
江戸切子は巧みな技術を使って作られた伝統工芸品で、美しい見た目が特徴のガラス製品です。高価なイメージの強い江戸切子ですが、実は値段の安い商品もたくさんあります。高くて手が出ない!と諦めていた人も、お気に入りの商品が見つかるかもしれません。
江戸切子にあまり詳しくない人でも、一目見るだけで、高い芸術性と匠の技に見惚れてしまう美しさを持つのが江戸切子です。江戸切子は家にひとつあるだけで、おしゃれ感がグッとアップします!
近年では、オーソドックスな模様やデザインだけでなく、スタイリュッシュなデザインや、これまでにない色の江戸切子も作られており、より親しみやすいものになっています。
この記事では、BECOSおすすめのオシャレな江戸切子を値段別に紹介していますので、今まで江戸切子をあまり知らなかったという方も、この機会にぜひチェックしてみてくださいね。
また、江戸切子とはそもそもどんなものなのか、何が値段を左右するのか、そのほか江戸切子に施される文様についても解説していますので、そちらもお見逃しなく!
江戸切子を紐解く!江戸切子とは
「切子」は別名「カットグラス」ともいわれ、ガラスの表面に彫刻や切り込み細工を施す、技術そのものを指します。
非常に高い技術力を要し、丁寧に作られた江戸切子は見た目が大変美しく、見ているだけで吸い込まれそうになります。
1985年(昭和60年)に東京都の伝統工芸品産業に指定、2002年(平成14年)には国の伝統的工芸品にも認定されています。
江戸切子を名乗る条件

江戸切子は、「江戸切子協同組合の登録商標」であり、「江戸切子」という名称を名乗るには、同組合が定めた条件(以下の通り)をパスした製品にのみ使用が許されています。
1. ガラスである
2. 手作業である
3. 主に回転道具を使用する
4. 指定された区域(※江東区を中心とした関東一円)で生産されている
そのため、「切子」と名前が付いていても、必ずしも「江戸切子」ではない海外製などの場合もあるので、購入の際には十分気を付けて下さいね。
江戸切子の製作工程

美しいカットが特徴的な江戸切子は、どのようにして作られているのでしょうか?
気になる製作工程を見ていきましょう。
1.【割り出し】:カットしていく際の目安となる目印(線)を書く。※図案全ての下絵を書くものではありません。
2.【粗摺り】:研磨工具のダイヤモンドホイールを使い、割り出しで入れた目印を元に、大まかな模様を入れていく。
3.【三番掛け】:粗摺りで入れた大まかなデザインを、より細かくカットしていく。
4. 【石掛け】:カット作業の最終工程。人工砥石や天然石を用いて、カットを施した表面をより滑らかにする。
5.【磨き】:木盤やコルク盤など、作品にあった円盤に水と研磨剤を付けて、石掛けをしたガラスの表面を磨く。この手法以外に、「酸磨き」と呼ばれる、薬品を使い光沢を出す場合もあります。
6.【バフ掛け】:布製のバフ盤で、最終工程の磨きを仕上げます。
江戸切子の値段はどれくらい?
