漆を育てて楽しむ輪島塗の酒器「KOKEMUSU」

Journal編集長
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使い続けるほどに深みが増していく輪島塗の酒器「KOKEMUSU」。段々深く味わい深くなるその表情はまるで人間の深みをあらわしているようにも思えます。

そんな輪島塗の酒器「KOKEMUSU」を制作しているのが「輪島塗 ぬり工房 楽」です。

親子二代でつなぐ輪島塗の工房ではオリジナルの技法を生み出しながらさまざまな漆器制作をしています。今回は輪島塗工房楽や酒器「KOKEMUSU」について紹介していきます。

深みのある酒器をお探しの方は必見です。

輪島塗とは?

「KOKEMUSU」について紹介する前に、まずは輪島塗の特徴を紹介します。

輪島塗は漆器の代表とも言える伝統工芸品で、漆器とはその名の通り漆を塗って仕上げた器や食器などを指します。

石川県輪島市で生産

輪島塗は石川県輪島市で生産されていることから、輪島塗と呼ばれるようになったと言われています。

室町時代から技術が育まれ、輪島塗としての技術が確立したのは江戸時代。

それほど昔から作り続けられている、伝統的な漆器が輪島塗なのです。

丈夫で一生使える高級品

輪島塗は高い印象がありますが、一度購入すれば一生使えるほど丈夫と言われています。

壊れたとしても修理することができ、世代を超えて使うことのできる漆器です。

また、丈夫なだけでなく見た目の美しさも魅力的です。

深みのある色合いは、使えば使うほど深みを増して美しくなっていきます。

 

輪島塗 ぬり工房 楽について

漆の魅力を伝えたい

輪島塗 ぬり工房楽は石川県輪島市にあり、能登空港から10分ほどのところにあります。漆は古来より日本の人々を魅了してきました。漆は木を保護するだけでなく、美しい光沢を供えており、魔を祓う洗浄のようなものとして扱われてきました。

仏教徒が使用していたものが庶民へと広がり、美しく県労政な日常使いの器として、さらに茶の湯に取り込まれ、高度な工芸品として、漆の美しさを追求してきました。

日本を代表する漆器の産地である輪島でも多くの工房が切磋琢磨し、漆の美しさを競ってきました。

「輪島地の粉」と呼ばれる地元で採れる珪藻土を使った本堅地は高い堅牢性を生んで、高い技術の蓄積と錬磨は他にない輝きを作り上げています。

輪島塗ぬり工房楽は輪島市街から少し外れた日本の原風景が残る里山にあります。輪島塗は分業制の産地ですが、輪島塗塗工房楽では下地から上塗まで一貫制作する数クス内工房です。全ての高低の創意工夫を凝らし、漆本来の表現を追求してきました。

輪島塗 塗工房 楽の漆芸

全ての工程で可能性を模索しつつ、輪島塗ぬり工房楽はさまざまな漆の表現に挑戦しています。上塗が生み出す潤滑な表情はもちろんのこと、下塗からつくる岩肌の荒々しい表情の「KOKEMUSU」など、たくさんの漆の可能性を引き出しています。

自由な造形と高い表現性、海外の環境でも割れない堅牢性を特徴として新鮮な漆芸です。

茶道具 伯楽

ふくよかな漆を追求してできたのが茶道具伯楽です。雅号である伯楽の名義で抹茶椀や水指や建水、茶杓、香合などの茶道具を制作しています。陶磁器の塗り蓋の制作も行っています。主に手で練り上げて形を作っていく練乾漆が生み出す佇まいは漆器でありながら粗野でふくよかな趣を持ち、一味違った面白さを演出します。

日常使いの器も制作

漆器は軽くて丈夫で、口当たりが柔らかく深みのある艶やかな光沢をもっています。長い歴史の間に人の手によって美しく作られ、不思議と日常に豊かさを与えます。楽では伝統的な本堅地輪島塗から練乾塗で作り上げる漆器、貝や金属などの異素材に漆を塗ったものまで、遊び心のある漆器を取り揃えています。使い込むほどに表情が深まる漆器の風情を日常の中に楽しむことができます。

修理・再生も可能

輪島の伝統技法で漆器の修理や再生もしています。漆器の傷や塗りなおし、加飾、欠け、陶磁器の金継ぎはもちろんのことお手持ちの漆器を今様に作り変えることもできます。

さらに高い技術力が求められる仏像・仏具や文化財の修理経験も多いため、あらゆる時代のものに対応することができます。

輪島塗ぬり工房楽の職人について

引持力雄

石川県輪島出身で雅号が伯楽です。下地から上塗まで一貫制作する技術を習得している輪島でも数少ない職人です。10年間の修行後に独立し、茶道具制作に携わり、粗野で飾り気のない作風が茶人の間で評判となりました。山の生活をモチーフにした数多くの香合を制作し、厚く盛って造形できる漆、楽オリジナルの技法「寝乾漆」を生み出しました。

引持和頼

石川県輪島市出身で二代目の引持和頼は七尾仏壇「ぬのや仏壇店」の布辰巳氏に弟子入りし、幅広い技術を習得しています。2017年から楽に戻って制作を始めました。塗箔技術や神社仏閣の修復技術を持ち、総持寺祖院放光堂の塗箔修理などを手掛けています。

輪島塗は細かな技術を駆使して作られる

輪島塗は細かい製造工程を経て作られます。

ここでは、輪島塗の製造工程を分かりやすく紹介します。

輪島塗の製造工程

1.木地作り

最初に行われるのが木地作りです。

乾燥させた原木を使い、漆器の元となる木の器を作ります。

作る形や器の種類によって使う木の種類も異なり、それぞれの作り方に合わせて使いやすい材料を選びます。

2.下地塗り

木地ができ上がったら、下地を塗ります。

下地は生漆(きうるし)やコクソ漆と呼ばれるものが使われ、壊れやすい部分には「布かぶせ」が行われます。

布かぶせはその名の通り布を貼り付ける作業で、割れやすい部分などに行うことで強度を増します。

3.惣身地付け(そうみじづけ)

