「有田焼」の特徴~歴史やマイセン窯との関係も紹介!

Journal編集長
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日本の伝統工芸品である有田焼は、実に400年以上の歴史があり多くの人に愛され続けています。陶磁器にあまり興味がなくても、有田焼という名前を知っているという人は多いのではないでしょうか。今回はそんな有田焼の魅力について紹介したいと思います。

BEOCSがおすすめするモダンな有田焼

  • 職人が一つひとつ作るこわだりの逸品
  • 洋食器とも組み合わせて使えるモダンなデザイン
  • 海外の有名デザイナーとコラボした作品も多数

そもそもの有田焼の定義や歴史、人気や注目を集めている理由、100万人が訪れると言われる陶器市などについても紹介しますのでぜひ、参考にしてください。

有田焼とは~有田焼の定義と歴史・伊万里焼との違い~

有田焼の窯元、佐賀県伊万里市の有田焼卸団地

有田焼とは、佐賀県有田町とその周辺で作られている磁器の事を指します。

その歴史は古く17世紀に誕生したとされており、日本最古の磁器とも言われています。

17世紀の始めに朝鮮人の陶工である李参平(リサンペイ)らが有田町の泉山で磁器の原料となる陶石を発見し、日本で初めて磁器が焼かれたのです。

初期伊万里

有田には港がなく、伊万里港から出荷されていた事から「伊万里(焼)」とも呼ばれていましたが、明治時代以降に作られた物を「有田焼」、それ以前の物は「伊万里焼」や「古伊万里」として別々に広まっていきます。

有田焼は現代までに様々な変化を繰り返しています。

有田焼には3つの様式があると言われています。一般的に「古伊万里」「柿右衛門」「鍋島藩窯」の三様式に分けられます。

単色で素朴な「初期伊万里様式」

1610年代から1650年代の初期の有田焼は「初期伊万里」と呼ばれ、素地が厚くて染付だけの単色で素朴な物が多いです。

その単色な物から変化させたのが「初代酒井田柿右衛門」と言われており、陶磁器用の絵の具を使い多彩な色を表現する事に成功したのです。

それが1640年頃とされ、1660年代までの色絵を「初期色絵方式」と呼び当時としては画期的な技術とさています。

またこの頃海外にも輸出され始め、今でも「IMARI」の名で有田焼は評価されています。

色彩鮮やかな「柿右衛門様式」

1670年代には「柿右衛門様式」と呼ばれる素地の色を生かした構図が流行しました。

それまでは全面の色を付けるのが主流だった為、その構図が画期的だったとされています。

藩の管理でつくられた「鍋島様式」

17世紀の後半には「鍋島様式」という上品な有田焼が作られました。

これは藩の管理のもとで作られており、贈答品とされていたようです。

現代でも作られている「金襴手様式」は、1700年前後に作られたとされこの当時の技術が現代にまで受け継がれているのです。

有田焼の3つの特徴と魅力・醍醐味

有田焼の特徴は3つあります。

透き通るような美しさの磁器

焼き物は大きく分けて陶器と磁器に分けられますが、有田焼は陶石を原材料とした「磁器」です。

薄く、軽くそしてなめらかな肌触りは有田焼の大きな魅力です。

繊細でありながら華やかな絵付け

柿右衛門様式に代表される色彩豊かな絵付けは有田焼の特徴です。非常に細かな絵付けを職人が手作業で一つひとつ丁寧に描きます。

製作工程が分業制

有田焼の特徴として、制作過程が分業制である事もあげられます。

成形、施釉、絵付、焼成と各分野の職人さんが力を合わせ1つの有田焼を作り上げるのです。そのため成形の職人、絵付けの職人と技術が鍛錬されより繊細で品質の高い焼物ができあがる仕組みになっています。

近年は各分野の伝統的な技術を生かしながら、デザイナーと協力し魅力的な新しい有田焼を作っている窯元もあります。

有田焼の人間国宝

400年以上もの歴史をもつ有田焼には、人間国宝(重要無形文化財保持者)と呼ばれる陶芸家がいます。

白磁(はくじ)・陽刻(ようこく)・染付(そめつけ)・色絵(いろえ)・青磁(せいじ)・瑠璃釉(るりゅう)・辰砂(しんしゃ)などの種類がある有田焼作家の中から、2人について解説します。

