民芸(民藝)とは?意味や現代における魅力を解説【おすすめの民芸品・東京の民芸品店も】

民芸とは?

民芸(民藝)とは、「民衆的工芸」の略語。1925年(大正14年)に、思想家である柳宗悦(やなぎ むねよし)や、陶芸家の河井寬次郎(かわい かんじろう)、濱田庄司(はまだ しょうじ)らよってつくり出された造語です。

当時工芸の世界では、凝った装飾を施した美術品など、鑑賞のための作品がもてはやされていました。そんななか、柳宗悦たちは無名の職人が作る日常生活の道具を「民芸」と名付け、実用と結びついた「用の美」という美術品に劣らない健康的な美しさがあると提唱。新しい美の基準を示し、それまで注目されることがなかったごくありふれた日用品に、新たな価値を見出しました。

柳宗悦らは「民芸運動」と呼ばれる生活文化運動を展開。民芸の持つ美しさや価値観を世の中に広めていきました。現在では、「用の美」は日本人の美意識として確立され、民芸品の持つ素朴な美しさも高く評価されています。

現代における民芸品の魅力

民芸という言葉が誕生しておよそ100年。現代にくらす私たちにとって、民芸品はどのような魅力を持つのでしょうか。まずは、民芸品の定義についてもう少しくわしく見ていきましょう。

民芸を提唱した柳宗悦によると、民芸品とは以下の9つの特性を備えたものとされています。

1.実用性:鑑賞するためにつくられたものではなく、なんらかの実用性を供えたものであること。
2.無銘性:特別な作家ではなく、無名の職人によってつくられたものであること。
3.複数性:民衆の要求に応えるために、数多くつくられたものであること。
4.廉価性:誰もが買い求められる程に値段が安いものであること。
5.労働性:くり返しの激しい労働によって得られる熟練した技術をともなうものであること。
6.地方性:それぞれの地域の暮らしに根ざした独自の色や形など、地方色が豊かであること。
7.分業性:数を多くつくるため、複数の人間による共同作業が必要であること。
8.伝統性:伝統という先人たちの技や知識の積み重ねによって守られていること。
9.他力性:個人の力というより、風土や自然の恵み、そして伝統の力など、目に見えない大きな力によって支えられているものであること。

引用元:日本民藝協会│「民藝」の趣旨―手仕事への愛情

民芸品の性質をふまえたうえで、現代のくらしに民芸品が与えてくれる魅力とは何か考えていきましょう。

民芸品の魅力1
民芸品はくらしを豊かにしてくれる!

民芸品は、地域の文化風土に根ざし、職人によってつくられる手工芸品です。職人のていねいな手仕事によってつくられる民芸品には、機械生産された品にはないあたたかみや味わい、そして伝統や文化による奥深さがあります。

たとえば、毎日使う器も民芸の器に変えるだけで、食卓が少し違った表情を見せるでしょう。民衆のくらしから生まれた美しい手仕事で、日常生活を豊かに彩っていけるのが民芸の魅力です。

民芸品の魅力2
手に取りやすい価格で気軽に取り入れられる!

民芸品とおなじく、地域のくらしに根差し職人が手づくりする工芸品に伝統工芸品があります。民芸品と伝統工芸品ははっきりと線引きされるものではありませんが、伝統工芸品の場合は、名のある伝統工芸士がつくり上げ、制作者の名前が前面に出るものも少なくありません。美術品のような扱われ方をして、付加価値によって高額になる場合もあり、やや敷居が高いと感じる方もいるでしょう。

一方、「無名の職人によってつくられたものであること」や「誰もが買い求められる程に値段が安いものであること」を条件とする民芸品は、高い付加価値が付くものも少なく、手に取りやすい傾向にあります。比較的手ごろな価格で気軽にくらしに取り入れられるのも民芸品の魅力のひとつと言えるでしょう。