下地を塗った部分と布を貼り付けた部分の境目に、珪藻土の粉末を塗る作業です。

境目はどうしても脆くなりがちですが、しっかり対策をすることで強度がさらに増していきます。

4.中塗り・上塗り

下地が塗り終わったら、中塗り・上塗りの順でさらに漆を塗り重ねていきます。

特に上塗りは丁寧に行われ、埃やゴミが付かないように専用の部屋で作業します。

下地塗りや中塗りはもちろん、上塗りを丁寧に行わないと見た目の美しさに影響が出てしまいます。

5.色付け・加飾

漆がしっかり乾いたら、最後に磨き上げてから模様を付けたり色付けをしたりします。

輪島塗ができるまでにはたくさんの細かな工程があり、繊細な技術も必要になります。

輪島塗の酒器「KOKEMUSU」

時と共に苔むすうつわ

楽工房独自の「練乾漆」という技術で能登の里山の苔むす岩肌・古木を表現した「KOKOEMUSU」シリーズがあります。

KOKEMUSUは上塗工程で朱合漆の下に緑色の漆を施し、時がたつとともにだんだんと美しい苔色に変化するサプライズのある漆器です。

芸術性だけでなく、漆元来の特性も持ち合わせており機能性にも優れています。

さらに従来の輪島塗に比べて、海外の乾燥した気候に対する耐性もあり、日本だけでなく海外でも長く使い続けることができます。

「KOKEMUSU」の特徴

練乾漆を使って作られている

練乾漆は珪藻土をはじめとしたさまざまな素材を練り合わせて作ったもので、立体的な独特の形を生み出します。

厚く塗ってもひび割れしない漆なので、さまざまな模様や形が作れます。

そのため、「KOKEMUSU」の表面はデコボコで立体感のある仕上がりになっています。

苔が生えたような模様が浮かび上がる

使い込んでいくと次第に下地が表面に出てくるので、まるで苔が生えてきたかのような自然で美しい見た目になります。

色や風合いが変化していく様を見つめながら、長い期間使用できる漆器です。

保冷や保温性に優れている

漆器はもともと保冷や保温性に優れていますが、「KOKEMUSU」も例外ではありません。

冷たいものを入れておいても結露しにくく、温かいものも入れられるので多様性があります。

口当たりが良い

漆器の特徴として、口当たりの良さも挙げられます。

特にぐい呑みなどは飲み口の口当たりがよくなければ、美味しくお酒を飲むことができません。

「KOKEMUSU」は立体的な形状でありながら、心地の良い口当たりになるように考えてる蔵れています。

楽しい漆で伝統をつなぎたい

海外では漆器のことを「JAPAN」と呼び、輪島塗は日本を代表する漆器として特に知られています。輪島塗ぬり工房楽では輪島塗だからこそできる漆の可能性を模索し、楽しみながら次の盛大へ伝統をつなぐ取り組みを国内外で展開しています。

カップやおちょこなどの酒器だけでなく、インテリアとしても人生を楽しめるアートパネルも展開しています。

時と共に変化するKOKEMUSUはあなたと共に年齢を重ねて、それぞれ違う表情を見せてくれます。お酒好きの方なら漆器は共に生きるためのアイテムとしてぴったりです。

節目に飲んで自分が大人として深みを増してきたと同じようにKOKEMUSUもだんだんと深みを増してきます。

購入から1年後、2年後とそれぞれ色が異なりますので、自分の苔むすがどのような色を出すか楽しみながら使ってみましょう。

【輪島塗】楽 KOKEMUSU 片口酒器 (3点セット)

  • 寸法:カップ:W5.5cm× D5.5cm × H5.5cm,
  • 片口:W8.5cm × D8.0cm × H13cm
  • 価格100,000円

練乾漆という1300年前に存在した立体的な漆技法を蘇らせて、能登の里山と苔むす岩肌と古木を表現しています。

使えば使うほどだんだんと美しい苔色が表面に現れてくる魔法のような酒器セットです。一見重厚感があるように思えますが、実際に使用してみると非常に軽く、カップの口当たり抜群です。乾燥した気候でも割れないように堅牢に作られているため、外国人の方へのプレゼントとしてもおすすめです。

輪島塗 練乾漆 KOKEMUSU ぐいカップ

  • 価格…21600円(税込)
  • サイズ…直径55mm×高さ55mm

こちらは「KOKEMUSU」のぐい呑みです。

特徴的な見た目と色合いで、インパクトのある作品です。

一般的な輪島塗と比べても高価で、それだけ手間暇かけて作られていることが分かるでしょう。

味のある形と色合いが美しく、使い込むほどに下塗りの色が見え始め、まるで徐々に苔が生えていくかのような過程が楽しめます。

手のひらサイズなので持ちやすく、手になじむのも特徴的です。

今回紹介したのは一番小さいサイズのカップですが、大きいものになると50000円以上します。

かなり高価ですが、一生使えるので1つ持っておいても損はないでしょう。

まとめ

今回は輪島塗の中でも珍しい、「KOKEMUSU」という作品について紹介しました。

「KOKEMUSU」を見たこと、聞いたことがないという人も多いですよね。

世の中にはいろいろな伝統工芸品が存在し、細かな技術を使って作られた作品もたくさんあります。

この機会にさまざまな伝統工芸を知って、日本の歴史を振り返ってみるのも良いでしょう。

実際に手に取る機会があったら、ぜひその質感や色合いのすばらしさを体感してみてください。