白磁の第一人者であり、有田焼ろくろ成形の名手でもある井上萬二氏は、昭和4年に有田町に生まれ、1995年に人間国宝として認定されました。その弟子の数は、500人を超えると言われています。

よい陶器には雑味や雑念がないという意味の言葉『名陶無雑』を座右の銘としてつくられる作品には、一点のゆがみもありません。

色絵磁器からは、昭和37年に有田町に生まれた十四代今泉今右衛門氏です。備前有田の赤絵付け専業であり、2014年に史上最年少の人間国宝として認定されました。

『墨はじき』と呼ばれる伝統の白抜き技法を用いた作品で知られています。

海外でも人気の有田焼

有田焼は海外でも人気の高い焼き物です。1641年に長崎の出島でオランダ連合東インド会社から海外の市場へ出たのがはじまりです。18世紀には中東やヨーロッパにも広がり、王侯貴族がこぞってコレクションするなど、全盛を迎えました。

アンティークなどで出回っているものの多くはこの時期の有田焼です。その後大幅に衰退したものの、人間国宝の井上萬二氏はアメリカにも150人を超える弟子がおり、ハンガリーやドイツで個展も開いています。

十四代今泉今右衛門氏は2017年にバカラとコラボレーションした硝子の皿などを制作しています。

また、七代目矢左衛門氏はアリタポーセリンラボを作り、有田焼のすばらしさを世界中の人に向けて発信しています。ハイブランドであるゲランや人気キャラクターのハローキティ、アニメエヴァンゲリオン、セブンイレブンなどとのコラボで若い世代にも注目されています。

さらに有田焼400年目の2016年にスタートした『2016/』は、海外デザイナーと有田焼の伝統が融合したモダンな和食器を扱っています。シンプルモダンでおしゃれなことからカフェなどでも愛用されている人気急上昇中のブランドです。

よそいきの高級品からカジュアルでリーズナブルな作品までがそろう有田焼は、日本に留学している外国人やホームスティしている人、海外から観光で訪れた人のお土産としても大人気です。

有田焼カレーって何?

佐世保バーガーで人気になった佐世保駅の駅長が、有田駅の駅長に就任した際に有志と共に「有田ハートプロジェクト」を発足しました。

これは有田町をなんとか盛り上げたいという気持ちで発足したプロジェクトだそうですが、その中で生まれたのが「有田焼カレー」という駅弁なのです。

プロジェクトの一員であった「創ギャラリーおおた」の看板メニューであったカレーを使い、28種類のスパイスを使用した本格的な焼カレーを駅弁として販売する事にしたそうです。

もちろんカレーの味も重要ですが、やはり主役は器である有田焼です。

この器は有田焼カレーの為に作られ、駅弁としての価格を1500円程度に抑える為に様々な努力が詰まっているそうです。この器はもちろん再利用可能なので、カレーを食べた後は純粋に有田焼の器として使用できます。

その珍しさと有田焼の良さが広まり、「第7回九州の駅弁」でグランプリを受賞しています。その人気は全国にも広がり、有田焼カレーは駅弁ファン、カレーファン、有田焼のファンから人気のある駅弁となったのです。

鳥居も有田焼の神社がある?

有田焼は器やお皿、茶碗やコップなど様々な商品が作られていますが、有田町には「陶山神社」という鳥居が有田焼で作られている珍しい神社があります。

 

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この神社は有田焼を初めて作ったとされる李参平が祀られいて、300年以上の歴史がある神社なのです。実は有田町では李参平は神様の様に拝められているそうで、その功績が認められ神社が建てられる事になったのです。

陶山神社は有田焼の鳥居がある事でも有名ですが、実は鳥居だけでなく「狛犬」や「灯篭」、「門柱」や「欄干」まで磁器で作られており、まさに焼き物の尽くしのユニークな神社なのです。

 

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また神社で使う「太鼓」も有田焼で作られていて、しっかりと叩いても割れたりはしないそうです。

これは有田焼の特徴でもあり、高温で焼かれる事で硬い磁器となっています。これらの有田焼は全て地元の窯元や職人さんが奉納されたそうで、当時から高い技術があった証明でもあります。

実は神社の鳥居は一度台風で倒れて割れてしまったそうですが、その部分は焼き直しや継ぎ合わせる事で修復されています。ちなみに参道の目の前に線路が通っていて、鉄道ファンからも注目を集める神社となっています。

100万人が訪れる陶器市

毎年4月29日から5月5日まで開かれるのが「有田陶器市」です。

 