日本にはどんな民芸品があるの?
くらしに取り入れてみたいおすすめの民芸品&商品

日本には、各地に土地の文化や風土を反映して生み出された民芸品があります。素朴な味わいがあり、くらしに取り入れてみたくなる品がたくさんありますよ。具体的にどのような民芸品があるのかや、おすすめの商品を紹介します。

食卓がパッと明るくなる民芸の焼き物
「やちむん」

「やちむん」とは、沖縄県でつくられている焼き物の総称。沖縄の風土に合わせ、日用の食器から泡盛を飲むための酒器、遺骨を納める「厨子甕 (ずしがめ)」までさまざまなものがつくられ、地域の人々くらしに深く根付いています。

ぽってりとした分厚いつくりに、魚紋など南国の自然をモチーフにした力強い絵付けが施されるのが特徴。地域で調達される原料でつくられる沖縄特有の釉薬による鮮やかな色彩も魅力で、ふだん使いしやすい素朴なデザインでありながら、食卓を楽しく彩ってくれます。庶民が用いる器にもかかわらず装飾性に豊んだやちむんは、民芸運動を推進する柳宗悦らに高く評価され、広く世のなかに知られるようになりました。

代表的なものには那覇市壺屋地区を中心に焼かれる「壺屋焼(つぼややき)」があり、こちらは国の伝統的工芸品にも指定されています。近年はモダンなデザインのものも多くつくられ、沖縄みやげとしても人気です。

民芸品「やちむん」のおすすめ商品
あたたかな気持ちにさせてくれる豆皿

読谷山焼 北窯 松田共司 3.5寸皿 点打 呉須と飴

宮城正享、松田共司、松田米司、與那原正守の4窯元の共同窯である「北窯」。昔ながらのスタイルの登り窯で、年に5回だけ火入れをして作品づくりを行っています。個性の異なる職人による器はどれも味わい深く、やちむんのなかでも人気の高い窯元です。

沖縄らしいおおらかな雰囲気の豆皿。ちょっとした副菜やお菓子を盛り付けて使えば、ほっとあたたかな気持ちにさせてくれそうですね。

読谷山焼 北窯
松田共司 3.5寸皿 点打 呉須と飴

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どんな料理にも合わせやすい民芸の焼き物
「小鹿田焼」

大分県日田市の山間で生まれ、約300年の歴史を持つ「小鹿田(おんたやき)」。民芸運動の中心になった柳宗悦にも絶賛されたとされる器です。小鹿田焼の技法は一子相伝で受け継がれ、現在は開窯からの流れをくんだ9軒の窯元のみで製作されています。

器をつくる際、ろくろの回転に合わせ鉋(かんな)の刃を当てる「飛び鉋」や、ハケで模様を付ける「刷毛目(はけめ)」と呼ばれる技法によって生まれる独特の模様が特徴。整然と刻まれた模様で料理を引き立てながら、シンプルであたたかみのある小鹿田焼の器は、どんな料理にも合わせやすく毎日の食卓で大活躍してくれます。

民芸品「小鹿田焼」のおすすめ商品
料理をグッと引き立てる便利な大皿

坂本浩二窯 尺皿 刷毛目 白

みんなでシェアする大皿料理の盛り付けにもぴったりな直径約30cmの小鹿田焼の大皿。刷毛目の装飾が料理をグッと引き立ててくれるので、ふだん使いからおもてなしシーンまで便利に使える一枚です。

電子レンジや食洗機にも対応。使い勝手もばっちりです。

坂本浩二窯
尺皿 刷毛目 白

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掃除が楽しくなる民芸のほうき
「棕櫚ほうき」

和歌山県を中心に伝統的につくられている「棕櫚ほうき(しゅろほうき)」。ヤシ科の木である棕櫚の幹の皮を穂先に使ってつくられるほうきです。棕櫚の繊維は細く弾力があってしなやか。耐久性や耐荷性にすぐれ、繊維自体が油分を含むことから水にも強く、古くから魚網や運搬用の縄づくりなどさまざまな道具づくりに活用されてきました。

