幕の色も、黒・柿・萌葱です。

秘色(ひそく)

伝統色の名前と意味:秘色

青緑系の釉薬をかけた磁器の一種「青磁」の淡い青緑色を指します。中国で生産された青磁の焼き物は日本人にも愛され、多くの名品が伝来しました。神秘的な色合いであることから「秘色」という名前が取られたという説があります。

鶯色(うぐいすいろ)

伝統色の名前と意味:鶯色

ウグイスの羽のようなくすんだ黄緑色。中世以降に鳥に関する色名がつけられることが多くなり、鶯色も江戸時代に誕生した伝統色のひとつです。

ただし、派手な色がご法度とされた江戸時代は茶系統の色が全盛だったため、茶色がかった「鶯茶」のほうがよく知られていました。

日本の伝統色【黄系】

山吹色(やまぶきいろ)

伝統色の名前と意味:山吹色

「山吹色」は晩春に花を咲かせるヤマブキの花の色に由来する色です。平安時代に誕生した伝統色ですが、黄色の花の名がつけられた珍しい伝統色でもあります。

黄金の色に似ていることから、江戸時代には大判小判のことを指し「山吹色」と呼ぶこともありました。

鬱金色(うこんいろ)

伝統色の名前と意味:鬱金色

ウコンの根で染めた鮮やかな黄色。江戸時代前期には派手な色が好まれ、緋色とともに好んで使われました。

鬱金染めには殺菌・防虫効果があるとして、肌着や虫除けにも用いられました。また、着色料としてカレー粉やたくあん漬けにも活用されます。

菜種油色(なたねゆいろ)

伝統色の名前と意味:菜種油色

菜種油のような緑味のある深い黄色。菜種油が灯油として普及したのは江戸時代前期頃で、このころに菜種油色という名前も誕生しました。

江戸時代中期には、裃の色として流行したそうです。

日本の伝統色【茶系】

香色(こういろ)

伝統色の名前と意味:香色

チョウジやキャラなどの香木を煎じて染めた淡く渋い茶色です。風雅を愛した平安貴族からも人気が高く、『枕草子』や『源氏物語』にも登場します。仏教とも関係が深く、僧衣でも香染が尊重されました。

鳶色(とびいろ)

伝統色の名前と意味:鳶色

トビの羽の色に由来する伝統色で、暗い赤褐色です。江戸時代になってから登場した色ですが、茶系の代表的な色として定着し、男性の反物の色として流行しました。鳶色を基調に、紅鳶、紫鳶、黒鳶などのバリエーションも生まれています。

落栗色(おちぐりいろ)

伝統色の名前と意味:落栗色

木になっていたときの栗色よりも深く引き締まった茶色で、熟して地面に落ちたイガから顔をのぞかせた栗皮からとられています。平安時代中期に生まれた伝統色で、『源氏物語』にも登場しました。

日本の伝統色【灰色・白など無彩色系】

白練(しろねり)

伝統色の名前と意味:白練

生絹の黄味を消し去る精練法を「白練」といい、白練した絹の純白を色名にしたものが白練です。白は日本の伝統色で最古のもののひとつですが、古代は生地の色味が残っていました。白練された純白の絹は特別視され、古代では白練は天皇の装束の色とされました。

灰汁色(あくいろ)

伝統色の名前と意味:灰汁色

灰汁の色のような黄色みを帯びた灰色。藁や木などを燃やしたあとの灰を水に浸し、そこにできた上澄みを灰汁といい、古くから染色の媒染や漂白、洗濯などに用いられてきました。灰汁色は日本人にとって日常的で身近な色だったといえます。

墨色(すみいろ)

伝統色の名前と意味:墨色

墨の色に近いかすかに明るみが残る灰黒色。僧衣や喪服の色として使われていましたが、近世になると黒や鼠色が流行し、しゃれた色として扱われました。

伝統色と日本の歴史文化

日本人にとって色は生活と切り離せないもので、伝統色は日本人の歴史文化とも密接な関わりを持っています。ここからは、歴史文化の側面から伝統色について見ていきましょう。

伝統色は地位と身分を示す色だった!

伝統色と文化|冠位十二階の位階と色

日本の歴史のなかで、伝統色は地位や身分を示す役割も果たしてきました。

代表的なのは、推古天皇十一年(603年)に聖徳太子によって制定された冠位十二階。官職と位階の色が制定され、冠の色で順位が示されました。

その後、位階は次第に拡張され、色数が増え位階の表示はおもに服の色によることとなります。位階を表す色を「位色(いしき)」、それぞれの位階に相当する色を「当色(とうじき)」といい、自分の当色よりも下の色は自由に着用できましたが、上位の色目は「禁色(きんじき)」とされ、着用が許されませんでした

また、黄櫨染(こうろぜん)と黄丹(おうに)の2色は「絶対禁色」と言われ、身につけられるのは天皇や皇太子に限られる特別な色でした。皇室では現代もこの伝統が受け継がれています。

一方、禁色に対し誰でも着用が許されていたのが「ゆるし色」。淡い紅色の「一斤染(いっこんぞめ)」などがこれに当たります。

平安貴族の伝統色の組み合わせ「かさねの色目」

平安時代、貴族たちが移りゆく四季にあわれを感じ、自然の色を写し取り身に着ける伝統色の文化として誕生したのが「重ね」と「襲(かさね)」です。

重ねとは、平安装束である袷の衣の表地と裏地の組み合わせのこと。襲は、十二単のように重ね着するときの配色のことです。この重ねと襲を総称して「かさねの色目」とも表現します。

