紬(つむぎ)とは|紬の着物の特徴&日本各地の有名な紬の種類一覧

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熊田 貴行

BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。

自分らしいおしゃれを楽しめると、着物好きのあいだで人気が高い「紬」。今回は、紬とはどんなものかや紬の着物の特徴、日本各地で伝統的につくられている有名な紬の種類を解説していきます!

目次

紬(つむぎ)とは?紬の着物の特徴

紬(つむぎ)とは、紬糸を織ってつくった絹織物のこと。紬糸は蚕の玉繭を真綿に加工してから手紡ぎした糸のことで、手で紡ぐことから太さが一定ではなく、ところどころ節があったり仕上がりに凹凸が見られたりするものもあります。

紬で仕立てた着物は、木綿のような風合いがあり、軽く丈夫で着心地が良いのが特徴。糸の段階で色を染め、織りで柄を表現する「先染め」手法でつくられ、「先染めの着物」と呼ばれることもあります。

紬の種類|日本各地の有名な紬の産地一覧

紬は日本各地でつくられていますが、産地の自然と文化が合わさって発展し、それぞれに特色があります。どんな種類があるのか、有名な紬の種類を見ていきましょう。

紬の種類1:置賜紬(山形県)

置賜紬(おいたまつむぎ)は、山形県南部の置賜地域(米沢市 、長井市、 白鷹市)に伝わる紬の総称です。その起源は8世紀はじめにまで遡るとされる歴史ある織物で、江戸時代に米沢藩9代藩主・上杉鷹山の推奨によって発展しました。

置賜紬には、草木染紬、紅花紬、緯総絣、併用絣、米琉板締小絣、 白鷹板締小絣の6種類があります。それぞれ技術や技法が異なりますが、いずれも先染めの平織で、野性味ある素朴な風合いが特徴です。

現在はおもに着物の生地として使われますが、洋服の布地として使われたり、「 鷹山絹(ようざんぎぬ)」というブランド名で新繭を使用した新しい製品もつくられています。

紬の種類2:結城紬(茨城県・栃木県)

結城紬(ゆうきつむぎ)は、茨城県北西部と栃木県南東部にまたがる結城地方でつくられている紬です。結城地方では古くから農業ができない冬の副業として織物づくりがおこなわれており、奈良時代に陸奥国の特産品として朝廷に献上された「あしぎぬ」と呼ばれる織物が結城紬の原型と言われています。

結城紬は着物のなかでも高級品とされていて、20以上ある工程すべてが手作業でおこなわれるのが特徴です。また、紬という名前がついていても、手間ひまがかかる紬糸を実際に経糸と緯糸の両方に使っている織物はほかでは見られません。

手仕事ならではの心地よい手触りの生地は丈夫で美しく、1977年には伝統的工芸品に指定され、2010年には「本場結城紬」という名称でユネスコ無形文化遺産に登録されています。

紬の種類3:村山大島紬(東京都)

村山大島紬は、東京都武蔵村山市周辺で伝統的につくられている紬です。絣板を用いた「板締め染色」の技法が取り入れられているのが特徴。模様を彫刻した板で糸を染め、染め上がった絣糸を図案通りに並べ直してから織る技法を確立することで、大島紬と似た風合いながら手頃な価格の着物を生み出し広く庶民に愛用されました。

緻密な絣模様と、だれでも着こなせるような落ち着いた雰囲気が魅力です。

紬の種類4:本場黄八丈(東京都)

本場黄八丈(ほんばきはちじょう)は、東京都の八丈島で織られている紬です。「ふしづけ」や「あくづけ」「泥づけ」など、本場黄八丈ならではの染めが特徴。色は、八丈島の限られた自然から得られる黄・樺・黒のたった3色のみで、デザインも縦縞や格子縞、無地などとてもシンプルですが、渋めで優雅な雰囲気が魅力です。

黄八丈の発祥は八丈島ですが、秋田県でも黄八丈が織られており、秋田の黄八丈を「秋田黄八丈」、八丈島のほうを「本場黄八丈」と名付け区別しています。

紬の種類5:塩沢紬(新潟県)

塩沢紬は、新潟県魚沼市の塩沢地方でつくられている高級紬。結城紬、大島紬と並び日本三大紬に数えられます。

塩沢紬は、経糸を合わせて表現される極細の十字絣や亀甲絣などの絣模様が特徴。また、単色調の渋い色合いのものが多く、落ち着いた上品な印象を与えるのも塩沢紬の特色のひとつです。

すり込みや括りと呼ばれる特徴的な製作過程を含め、すべて人の手による複雑で根気強い作業の積み重ね。職人が手間ひまかけてつくり上げるため生産数は限られ、現在は生産者の減少も進んでいることから希少価値の高い織物となっています。

紬の種類6:小千谷紬(新潟県)

