本記事の制作体制
BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。
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「藍染(あいぞめ)」とは、植物染料である「藍」を使った染色技法のこと。藍という名の植物があるわけではなく、「インジゴ(インジカン)」と呼ばれる色素成分を持つさまざまな植物を使って染められたものの総称です。
日本で藍染といえば、タデ藍というタデ科の植物を使ったものが代表的。とくに、徳島県産のタデ藍を使った「阿波藍(あわあい)」が有名です。ほかにも、沖縄の琉球藍を使った「泥藍(どろあい)」などがあります。
藍染の魅力は、深く吸い込まれるような美しい色。藍染の色は世界各国からも「ジャパンブルー」と称賛されています。藍染は、日本を象徴し、世界に誇るべき伝統文化でもあります。
デニム生地などでもなじみ深いインディゴ染めと藍染は何が違うのでしょうか。
藍染が天然染料を使うのに対し、インディゴ染めは藍によく似た色合いの化学染料を使って染められるものも含み、ジーンズの糸などは合成インディゴを使ったものが主流です。
天然物の藍を使った藍染は安定した染めが難しく、染料作りから染めに至るまで、手間も時間もかかり、職人の熟練した技術を必要とします。そのため、明治後期に安価で染めやすい合成インディゴが登場すると、天然染料の藍を使った伝統的な藍染は次第に衰退。ほとんどが合成インディゴによるインディゴ染めに取って代わられてしまいました。
現在では、伝統的な技で作られる藍染は「天然藍」や「本藍染」「正藍染」などと区別され、とても貴重なものになっています。
ただし、インディゴは本来は藍の青色色素を指すため、インディゴ染め=合成染料というわけではありません。藍染を天然インディゴを使ったインディゴ染めと表現することもあります。
藍は人類最古の染料ともいわれていて、藍染の歴史は紀元前3000年ごろまで遡るといわれています。
藍染というと日本独自の文化と思う方もいるかもしれませんが、エジプトやインド、中南米やアフリカなどさまざまな場所で行なわれ、多くの民族のくらしを彩ってきました。紀元前2000年前のエジプトのピラミッドからも藍染の布が出土していて、有名なツタンカーメンのミイラにも藍染めの布が使用されています。
日本における藍染の歴史のはじまりは、飛鳥時代のこと。中国、朝鮮を経て伝わったとされています。
当初、藍染は貴族階級の人だけが着用できる高級品でした。藍染が庶民のくらしに普及したのは江戸時代になってから。着物から作業着、寝具にいたるまで、あらゆる布製品が藍染で染められました。
明治時代に日本を訪れたイギリスの科学者ロバート・ウィリアム・アトキンソンが、日本の町中が藍色であふれていることを「ジャパンブルー」と表現したという話も伝えられていて、これが今日において藍染めの色が「ジャパンブルー」と呼ばれるゆえんだといわれています。
藍の色素は水に溶けにくい性質のため、単純に煮るだけでは染色液を作ることはできません。藍染は、高度な技術が必要とされる職人技。藍染が日本の町中にあふれていた江戸時代においても、人々は自分で作った衣類を、紺屋(こうや)と呼ばれる染物屋に持って行って染めてもらっていました。
ここからは、伝統的な藍染の技法について見ていきましょう。
藍染は、タデ藍などの原料を使って染色液を作るところからスタート。まずは、中間原料である「蒅(すくも)」を作ります。
現在は蒅の状態で全国の染師に送られていますが、かつては蒅を固めた「藍玉(あいだま)」が流通していました。
蒅の状態から染色液を作る工程を「藍建て」と呼びます。職人によって作り出す色が異なり、江戸時代の熟練した職人になると、約20色もの色を使い分けていたそうです。
手間暇かけて完成した藍染液に染めたい生地や糸を浸して染めていきます。しかし、藍染液は黄緑のような色で、そのまま放置していて色が付くわけではありません。酸素に触れさせて酸化させることで美しい青色に染まっていきます。
また、藍染では染めの回数によって色味が変化。淡い色から紺、さらには褐色までさまざまな色を表現できます。好みの色合いになるまで、浸しと酸化の作業を繰り返します。
藍染に使われる藍は、古来から多くの効能を持つ薬草として重宝されてきました。日本でも、藍は藍染の原料として使われるだけでなく、熱を出したときなどに煎じて飲んだり、虫にさされたときに肌に塗ったりといった使い方をされてきたことが伝わっています。