江戸切子の値段は様々で、安いものであれば5000円程度から、高価なものになると数万円を優に超え、その値段には差があります。
製作工程を見ても分かるように、職人さんが匠の技を総動員し、手間暇掛けてひとつひとつ作り上げる伝統工芸品の江戸切子はそれだけで価値があり、普通のグラス製品と比べると値段が高いのも納得です。
江戸切子の値段の違い①
使われる素材によって価格差が生まれる
江戸切子の値段にはかなりの幅があり、高いものであれば数十万円することもあります。
その値段の違いは使われている素材にあり、江戸切子に使われている素材は大きく2つ、「ソーダガラス」と「クリスタルガラス」に分けられます。
ソーダガラスは、値段が安価で硬くて丈夫なのが特徴です。一方、クリスタルガラスは、ソーダガラスよりも高価ですが、透明感の強さや美しい輝きが特徴です。
普段使いであれば丈夫なソーダガラス、鑑賞用であればクリスタルガラスというように、シーンによって使い分けても良いでしょう。
江戸切子の値段の違い②
模様の複雑さも価格に影響する
複雑な模様をカットするのは、技術はもちろん時間や手間が掛かるため、値段が高くなりがちです。高価なものは、江戸切子に詳しくない人でも、一目見るだけで「これは高価なものだろう」と想像できるほどの、圧倒的な存在感と高級感を放っています。
シンプルなデザインのものであれば安くで手に入ることが多いので、模様もあわせてチェックしておきましょう。
また、大きなサイズのものは、その大きさに比例して、材料費・人件費共に掛かるので当然値段も高くなります。
江戸切子は美しい模様が特徴

『木本硝子/八角籠目魚子 オールドペア』
細かな切子細工の模様は数多く有り、和をモチーフにしたものが多いです。伝統工芸品ということで、日本らしい和の模様が取り入れられています。
同じ模様でも、線の太さや彫り具合などによって仕上がりは違ってきます。ひとつの模様だけで作られるものや、いくつかの模様を組み合わせたデザインのもの、また近年では、伝統的な模様を使うのではなく、これまでにはない斬新なデザインのものも増えています。
それでは、ここからは代表的な江戸切子の文様をいくつかご紹介します。
代表的な江戸切子の文様
菊繋ぎ文
江戸切子の代表的な文様で、非常に高度な技術を必要とする文様です。菊繋ぎをカットすることができれば、他の文様も全てできるといわれるほど、難易度は高いです。
天皇家の紋章でも使われる「菊」には、高貴・高尚などの品格を表すほか、不老長寿を意味するなど、縁起の良い文様です。
六角籠目文(ろっかくかごめもん)
「籠目」とは竹籠の網目のことを指し、六角は魔除けのシンボルとされる「六芒星(ろくぼうせい)」でもあります。
六角籠目のほか、籠目を用いた文様には、八角籠目・四角籠目もあります。
七宝文(しっぽうもん)
仏教用語の「七つの宝(金・銀・水晶・瑠璃・瑪瑙(めのう)・珊瑚・しゃこ)」が由来。円の模様が繋がり、その模様が四方八方へと広がることから、人と人との縁を繋ぐ意味合いもあります。
魚子文(ななこもん)
魚のうろこや卵をイメージさせる文様。魚は多産であることから、子孫繁栄の意味が込められています。
矢来文(やらいもん)
町屋などで見かける、竹を交差して作られた囲いをイメージしているのが矢来文様です。矢来は、元々「遣らい」からきており、追い払う・追い除くということを意味し、そのことから魔除けの意味もあるとされています。
麻の葉文
麻の葉をモチーフにしており、江戸切子に限らず着物などにも使われている文様です。古くから親しまれており、麻は丈夫で真っ直ぐに育つことから、子供の健やかな成長を願う意味合いも込められています。
市松文
色違いの四角が、交互に並んでいるのが市松模様。その模様が途切れることなく続くことから「繁栄」の意味があり、子孫繁栄や事業拡大など、縁起の良い模様として好まれています。また、市松模様は、2020年東京オリンピックのエンブレムとして採用されたことでも有名ですね。
亀甲文(きっこうもん)
読んで字の如く、亀の甲羅がモチーフ。「鶴は千年、亀は万年」という言葉があるように、長寿・健康を象徴する亀甲文は、長寿吉兆を願って使われています。
比較的安いものから高いものまで江戸切子のおすすめを紹介
【値段別】江戸切子のグラスおすすめ13選
ここからは、BECOS Journalがおすすめする江戸切子の商品を値段別でご紹介します。ご自分の好みや予算に合わせたアイテムを探してみてください。
【1万円以下】江戸切子のグラスおすすめ①
ワンポイントで気軽に楽しむ江戸切子
すらりと立ち上がったシェイプが美しいビアグラス。一見模様のないグラスに見えますが、じつは底に菊文様の江戸切子があしらってあります。江戸切子というと赤や青の鮮やかなカラーと繊細なカットで特別な日以外は使いにくいと感じる方も多いはず。こちらのグラスであれば、日本が誇る伝統の技をくらしに気軽に取り入れることができます。
ワンポイントでも、光が当たると菊の文様からこぼれた光がテーブルに映りなんともおしゃれ!くらしをワンランクアップさせてくれますよ。
木本硝子
es Slim 04 w edokiriko
【1万円台】江戸切子の酒器・グラスおすすめ②
伝統的な赤と瑠璃!はじめての江戸切子に
江戸切子の中でも比較的安価なのがぐい呑みです。素材や模様などにもよりますが、サイズが小さい分値段が安めに設定されていて手に取りやすいものが見つかります。
竹を交差して作られた囲いを表す伝統的な文様「矢来」のカットを施した江戸切子のぐい呑み。シンプルですが華美になりすぎずはじめての江戸切子にぴったりです。矢来は外敵を防ぐ意味合いから、魔除けの意味があるとされています。大切な方の幸せを願ってプレゼントにするのもおすすめですよ。
木本硝子
重ね矢来 丸ぐいのみペア
【1万円台】江戸切子のグラスおすすめ③
1万円台で江戸切子の魅力を堪能できる!
