江戸硝子と江戸切子の違いとは?|江戸硝子の特徴や作り方、おすすめの使い方も紹介!

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熊田 貴行

BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。

Journal編集長
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日本の伝統工芸である「江戸硝子」と「江戸切子」。どちらも江戸の名が付いたガラス製品ですが、その違いを明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか?

この記事では「江戸硝子」の歴史や製法、江戸切子との違いや特徴、自分で学んだり体験できる施設などについてまとめていきます。

この他、実際どのように日常の中で江戸硝子を取り入れると良いか、おすすめの使い方を紹介。ご紹介する江戸硝子は、どれもBECOSで購入可能なものです!

また、江戸硝子のお手入れ方法についても解説していますので、そちらも参考にしてみてください。

目次

江戸硝子の歴史

江戸硝子とは、江戸時代からの伝統的な製法を受け継ぎ、一つ一つ手作業で作られているガラス製品です。

江戸硝子の起源と普及のキーパーソン

18世紀の始め、鏡や風鈴などの日用品が作られたことが起源とされており、特に加賀屋久兵衛(かがや きゅうべえ)と、上総屋留三郎(かずさや とめさぶろう)の2人によって広まったと言われています。

2人のそれぞれの活躍

加賀谷久兵衛は日本橋通塩町で鏡や眼鏡などの大衆向けの製品を作り、上総屋留三郎は浅草でかんざしや風鈴などを作って人気を博したとされています。

現在の江戸硝子

明治12年(1879年)に、硝子製造社組合の「東京玻璃(はり)製造人組合」が設立、後に改組を経て、昭和24年(1949年)に「社団法人 東部硝子工業会」を設立。江戸硝子の伝統文化や硝子製品の復興に努めています。

江戸硝子は、平成14年(2002年)に「東京都伝統工芸品」として認定され、平成26年(2014年)には「経済産業省指定伝統的工芸品」に認定されました。

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食器としてはもちろん、インテリアや飾り皿としても楽しめるのも嬉しいポイント!

贈り物にも喜ばれるでしょう。

江戸硝子の特徴

【木本硝子】江戸硝子 Paula XANA

江戸硝子の特徴は、伝統の製法を守る職人が一つ一つ手作りしているからこそ生み出される温かみと深み、また独特のデザイン性が挙げられます。

江戸硝子は工場での生産はできないため、たとえ同じようなデザインだとしても、同じ物は一つとしてありません。すべて一点モノのため、お土産や贈答品として人気となっています。

また伝統を守るだけでなく、新しい形にもチャレンジしています。デザイン性のある江戸硝子が、近年では多く作られています。

江戸硝子の作り方

【江戸硝子の製法】

江戸硝子の製法は、「宙吹き」「型吹き」「押し型」の3つに大きく分けられます。どの製法も途中までは同じで、まずはガラスの原材料を溶解するところから始まります。

【江戸硝子の原材料】

原材料は主に珪砂(けいしゃ)・ソーダ灰・石灰・炭酸カリ・酸化鉛などが使われ、これらも江戸時代からの伝統が守られています。

【江戸硝子作りの工程】

①溶解:原材料を混ぜ合わせた後、約1400度の溶解炉に入れ、水あめ状になるまで溶かしていきます。溶解した物を「硝子種(がらすだね)」と言い、これが江戸硝子の元となります。

②成形:溶解されてできた硝子種は成形されていきますが、この成形の過程が3つに分かれています。(※詳しくは、江戸硝子の代表的製法で解説します。)

③徐冷釜:成形されてできた硝子は、それで完成ではありません。硝子は、高温の状態からすぐに冷やしてしまうとヒビが入ってしまうため、ゆっくりと冷ましていく必要があるのです。

この歪みが起きる温度は「徐冷点」と呼ばれ、500度前後とされています。そのため、成形された硝子を500度前後に温めた徐冷釜に入れ、徐々に温度を下げていくことで、耐久性のある江戸硝子が完成するのです。

江戸硝子の代表的製法|その1
宙吹き

吹き竿を使い自由に成形していく製法です。硝子種を吹き竿に巻きとり、空気を送りながら、ハシなどの道具を使って成形していきます。型が決まっていないので自由なデザインを作れますが、その分職人さんの技量が必要となります。

江戸硝子の代表的製法|その2
型吹き

木型・金型などに吹き込んで成形する製法です。こちらも空気を送り込んで成形していきますが、自由な宙吹きとは違い決まった形を作っていきます。型に合わせて作っていき、仕上げに不要な部分を取り除きます。

江戸硝子の代表的製法|その3
押し型

型で挟んでプレスすることで成形する製法です。型には雌型と雄型があり、硝子種を雌型に流し入れ雄型を押していきます。上下に挟むようにプレスして成形します。

江戸硝子と江戸切子との違い

江戸硝子と良く混同されるのが、「江戸切子」です。どちらもガラス製品であるため混同されやすいですが、実は明確な違いがあります。

江戸切子の「切子」とは?