小千谷紬(おぢやつむぎ)は、新潟県小千谷市周辺でつくられている紬。小千谷を中心として広まった麻の縮布「小千谷縮」の伝統技法と、1,000年以上続く「越後上布」と呼ばれる麻布の技術を取り入れてつくられています。

真綿の手紡ぎ糸によるふっくらとした風合いや、絹独特の美しい光沢と肌触りのよさ、素朴な味わいが特徴です。

緯総絣(よこそうがすり)と呼ばれる、緯糸(ぬきいと)に絣糸を用いて織られる絣模様や縞模様のほか、無地や白い紬も織られています。

紬の種類7:信州紬(長野県)

信州紬とは、長野県でつくられている絹織物の総称です。生産される地域ごとに「上田紬」「松本紬」「伊那紬」「山繭紬」「飯田紬」などの呼び名があり、それぞれ特色があります。

草木を主染料とした草木染めによる格調高い染め色と、渋みのある光沢が特徴。伝統的な柄は、縞や格子、絣、無地などです。手機(てばた)で一反ずつ手仕事で織るため、織り手の個性が表れ、おなじものがふたつとない一点ものの反物に仕上がります。

なかには、緑色の繭をつくる天蚕(やまこ)の糸を使う場合もあり、天蚕糸のみで織った紬は信州だけの特産品です。軽く丈夫で、親から孫の代まで3代にわたって着られるとも言われ珍重されています。

紬の種類8:牛首紬(石川県)

牛首紬(うしくびつむぎ)は、石川県の白石市でつくられている紬です。別名「釘抜紬」と呼ばれ、釘にひっかけても釘が抜けてしまうほど丈夫な織物としても知られています。

保湿・吸湿・通気性があり、やわらかく肌なじみが良いのが特徴。また、美しい光沢も人々を惹きつけ、伝統的な柄である藍染めのカツオ縞の着物をはじめ、訪問着や帯、和装小物などの製品がつくられています。

近年はパリコレクションに採用されるなど洋装用の素材としても扱われ、海外からも注目されています。

紬の種類9:大島紬(鹿児島県・宮崎県)

大島紬(おおしまつむぎ)は、鹿児島県の奄美大島を中心につくられる絹織物。絹100%の先染め手織りの平織りで、絣合わせをして織上げたものは「本場大島紬」の名称で伝統工芸品に指定されています。

糸は植物など自然の材料で染めることが多く、泥を使って染める「泥染め」がとくに有名。締機で織り出される精緻なデザインと上品な艶感、軽く暖かく着用時にしわになりにくい着心地が特徴です。

フランスのゴブラン織、イランのペルシャ絨毯とともに世界三大織物に数えられ、国内外問わず人気があります。

紬の種類10:久米島紬(沖縄県)

久米島紬(くめじまつむぎ)は、沖縄県の久米島町で織られる絣模様が入った紬です。糸は島に自生する植物や泥で染められており、自然でやさしい色合いが魅力。仕上げに木槌で何度も叩くことでやわらかな肌触りが生まれます。

久米島紬は、すべての作業工程を一貫した手作業で、一人の職人がおこなうのが特徴です。そのため、職人ごとに少しずつ異なる個性が生まれます。

着物のほか、最近では洋服や雑貨などにも使われています。

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紬の着物はいつ着る?帯は?
紬の着物の使い方

紬の着物の格

着物には格があり、TPOにふさわしい格の着物を着ることが大切とされています。紬はカジュアルな着物で、普段着や友人との食事会、趣味やお稽古などちょっとしたおしゃれ着として着用する着物です。

なかには高価な紬もありますが、お茶会やパーティー、儀礼などでは着用しません

紬の着物を着る季節

紬の着物を着る季節は、春~初夏と、秋、冬がおすすめ。夏用の紬もありますが、生地がしっかりしているため盛夏には不向きです。

紬の着物に合わせる帯は?

紬の着物はカジュアルなシーンで着る着物。帯もカジュアルに使えるものを選びましょう。

紬の着物に合わせやすいのは、八寸名古屋帯や半幅帯など。しゃれ袋帯を合わせることもできます。

紬は洗える?

紬は絹織物なので、自宅で洗濯すると生地を痛めてしまうおそれがあります。洗濯をしたい場合は、専門の業者に依頼するのが基本です。

ただし、近年はポリエステル紬や木綿を組み合わせたものなど、自宅で洗濯できる『洗える紬の着物』も販売されています。気軽に洗濯できるものがいいという場合は、こうした商品を手にとってみるのもいいでしょう。

よくある質問

紬にはどんな種類がある?

紬は日本各地で伝統的につくられており、産地の風土を反映しそれぞれ特色が異なります。記事では、大島紬や結城紬をはじめ、有名な紬の種類を一覧で紹介しています。詳しくはこちらをご覧ください。

紬はどんなときに着る?

記事では、紬の着物を着るシーンや着用する季節についても解説しています。詳しくはこちらをご覧ください。

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