サイズが小さなぐい呑みであれば、多少凝った模様のものでも1万円台と手ごろな値段で入手できます。剣のような鋭いラインで菱型を描いた「剣菱文様」に、深いカットの「笹の葉文様」「星」を加えた華やかなデザインのぐい呑み。伝統的な赤と青のセットで江戸切子の美しさを存分に堪能できます。
ころんとした丸みのある形状と程よいサイズ感で、酒器として使うだけでなくおつまみや副菜を入れる食器にするなど工夫次第でさまざまな取り入れ方ができます。見栄えもするため、贈り物にもおすすめです。
木本硝子
星剣菱 丸ぐいのみペア
【2万円台】江戸切子の酒器・グラスおすすめ④
とっておきの時間を演出するペアグラス
ペアギフトとして人気の赤と青の江戸切子のグラスセット。結婚祝いや新築祝いなどこれから新しい生活を迎えるご夫婦や、お世話になった目上の方への贈り物にぴったりです。
江戸切子の伝統的な文様「矢来」をイメージした模様で、底面にもカットが施されています。切子の美しい輝きを楽しみながらゆったりと晩酌を楽しむことができますよ。
木本硝子
重ね矢来 オールドペア
【2万円台】江戸切子の酒器・グラスおすすめ⑤
万華鏡のように美しいぐい呑
底からのぞき込むと、まるで万華鏡を見ているかのような美しさが感じられる江戸切子のお猪口。細かなカットを複数入れることで光が反射し、ガラス特有の輝きや美しさを映し出してくれます。小さな加工所で作られている商品で、ひとつひとつ丁寧に仕上げられているので、手作りの温かみを感じられる商品でもあります。
素材にクリスタルガラスを使用し、繊細なカットがふんだんに施された江戸切子ですが、サイズが小さいため予算内に収まりやすいでしょう。
大場硝子
猪口 万華鏡 金赤
【2万円台】江戸切子の酒器・グラスおすすめ⑥
ビールで楽しみたい!モダンな黒の江戸切子タンブラー
スタイリッシュなストライプが印象的な漆黒の江戸切子グラス。木の年輪を直角に切り取ったときに生まれる、柾目(まさめ)という高級品をイメージして作られました。
一般的な江戸切子とはひと味異なるモダンなデザインで普段使いしやすいのが特徴。また、黒の色硝子に飲み物の色がよく映えるのも魅力です。黒の江戸切子は珍しいため、他の人とかぶりたくない個性的なものがほしい方におすすめです。
木本硝子
KUROCO ストライプ タンブラー
【3万円台】江戸切子の酒器・グラスおすすめ⑦
グラデーションが美しいグラス
シンプルな江戸切子とはちょっと違い、現代的なデザインを取り入れたモダンな江戸切子です。今までになかったような斬新なデザインと色合いで、特別感が味わえるでしょう。値段は高いですが、それだけの価値がある商品といえます。
江戸切子の中でも複雑で難しいとされている「菊繁文様」と呼ばれる模様が彫られ、燃え盛る炎をイメージして作られています。鮮やかな緑と琥珀色のグラデーションが美しく、見ているだけでもうっとりしてしまいます。繊細で美しい模様は、目で見るだけでなく手触りでも楽しめますよ。
haku硝子
江戸切子 オールド 火華 amber 緑色
【3万円台】江戸切子の酒器・グラスおすすめ⑧
くらしをワンランクアップさせる高級グラス
近年市場に新しく登場した黒の江戸切子。じつは、黒は光を通しにくく手元が見えないことから職人泣かせと言われる難しい色です。職人の高度な技が求められる高級品ですが、シンプルなカラーでどんなコーディネートにも合わせやすく、飾るだけでなく実際に江戸切子を使いたいという方にはとくにおすすめのカラーです。
植物の細胞を拡大したときに見える不思議な世界をイメージしてデザインされた現代的な江戸切子グラス。ほかにはない和モダンなアイテムで、くらしをグッとセンスアップしてくれます。3万円台とやや高額ですが、プレゼントにこだわりの高級グラスを贈りたいというときにぴったりです。
木本硝子
【江戸切子】KUROCO 玉市松 オールド