【江戸切子】木本硝子

【木本硝子】シックでスタイリッシュな『黒』の江戸切子

切子とは、ガラス製品の装飾加工法、またはそれによって作られた製品のことを言います。

溝をつけ模様を描いたり、曲線で絵を描くことを「切子加工」と呼ぶのですが、江戸硝子に切子加工した物こそが江戸切子なのです。

江戸切子は江戸硝子よりも先に伝統工芸品として認定されており、昭和60年(1985年)に「東京都伝統工芸品」として認定、平成14年(2002年)に「経済産業省指定伝統的工芸品」として認定されています。

江戸切子の伝統的文様

そんな江戸切子には、いくつか伝統的な文様が存在します。

【魚子(ななこ)】

切子面の細かな光の反射が、魚の鱗(うろこ)が連なっているように見えることから名付けられました。

【六角籠目(ろっかくかごめ)・八角籠目(はっかくかごめ)・四角籠目(しかくかごめ)】

それぞれ、竹籠の見た目と似ているところから、このように名付けられました。

【菊繋ぎ・麻の葉】

これらは、植物の形に似ていることから名付けられています。

また、矢来や七宝(しっぽう)、亀甲(きっこう)などと呼ばれる伝統文様もあり、これらの技術が200年近くも受け継がれているのです。

江戸切子を深く知るにはこちらの記事!

こちらの記事では、江戸切子の歴史や製作工程をはじめ、伝統的文様を写真付き解説で見ることができます。江戸切子の人気ブランドや、体験スポットも紹介していますので、興味のある方は是非チェックしてみてください。

江戸硝子とは?

【富硝子】江戸硝子 うきよヒラリ たまやセット (小鉢 豆皿 箸置き)

切子加工してない物が江戸硝子であり、切子加工されている物が江戸切子という違いがあります。

従って、江戸切子も江戸硝子を使っているため、大きくとらえれば江戸硝子であるとも言えます。

その証拠に、江戸切子を生み出したのは、江戸硝子で鏡や眼鏡を作っていた、加賀谷久兵衛とされているのです。

加賀谷久兵衛が、南蛮人によって持ち込まれたガラス製品に切子加工したのが始まりとされており、現在でもその技術を受け継いで作られています。

BECOSで購入できる江戸硝子
江戸硝子のおすすめの使い方

100円均一でも食器が買える現代において、江戸硝子を日常的に使うのは少し勇気がいるかもしれませんが、江戸硝子は本来日常的に使うために作られているガラス製品です。

醤油差しやグラスなど、毎日使うための物も作られています。また、きれいな江戸硝子の器に盛り付けるだけで、いつもと同じ料理でも、一味違った非日常を作り出してくれます。

ここからは、実際にどのように江戸硝子製品を日常使いしていくか、おすすめの使い方をご紹介していきます。

また、ご紹介する商品は、どれもBECOSで購入できる江戸硝子ですので、是非参考にしてみてください。

おすすめの江戸硝子①
【木本硝子】Mai 7 ラージ

手作りのビネガードリンク(フルーツ酢)は、毎日15ml(大さじ1杯)を目安に飲むと、健康効果があるとされています。冷水だけでなく、炭酸水や牛乳などで割って飲むことで、味に変化を付けて飲むことができます。

スリムで手にしっくりと馴染むフォルムのグラスは、お酒をはじめ様々なドリンクに使えるため、日常使いにぴったりです。

【木本硝子】Mai 7 ラージをもっと詳しく見てみる

おすすめの江戸硝子②
【木本硝子】Mai 3 ラージ

大人のための、ほろ苦いアフォガードを万能グラスで楽しむのはいかがでしょうか。

本来、日本酒を飲むために作られたグラスですが、包み込む丸みと深さがあるため、アイス皿や小鉢、冷たい冷茶などのグラスとしてなど、使い方は無限です。

【木本硝子】Mai 3 ラージをもっと詳しく見てみる

おすすめの江戸硝子③
【木本硝子】es Stem 01

「スパイスの女王」とも呼ばれる、爽やかさの中にも甘みを感じるカルダモンを効かせたパンナコッタ。そこに、カルダモンと相性の良いイチジクをトッピングしたスイーツです。ちょっと特別な日のスイーツに、是非食べてみてはいかがでしょうか。

日本酒をラグジュアリーに飲むために作られたグラスですが、スイーツを入れるのにもピッタリなエレガントなグラスです。

【木本硝子】es Stem 01をもっと詳しく見てみる

おすすめの江戸硝子④
【木本硝子】Marlene XANA <雅>

暑い夏に食べたい、大人の日本酒シャーベット。食後にお口直しのサッパリとしたデザートとして、おすすめです。

ドイツ人デザイナー「ウォルフワーグナー」氏がデザインした、日本酒のためのグラス。ワイングラスを思わせる、独特のシェイプ「X」は、女性の名「XANA」の頭文字をモチーフにしたものです。

【木本硝子】Marlene XANA <雅>をもっと詳しく見てみる

おすすめの江戸硝子⑤
【富硝子】うきよ 浅鉢 豆皿セット (藤まつり)