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その歴史は古く、100回以上続く陶器市として有名です。有田町は昔、弘法大師開山の黒髪山にやって来るお遍路さんの通り道でした。そのお遍路さんに半端物や等外品を売っていたのが陶器市に繋がったともされています。

1896年(明治29年)に深川栄左衛門と田代呈一の主催で陶磁器品評会が開かれ、その後この品評会と同時に有田焼が売られるようになり、それが現在の陶器市の始まりとされています。

陶器市では種類豊富な商品が売られており、その種類の多さと安さを求めて全国から100万人以上が訪れるとされています。また歴史はまだ浅いですが、有田町では秋にも「陶磁器祭り」が行われています。こちらも多くの人で賑わうお祭りとなっています。

マイセン窯と有田焼の関係

「マイセン窯」は、ヨーロッパの磁器製品と言えばマイセン窯と言われる程有名なブランドですが、その設立には有田焼が深く関わっています。

 

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有田焼は1660年代以降に輸出されるようになったのですが、ヨーロッパの貴族の間で高い人気を誇っていました。その魅力に取りつかれた中の1人に、ドイツ(ザクセン王国)の「アウグスト強王」がいます。

実はこのアウグスト強王はかなりの東洋磁器収集家として知られ、軍人600人と中国製の壺151個を交換したとの逸話まで残っています。

そんなアウグスト強王の命により誕生したのが「マイセン製陶工場」であり、その中でも特に力を入れたのが「柿右衛門様式」の有田焼を模倣製造させる事だったとされています。

その結果マイセン窯はヨーロッパで有名なブランドとなり、同時に世界にも有田焼が広まっていく事になるのです。

有田焼が人気の理由

有田焼が人気の理由は、その華やかな見た目の美しさやデザイン性の高さはもちろんですが、実際に日常的に使いやすいという理由があげられます。

よく陶磁器と陶器と磁器をまとめて言われますが、それぞれに特徴があります、大きな違いは材料の違いで、陶器は粘土を使っており、磁器は磁石という石の粉を粘土に合わせて使っています。

その為陶器の方が土の温もりを感じられ、磁器の方がなめらかな質感となります。また磁器の方が高温で焼くため、薄く作る事が可能な上に硬さも陶器よりあります。

また陶器は粘土が多く使われる為吸収性があり、普段使う為にはいくつか注意点がありますが、磁器には吸収性がないので陶器よりも使いやすさがあります。

有田焼は磁器で出来ています。その為日常的に使われる事が多く、それが今の人気へと繋がった理由の1つです。

なんでも鑑定団有田焼・高額鑑定ベスト3

お宝鑑定でおなじみの「なんでも鑑定団」にも有田焼は数多く取り上げられています。その中でも高額の鑑定額がついた物を紹介します。

第3位「古伊万里の大皿」

鑑定額は120万円。こちらは18世紀前半に作られた物で、「花籠手」という人気のあるデザインだそうです。

第2位「古伊万里の角徳利」

鑑定額は150万円。こちらは17世紀後半につくられた色絵の角瓶で間違いなく、多くの物が首の部分を切られているので残っているのは貴重だそうです。

第1位は「柿右衛門様式の壺」

こちらはなんと5億円の鑑定結果が出ています。2005年の放送ですが、番組最高額を記録しました。

なんでも鑑定団有田焼・騙されたベスト3

なんでも鑑定団に出た有田焼の中にも、本人評価額から大きくかけ離れてしまった騙された物もあります。

第3位「染付の皿」

本人評価額「50万円」で、鑑定額が「1万円」だった「染付の皿」です。こちらは明治時代の有田焼で、本物とは時代が違うそうです。また染付の色も明治以降に作られた合成コバルトだそうで、有田焼ではあっても染付の皿ではないそうです。

第2位「初期伊万里の皿」

本人評価額「100万円」で、鑑定額が「1000円」だった「初期伊万里の皿」です。こちらは初期伊万里の偽物で、初期伊万里独特の歪みやにじみがないそうです。またそもそも土の材質が違う事から偽物とされました。

第1位「初期伊万里の大鉢」

本人評価額「300万円」で、鑑定額が「3000円」だった「初期伊万里の大鉢」です。こちらはもし本物であれば200万円以上の価値のある物でしたが、精巧に作られた偽物と鑑定されました。