色の組み合わせには四季折々の植物や風景から取った美しい配色名がつけられ、色名と同じ季節に限定して用いるのがルールとされました。ただ、着用するタイミングや色の濃淡は自由で、季節の変化をキャッチする感受性と色彩表現のセンスを平安貴族たちは競い合っていたそうです。

伝統色文化【春】のかさねの色目の例

伝統色と文化|春のかさねの色目
  • 「梅」‥‥白×蘇芳
  • 「紅梅」‥‥紅梅×蘇芳
  • 「藤」‥‥薄色×萌黄

伝統色文化【夏】のかさねの色目の例

伝統色と文化|夏のかさねの色目
  • 「卯花」‥‥白×青
  • 「杜若(かきつばた)」‥‥淡萌黄×淡紅梅
  • 「撫子(なでしこ)」‥‥紅×薄紫

伝統色文化【秋】のかさねの色目の例

伝統色と文化|秋のかさねの色目
  • 「小栗色」‥‥秘色×淡青
  • 「落栗色(おちぐりいろ)」‥‥蘇芳×香
  • 「紅葉」‥‥赤色×濃赤色

伝統色文化【冬】のかさねの色目の例

伝統色と文化|冬のかさねの色目
  • 「枯色」‥‥淡香×青
  • 「雪の下」‥‥白×紅梅
  • 「椿」‥‥蘇芳×赤

江戸の町人文化が生んだ伝統色「四十八茶百鼠」

伝統色|四十八茶百鼠

戦国の動乱が終わり、江戸時代になると町人文化が発展して新たに多くの伝統色が誕生します。

華美な色を禁じた奢侈禁止令がたびたび出され、庶民が派手な色合いや柄の衣服を着用することが禁じられると、これまで身分の低い者の色とされていた茶や鼠色を工夫してこれまでになかった多彩な茶色や鼠色を生み出しました。これらはまとめて「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」と呼ばれ、実際には100種類以上の色が生まれたと言われています。

色名にも、取り締まりから逃れる方便として茶や鼠の名がつけられ、江戸っ子たちの心意気が感じられる粋な伝統色として流行しました。

江戸時代に大流行した伝統色「役者色」

日本の伝統色には、歌舞伎役者の名前がついたものも多くあります。江戸時代において、歌舞伎役者は大スターでファッションリーダー的な存在でもありました。家の色や舞台で演じる役の衣装の色などに役者の名がつけられ、役者が好む色として大流行。これらは総称して「役者色」と呼ばれ親しまれました。

伝統色「役者色」の例1
路考茶(ろこうちゃ)

黄茶にやや赤黒が加わった色。芸と美貌で当時最高の女形とうたわれた二代目瀬川菊之丞が、中村座で八百屋お七の下女お杉に扮したときの茶染めの衣装の色から「路考茶」と呼ばれるようになり大流行しました。

伝統色「役者色」の例2
団十郎茶(だんじゅうろうちゃ)

柿渋と弁柄で染めた赤茶色で、別名「柿色」とも呼ばれます。代々の團十郎が舞台衣装で用いてきた市川家の色で、成田屋のシンボルカラーです。

伝統色「役者色」の例3
梅幸茶(ばいこうちゃ)

茶色を含んだ淡い萌黄色。もとは草柳と呼ばれる色でしたが、初代尾上菊五郎が好んだ色として、俳号「梅幸」の名がついた色名で呼ばれるようになりました。18世紀半ばから代々の音羽屋に愛用され、一般にも流行したと言われています。

現代でも生きる日本の伝統色

日本の伝統色は、現代においてもさまざまなところで使われています。伝統色のカラーコードをまとめたサイトや色見本などもあり、着物や和紙の染色といった伝統的なものをはじめ、ファッションアイテムや、デザイン、イラストなどにも伝統色が活用されています。侘び寂びを感じる趣深い伝統色を、意識的にくらしに取り入れてみるのもいいですね。

伝統色を取り入れるおすすめアイテムをご紹介!
「かさねの色目」を楽しむ伝統色のストール

富士桜工房 【郡内織物】ストール KASANE 小栗色 (ターコイズ×ライトブルー)

肌触りの良い上質なウールで織り上げた2色合わせのガーゼストール。平安時代の女性たちが好んだ「かさねの色目」が取り入れられていて、日本人の肌に馴染み顔色を明るく見せてくれます。

日本文化の趣と伝統色の美しさを堪能できる逸品。オールシーズン使うことができ、軽く携帯にも便利で使い勝手も抜群です。いくつかカラーバリエーションがあるので、自分に合う伝統色、かさねの色目を見つけてみてください。

富士桜工房
【郡内織物】ストール KASANE 小栗色 (ターコイズ×ライトブルー)

PICK UP
【BECOS厳選】3000円以下のメイドインジャパン商品
【BECOS厳選】3000円以下のメイドインジャパン商品!
3000円以下の上質アイテムを紹介!

3000円以下のメイドインジャパン商品を厳選しました。

たとえば、有田焼のマグカップや、宇治の玉露茶葉、若狭塗りの夫婦箸など、BECOSの商品をちょっと試してみたいという方におすすめのラインナップです。

ギフトランキング

\ BECOS編集部が厳選 /

伝統工芸品おすすめランキング発表

\ BECOS編集部が厳選 /

伝統工芸品おすすめ
ランキング発表

ギフトランキング

\ BECOS編集部が厳選 /

伝統工芸品おすすめランキング発表

\ BECOS編集部が厳選 /

伝統工芸品おすすめ
ランキング発表

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次