江戸硝子「うきよ」は、江戸の文化をテーマにした配色が特徴的。色ガラスを砕いたパウダーと色粒を使い、様々な美しい色合いを生み出しています。

少し深みのあるお皿(浅鉢)ですので、汁気のある物にも向いています。また、涼しげなお皿ですので、お刺身や写真のような手まり寿司などにもおすすめです。

豆皿は、醤油入れや薬味入れにピッタリのサイズです。ちょっとしたお漬物を入れるお鉢として、また一口サイズのスイーツを入れるのにもおすすめです。

【富硝子】うきよ 浅鉢 豆皿セット (藤まつり)をもっと詳しく見てみる

江戸硝子を長く楽しむためのポイント
江戸硝子のお手入れ方法

毎日の生活で使うことをおすすめしますが、ガラス製品であるので使用にはいくつか注意点があります。

江戸硝子のお手入れポイント①

強い衝撃に弱い
強い衝撃が加わると、割れたり欠けたりする恐れがあります。食器洗浄機の使用も、中で他の食器とぶつかる恐れがあるので避けた方が良いです。

江戸硝子のお手入れポイント②

急激な温度変化に弱い
冷たいガラスに熱いお湯を注ぐだけでも割れてしまう恐れがあります。そのため、ガラスが冷たくなっている時はまず室温に戻してから使い、電子レンジやオーブンでの使用も避けましょう。

江戸硝子のお手入れポイント③

保管方法
直射日光に当たる場所で保管していると、ガラスが白濁してくることがあります。ガラスが白濁してしまうと江戸硝子の魅力が減ってしまうので、直射日光を避け、割れたりしないように、なるべく重ねないで保管するのが良いです。

ここまで聞くと使いにくく感じるかもしれませんが、適切にお手入れすることで、長く使えるのが江戸硝子の特徴でもあります。

江戸硝子作りを学べる教室

江戸硝子や江戸切子には、その作り方を学べる教室もあります。ここでは、本格的にプロを目指して学ぶ「東京ガラス工芸研究所」と、様々なコースが用意されている「江戸切子スクール Hanashyo’S 」を紹介します。

東京ガラス工芸研究所

東京ガラス工芸研究所は、ガラスのプロになるための教室となっていて、江戸硝子を含め、多岐に渡る技法を学べる教育機関となっています。

プロを目指すコースは全日制と夜間コースがあり、年間1,100時間を超える本格的な授業を受けられます。また週に1度の一般公開講座や、様々な体験教室も行っているようなので、一度受けてみたいという方にはそちらがおすすめです。

「東京ガラス工芸研究所」のHPはこちら

江戸切子スクール Hanashyo’S

江戸切子スクール Hanashyo’S は、江戸硝子ではありませんが、江戸切子を学べる教室です。

切子のカットを体験するコース、5回でぐい呑みを完成させる入門コース、1つのデザインのぐい呑みを15回掛けて完成させる初級コース、ぐい呑み以外の作成に挑戦する中級コースなどがあります。

また中級コースの中でも、技術の高い人は実際の工房に行って学べる上級コースもあります。こちらの教室も、インストラクターや職人を目指すコースも用意されているので、本格的に学ぶことも可能です。

「江戸切子スクール Hanashyo’S」のHPはこちら

江戸硝子作りを体験できる工房

ここでは、江戸硝子作りを気軽に体験できる工房、「GLASS LAB」と「すみだ江戸切子館」を紹介します。

GLASS LAB

東京都江東区にある「GLASS LAB」では、江戸硝子で作られた「液だれしない醤油差し」の加工体験を行えます。

ボール盤と呼ばれる加工機のレバーを上下させ、醤油差しの口を広げ、栓が入る大きさまで広げていく工程が体験できます。

こちらは、硝子を直接持たずに加工体験ができる仕組みになっているので、小学生でも体験が可能となっています。家族皆んなで楽しめるのはうれしいですね。

また、海外の方向けのサービスもあり、通訳を付けての加工体験の他、工場見学や清澄白河の見どころ紹介などをしています。

「GLASS LAB」のHPはこちら

すみだ江戸切子館

「すみだ江戸切子館」では、併設されている工房で江戸硝子に切子加工を施す体験ができます。すみだマイスター認定の職人や、店舗スタッフが丁寧に指導しながら90分でグラスに加工をしていきます。

体験に使われる形や色は日によって変わるそうですが、自分だけのグラスが作れると人気となっています。

グラスへの切子体験は高校生以上が対象ですが、中学生以下もペーパーウェイトを使った切子体験ができますよ。

「すみだ江戸切子館」のHPはこちら

進化する伝統工芸品「江戸硝子・江戸切子」

江戸硝子は伝統的な技法を受け継いでいながらも、時代に合わせて進化している伝統工芸品であると言えます。

江戸硝子は伝統的な技術を詰め込んだ独特な味のある物を、江戸切子は伝統的な文様を残しながらも、技術を生かした新しいデザインを作り出しています。

どちらも日常的に使うには気が引けるかもしれませんが、飾るのではなく、本来の使い方をしてあげることでこそ良さが惹き立つ工芸品なのです。

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