また、藍染の消臭・防虫・抗菌などの効果に着目し、侍が鎧の下に藍染の下着を着ていたことも有名です。
近年の研究では、藍や藍染製品の持つ効能も科学的に証明されていて、藍染製品は効能面からも注目されています。
かつて、侍は戦でケガを負った際、傷口を藍の布で覆って悪化を防いでいたそう。近年の研究では天然藍にトリプタンスリンという抗菌成分が含まれていることが分かっていて、藍染の抗菌作用が実証されています。
菌の繁殖を防いでくれるため、清潔な状態を保てるのが魅力。アトピーや肌荒れに悩む方にもうれしい効能を持っています。
藍染で染めた布は雑菌の繁殖を抑えるため、においが付きづらく長時間でも快適に使用できます。夏場に汗のにおいが気になるときなどに効果的です。
藍染製品には、虫をはじめ、ヘビも寄せ付けない防虫効果があることがわかっています。山に入るときや畑仕事をするときなどにも藍染の衣類や足袋などが重宝されてきました。
また、藍染には虫食いを防ぐ効果もあります。藍染製品をタンスに入れて防虫剤代わりにしたり、大切な衣類を藍染の風呂敷に包んだりするのもいいでしょう。
藍染をした生地は保温効果が高まることが分かっています。冷え性対策にも効果が期待できるため、冷えが気になる方は藍染の下着を使ってみるのもおすすめです。
肌に蓄積的なダメージを与える紫外線。肌のハリや弾力を低下させたり、シワやシミの原因になったりするため気になる方も多いでしょう。
藍染には強い紫外線から肌を守るUVカット効果があります。藍染の衣類やストールは、紫外線が気になる時期のお出かけに役立ちます。
日本が世界に誇るべき伝統工芸品でもある藍染。合成インディゴが主流になっている現在、天然藍を使った藍染は貴重ですが、魅力的な効能も多く、ぜひくらしに取り入れていきたいですよね。
ここからは、実際に藍染のアイテムがほしいという方向けに、天然藍を使って職人が手仕事で藍染を行なう注目ブランドとおすすめ商品をご紹介していきます。自分用のこだわりのアイテムや大切な人へのプレゼントに、ぜひ手に取ってみてくださいね!
宮城県気仙沼市にある藍染工房「インディゴ気仙沼」。港町・気仙沼において、女性が働ける職場を作ろうと発足された工房では、小さな子どもを抱える現役のお母さんたちを中心にしたメンバーが、一枚一枚ていねいに手染めで藍染を行なっています。
染料の素材に使うのは、インディゴの葉、果糖、消石灰、木灰など、天然由来の素材のみ。赤ちゃんや小さな子どもでも安心して使える、こだわりとやさしさが詰まった製品を気仙沼から届けています。
藍染には保温性やUVカット効果があることも分かっています。背景が透けるくらい薄く、バッグに入れてもかさばらないため、夏の冷房対策や紫外線対策にひとつ持っておくと重宝しますよ。
インディゴ気仙沼
天然インディゴで手染めしたストール (絞り)
幻の染料で染められたやわらかなブルーのストール。一度は手に入らなくなったものだと思うと、ますます身に着けるのがうれしくなりますね!こだわりのアイテムで、上質なおしゃれを楽しんでみませんか?
インディゴ気仙沼
天然パステルで手染めしたストール
天然インディゴや手染めならではの風合いもあり、使えば使うほどに独特な個性が生まれます。長く愛用できる特別な1枚を探している方におすすめです。
インディゴ気仙沼
天然インディゴ(一色染め)Tシャツ
買ってきてすぐの藍染製品は、そのまま触れると色移りしやすいので注意。はじめて使う際は、たっぷりの水またはぬるま湯で洗い、一度色出しをしてから使いましょう。
藍染製品を洗う際は、水かぬるま湯を用意し、中性洗剤を使って手で押し洗いするのが基本です。漂白剤や、漂白剤入りの洗剤は変色の恐れがあるので使わないようにしましょう。
洗濯機で洗う場合は、たっぷりの水を使ってほかの衣類と分けて洗うことをおすすめします。
乾かすときは、日焼けを防ぐため、風通しの良い場所で陰干しするといいでしょう。
直射日光に当たると日焼けの原因になります。保管の際は、日が当たらない場所に保管するようにしましょう。
また、藍染は摩擦で色落ちする場合があります。とくに新品で色が濃いうちは、色が薄いものの近くに置かないなど、色移りしないよう気をつけましょう。
日本人の文化に深く根差し、くらしを彩ってきた藍染。天然藍を使った藍染には手間も時間もかかりますが、美しい色合いや天然の効能などたくさんの魅力があり、今後も伝えていきたい伝統の技です。
ぜひあなたも魅力たっぷりの藍染をくらしに取り入れてみてくださいね!
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