【4万円台】江戸切子の酒器・グラスおすすめ⑨
光の反射が美しいぺアグラス
赤と青というハッキリとした色分けが目に映える、江戸切子のペアグラス。表面にあしらわれた八角籠目は、光が八方へ反射して美しく、その1本1本のカットには熟練の技が秘められています。
籠目には魔除けの効果があると言われているので、お祝いごとの記念品にもうってつけ。結婚祝いや還暦祝いなど、夫婦に贈りたいペアグラスです。
木本硝子
【江戸切子】八角籠目 オールドペア
【4万円台】江戸切子の酒器・グラスおすすめ⑩
飲み物によっても見え方が変わるグラス
瑠璃と琥珀色の美しいグラデーションが楽しめる江戸切子です。角度によって色や模様の見え方が異なるので、様々な角度に傾けながら美しさを堪能できる商品です。
紫味のある濃い青と琥珀色の組み合わせがキレイで、いつまででも眺めていたくなるほどの美しさです。中に入れるものによっても見え方が異なるので、いろいろな飲み物を入れて楽しみましょう。
大場硝子
オールド 雅 瑠璃/琥珀
【5万円台】江戸切子の酒器・グラスおすすめ⑪
柔らかな色合いが印象的なグラス
温かみのある赤と、細かなカットから生まれる繊細な輝きが特徴の江戸切子です。魔除けに使われる「籠目文」と不老長寿を意味する「菊花文」を掛け合わせた、大変縁起の良い「菊籠目文」の模様が施されています。値段は高いですが、それだけの手間と時間が掛けられた商品といえるでしょう。上質で透明度の高いクリスタルガラスが使われていて、どの角度から見ても美しいです。
赤い江戸切子は存在感がありますが、この商品は赤い部分が全面に押し出されていないので柔らかさを感じられる色合いに仕上がっています。均一に彫られた美しい模様と赤のコントラストを楽しみながら鑑賞しましょう。
太武朗工房
伝統工芸士 木村泰典作 菊籠目紋 オールドグラス(金赤)
【5万円台】江戸切子の酒器・グラスおすすめ⑫
華やかなカットが美しいペアグラス!特別な日の贈り物に
繊細で熟練の技術を要する「八角籠目」と、魚の鱗を思わせる細かいカットで模様を表現した華やかな仕上がりのペアグラス。脈々と受け継がれてきた江戸切子職人の伝統の技が冴える逸品です。
木箱入りで高級感たっぷり。さらに、和紙や水引を使ったおしゃれで上質なラッピングも選べるので、特別なお祝いごとの贈り物におすすめですよ。
木本硝子
【江戸切子】八角籠目魚子 タンブラーペア
【10万円台】江戸切子の酒器・グラスおすすめ⑬
繊細なカットが施された最高級ロックグラス
上質なクリスタルガラスを使って作られた、江戸切子のロックグラスです。クリスタルガラスを使っているため高額ですが、カットも複雑でじつに華やか。納得の価格といえるでしょう。
菊繋と籠目を組み合わせた高難易度の「菊籠目」と、魚の鱗をイメージさせる「魚子」を施し、底面にも大きな菊文様のカットがあしらわれています。キラキラとした輝きはまるで宝石のよう。木箱入りで特別な贈り物を探している方におすすめです。
カガミクリスタル
江戸切子 ペアロックグラス<菊籠目に魚子紋>
まとめ
江戸切子はなかなか手が出ない高価なものだと感じていた人も、この機会に美しい伝統工芸品にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。初めて購入するなら、安価なものから試してみるのも良いでしょう。
江戸切子は熟練の職人によって、ひとつひとつ丹精込めて作られたもの。機械では生み出せない温かみ、そして細部にまで技が光っています。
伝統工芸品の江戸切子をひとつ持っているだけで、さらに大人になった気分を味わえるでしょう。ひとつひとつの模様が繊細に描かれていて、実際に使うのはもちろん、部屋のインテリアとしてもおすすめのアイテムです。
江戸切子は値段も種類も様々なものがあるので、ぜひ自分だけのお気に入りのものを見つけてみてください!