イチから知りたい有田焼の起源と歴史・楽しむためのポイント

Journal編集長
Journal編集長

「有田焼」は、陶芸ファンでその名を知らない人はいないほど、有名な焼き物のひとつです。けれど、名前を聞いたことはあっても、有田焼の具体的な特徴を知らないという方も多いと思います。

そこで、有田焼とはどういう焼き物で、どんな魅力があるのか、購入するときはどのような点に注目して選べばよいのかなどを、分かりやすく解説します。

有田焼についてもっと知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。

関連記事:「有田焼」の特徴~歴史やマイセン窯との関係も紹介!

有田焼の歴史~日本初の磁器として誕生した有田焼~

有田焼は、九州の佐賀県有田町とその周辺の地域で作られています。

有田町は佐賀県の西部、長崎県との県境に位置しており、佐賀市から車や電車で1時間の距離です。九州全体で見ると、東シナ海に近い北西部に位置しています。

有田焼が生まれたのは、今から400年以上前。

朝鮮人の陶工、李参平(通称)が有田町の泉山で磁器の原料となる鉱石を発見し、近くに窯を設けて白磁を焼いたのが有田焼の始まりと言われています。

有田焼の特徴は美しい光沢のある白い素地で、とても艶やかで気品があります。

有田焼は、焼きものの中では磁器に分類されます。

焼きものは大きく分けると陶器と磁器の2種類に分かれており、陶器は「土もの」、磁器は「石もの」とも呼ばれます。

その名の通り、陶器は「土」を、磁器は「石」を原料にしており、陶器に比べて磁器は高温で焼かれ、叩いた時に美しい金属音がします。

有田焼の技法にはいくつかの手法があり、それぞれに独特の魅力があります。色を付けずに凹凸だけで文様を表している「白磁」は、白い素地の美しさを際立たせています。

また染料は使わず、鉄分をわずかに含む釉薬を用いて青緑色に発色させた「青磁」は、その独特の色合いで多く人を魅了しています。
もうひとつ、有田焼の最大の魅力と言っても過言ではないのが、色とりどりの染料を用いて絵付けをされた「色絵」です。「色絵」には多くの作風があり、好みの色絵を探すのが有田焼を見るときの醍醐味とも言えます。

有田焼と伊万里焼の違いは?

有田焼についてある程度ご存じの方は、有田焼と伊万里焼の違いは何か、よく分からないと思っている方や、そもそも別ものなのだろうか?と悩んでいる方もいるかもしれません。

有田焼について誤解されることが多いのが、「有田焼」と「伊万里焼」は別ものだという考えですが、有田焼と伊万里焼は、実は同じものです。

ではなぜ、呼び名がふたつもあるのかというと、有田焼は、17世紀の中頃から海外へ輸出され始めましたが、このとき、有田で焼かれた焼きものが伊万里の港から輸出されたため、オランダ東インド会社をはじめとした海外の国では「伊万里磁器」や「伊万里焼」として名前が定着したためです。国内では「有田焼」と呼ぶのが一般的です。

それなら、なぜ国内で「有田焼と伊万里焼の違いは何か?」という議論が起こるのかと言うと、「古伊万里」の存在が大きく影響していると考えられます。

古伊万里は、江戸時代に作られた古い伊万里焼(有田焼)を指します。

この時代に焼かれた有田焼の染付技法はとても精巧で数も少ないため、骨董愛好家の間では高い人気があります。高価なものになると1千万円を超える価値がある品もあるので、ほかの有田焼と区別するために「古伊万里」と呼ばれています。

有田焼の様式は3つある

有田焼には大きく分けると3つの様式があります。

古伊万里様式

そのひとつが「古伊万里(こいまり)」です。

古伊万里は、江戸時代に焼かれた有田焼全般を指しますが、中でも有田焼が始まった初期から17世紀前半に作られていた、素地が厚くて染付のみの素朴な作風を「初期伊万里」または「古伊万里」と呼ぶのが一般的です。

初期色絵様式

17世紀中期になると、複数の色を用いた「初期色絵様式」が確率します。そして17世紀後期には、美しい絵画的な技法が登場します。その代表的な様式のひとつが「柿右衛門(かきえもん)」です。
柿右衛門様式には、「濁手(にごしで)」と呼ばれる乳白色の素地が用いられます。

