津軽びいどろの歴史
元々、津軽のガラス職人たちは、漁業で使う無色透明の浮き球を製造していました。
しかしある時、青森県にたくさんある海岸の中でも、ひと際美しい砂浜と緑豊かな自然が残る全長28kmにも及ぶ七里長浜を歩いていた職人が、その砂を一握り持ち帰り、ガラスの原料として加えてみました。
すると偶然にも、出来上がったガラスは優しく落ち着いた緑色に発色しました。
どこか懐かしい、青森の自然を写したような深みのある緑を得たことで、津軽びいどろは日本中に知られるようになりました。
津軽びいどろの特徴
津軽びいどろの特徴は、何と言っても多様な色づくりにあります。
津軽びいどろには、他のガラス工芸にはいない「溶解」というものづくりチームがいます。
溶解の職人は、調合職人が完成させた色レシピを元に原料を配合し、色を付けるためのガラスを融かすのが仕事です。
レシピがあるとはいえ、天候、気温、湿度など微妙な自然環境の変化でガラスの色の発色は変わってしまいます。
そのため炉の温度を一晩中管理するのも溶解職人の仕事になります。
緑色といっても、青々とした若葉のような緑から、落ち着いた深みのある緑まで様々です。
津軽びいどろが「日本の四季をガラスで表現している」と言われるのも、この繊細な発色技術があってこそなのです。