有田焼の人気商品

有田焼は芸術品や骨とう品、高級なものなど様々なジャンルで人気がありますが、中でも人気商品とよばれるものが多くあります。

普段使いできるものにこそ、こだわりの素材と職人の技術やおしゃれなセンスの光る有田焼を取り入れてみませんか?伝統的なデザインのものから、現代のインテリアにもしっくりとくるシンプルモダンなものまで幅広い種類が揃っています。

吸水性がない有田焼は清潔に使えるため、食器など衛生面が気になるものの普段使いにも、とても便利です。そんな各人気アイテムについて解説します。

 有田焼のマグカップ

有田焼のマグカップ

有田焼のマグカップには、伝統的な赤絵とよばれる色絵や、すっきりとシンプルな白磁、カジュアルな印象でシンプルモダンな波佐見焼など、実に幅広いデザインと種類があります。

有田焼には薄くて繊細なイメージがありますが、コツンとぶつかったとき、カキーンと金属音がするほどの固さです。

いわゆる陶器と呼ばれる物よりも丈夫で固い『磁器』の部類になりますので、マグカップに有田焼製のものを選ぶと快適に使えます。持ちやすく手になじみやすいデザインのものが多く、持ち手の形も商品によって個性が違うので楽しめるでしょう。

マグカップについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみて下さい。

>有田焼のモダンでおしゃれなマグカップ・コーヒーカップ10選

有田焼の湯呑・急須

有田焼の急須・湯呑

透明感のある白磁をベースに、繊細で鮮やかな絵付けのものが多い有田焼の湯呑や急須は、とても軽量なのが特徴です。

初めて有田焼の湯呑や急須を手にして軽すぎて驚いた経験のある人も多いでしょう。それでいて、耐久性にもしっかりと優れているのです。

お見合いや目上のお客様との改まった席にもよく似あう、昔ながらの蓋つきの湯呑も多く作られており、高級湯呑の代名詞とも言えるのが有田焼の湯呑です。

そのほか、使いやすいタンブラー型などは若い世代からも人気です。

>有田焼のモダンでおしゃれな急須4選

有田焼のお皿

有田焼のお皿

有田焼のお皿も、マグカップや湯呑同様さまざまな技法でつくられますが、実用品としてはもちろん。飾り絵皿として使うなど美しい芸術品としての高級絵皿も有田焼ならではの魅力です。

透明の釉薬(うわぐすり)を使った純白の白磁、表面の凸凹が美しい陽刻、染付などの種類があります。なかでも呉須(ごす)と呼ばれる藍色に発色する絵の具を釉薬の下に使った染付は、シンプルでポップなデザインもよく合うので、現代風のインテリアにもマッチします。

>有田焼のモダンでおしゃれなお皿・プレート10選

有田焼の花瓶

有田焼の焼き物のなかでも、もっとも価格の幅が広いのが花瓶です。マグカップやお皿、湯呑や茶椀などと同じ種類のものに加え、青磁や辰砂などの高級感あふれる素材も多く出ています。

大きさもさまざまで、絵柄が全面に施された豪華なもの、シンプルなものなどさまざまですが、花瓶として使うのはもちろん、美術品や調度品としてそのまま飾って使われることも多いのが有田焼の花瓶です。

有田焼の茶碗

ご飯に使う茶碗にも有田焼は多く使われています。白い素地に映える赤・黄・緑・紫・金・銀などを使った豪華な色絵の茶椀は、お祝いの贈物にも最適です。

素地のみのさっぱりとした白磁は、使う人の年齢性別を選ばず喜ばれるでしょう。大きさもさまざまで、こども用や幼児用のちいさな茶碗も実におしゃれです。カラフルな色合いのものは家族で使い分けても楽しいですね。

>プレゼントにおすすめの有田焼のモダンな茶碗9選

復刻版や400年記念の有田焼も注目!

有田焼には400年以上の歴史があり、様々な進化を遂げ続々と新しいデザインも生み出されていますが、その歴史を見直した復刻版も注目されています。

当時の技法やデザインを再現した復刻版は今にない良さもあり、また2016年には400年を記念して2種類の記念飾り皿が発売されています。

これは香蘭社本店が所蔵している明治の頃の有田焼を忠実に再現した物で、「瑠璃釉金彩竹林文の飾り皿」と「色絵双龍青海波文の飾り皿」の2種類が発売されました。

それぞれ400枚限定で作られ皿の裏にはそれぞれシリアルナンバーが刻まれており、400年の歴史を感じられる特別な有田焼となっています。

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