広い余白を残して色絵をつけるのが大きな特徴で、「余白の美」とも称されます。その美しい絵柄は海外の王侯貴族にも愛されています。

「濁手」は国の重要無形文化財に指定されており、十四代柿右衛門は人間国宝に認定されています。

鍋島様式

柿右衛門様式が海外の王侯貴族に愛されたのに対し、国内の献上品として確立された様式が「鍋島(なべしま)」です。

鍋島様式の特徴は、規則正しい器の形と、品格の高い絵柄です。鍋島藩のきびしい管理のもとに作られていた「鍋島」は、構図も絵付けも極めてレベルが高く、全てにおいて「完璧な美」を追及しています。

大皿に見る有田焼の醍醐味

極めて人気のある有田焼のひとつに、使うための生活食器ではなく、鑑賞用の大皿(絵皿)があります。

飾ることを目的に作られた「大皿」は、インテリア空間に華やぎを添えてくれるうえ、毎日目にして楽しむことが出来るので、手に入れた喜びが褪せるどころか、日々、増していきます。

大皿には、絵画的な絵柄から幾何学模様など数多くの構図があり、形やサイズに決まりはありません。面白い形をした大皿や、独特の絵柄の大皿など、色々な作品があります。

観賞用の大皿には、精巧な手描きの絵付けが施されているものが多く、機械による転写では表現できない独特のデザインもあり、初心者でもその魅力がわかりやすいというメリットがあります。

手描きと機械による転写の違いは、器を手に持ったときの手触りからも簡単に見分けることができます。

転写による絵付けは表面がのっぺりとしているのに対し、手描きによる絵付けは絵の具が盛り上がっています。

総手描きには時間がかかるため、すべての絵付けを手描きで行うのではなく、一部に転写を用い、一部は手描きで仕上げている作品もあります。

一概に、転写の方が価値が低く、価格も安いとは言えません。特に手描きの場合は、作家によって作品の魅力も価値も大きく変わります。

主要輸出品として培われた和洋折衷の魅力

有田焼は当初から輸出を目的として作られていたため、その絵柄と色使いには外国人の好みも広く取り入れられています。

人気の高い色使いのひとつが、白磁に青一色で絵付けをする技法で、藍染を思わせる控えめな上品さがあり、現代でも多くの方に愛されています。

有田焼独特の、繊細ながらも派手過ぎない上品な絵柄は、洋食器に使用しても違和感がなく、和のテイストを感じさせる絵柄のコーヒーカップやティーセットには、和洋折衷の魅力があふれています。

有田焼のコーヒーカップには、赤・緑・黄・青といった鮮やかな色を用いて、牡丹や梅、唐草文様などの日本の伝統的な文様が描かれているにもかかわらず、不思議な新しささえ感じられます。

このため、有田焼の洋食器は、ちょっと珍しい贈答品としてもおおいに好まれています。

進化し続ける伝統の技

有田焼は純粋に伝統的な技法と構図を守る傍らで、若手作家だけじゃなく、伝統のある窯元でも新しい取り組みが次々と試みられています。

例えば、ある老舗の窯元では、伝統的な有田焼を作り続ける一方で、淡い色合いの柄のない器や、これまでには無かったまったく新しい大胆なデザインの作品なども、次々と作り出しています。

その他にも、ヨーロッパの有名ブランドとコラボして、有田焼で極めて洋風な洋食器を手掛けるという試みも行っています。

また、新進のデザイナーとコラボすることで、斬新な絵柄の有田焼を作り出している窯元も複数あります。

長い歴史のある有田焼に接すると、美しい構図に圧倒され、匠の技にため息を漏らします。

新しい作風と伝統的な作風の両方に触れることで、有田焼の歴史をますます強く実感できることでしょう。

伝統の技を守りつつも進化し続ける有田焼は、まだこれからも計り知れない可能性を秘めています。

まとめ

BECOSでは、モダンで普段使いできる有田焼を多数取り揃えております。ぜひ、ご覧ください。