棕櫚の特性を活かしてつくられた棕櫚ほうきも、自然素材でありながら丈夫で長持ち。ほこりが舞いにくく静電気も発生しないため、掃除もお手入れも快適です。さらに、天然のワックス効果で畳やフローリングに自然なツヤを出してくれるという魅力もあります。

手仕事のあたたかみが感じられる見た目も、なんだかおしゃれ。思い立ったらすぐ掃除ができるよう壁に吊るしてインテリアの一部にしてもいいですね。毎日の掃除の時間を楽しくしてくれるほうきです。

民芸品「棕櫚ほうき」のおすすめ商品
はじめての棕櫚ほうきにおすすめ!

山本勝之助商店 7玉長柄箒

明治13年創業の老舗「山本勝之助商店」。棕櫚製品や山椒などの紀州の特産品を製造販売している工房です。工房では熟練の職人だけが棕櫚ほうきをつくることを許され、手づくりの手法にこだわって一本一本ていねいに生産を行っています。

棕櫚ほうきにも広い部屋の掃除に適した長柄タイプから、サッと使いたいときに便利なコンパクトタイプまでさまざまな商品がありますが、こちらは長柄で7本の棕櫚の束をそなえた定番の商品。はじめて棕櫚ほうきに挑戦するという方におすすめです。

山本勝之助商店
7玉長柄箒

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機能性の高さも魅力!民芸の鉄器
「南部鉄器」

岩手県の盛岡市と奥州市で生産されている「南部鉄器」。鉄を原料に作られる鋳物で、鉄びんや急須などが有名です。

熱がまんべんなく伝わることや、保温性にすぐれていることなどが特徴。また、南部鉄器の鉄びんでお湯を沸かすと、味がまろやかになりお茶がおいしくなることや、鉄分がわずかに溶け出し貧血予防につながることも知られています。丈夫でサビも出にくく、手入れをすれば一生ものとして使える機能性の高い道具です。

重厚感のある独特の風合いも魅力ですが、南部鉄器の代表的な文様である表面のつぶつぶしたあられ模様は、単に装飾を目的としたものではなく、表面積を増やして保温効果を高めるために施されたもの。実用性とデザイン性を兼ね備え、民芸の持つ「用の美」を実感できる道具と言えそうですね。

民芸品「南部鉄器」のおすすめ商品
IHでも使える鉄びん

岩鋳
 鉄瓶7型アラレ IH対応

明治35年創業の南部鉄器の老舗ブランド「岩鋳」。「釜師」とよばれる職人たちの技に支えられ、伝統を守りながら、現代のライフスタイルに合わせた製品づくりに取り組んでいます。

代表的なあられ模様の南部鉄器の鉄びん。キッチンに置けば抜群の存在感で、レトロな雰囲気を楽しむことができますよ。こちらの商品はIH対応にも対応していて、オール電化の家庭でも使用できます。

岩鋳
鉄瓶7型アラレ IH対応

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いつかはほしい民芸のバッグ
「あけびかご」

青森県で古くからつくられている民芸品「あけびかご」。地元の山に自生するあけびのつるを手で編んでつくられるかごで、りんご農家の農閑期の手仕事として現在に受け継がれてきました。

どんなスタイルにも合わせやすいナチュラルな風合いと、編み目が生み出す存在感で、コーディネートのアクセントにぴったり。使うほどに色つやが増す経年変化を楽しめるのも魅力です。また、丈夫で耐久性にすぐれているため、大切に使えば子どもや孫に受け継ぐことも……。ひとつの物を大切に使うよろこびを感じさせてくれる一品です。

民芸品「あけびかご」のおすすめ商品
いつものコーデがグッとおしゃれに!

宮本工芸 あけび蔓 月型すかし入り 中

かつては津軽地方にたくさんの編み手がいたあけびかごですが、つるの収穫量が10分の1に減り、現在は編み手の数も減少してしまっています。そんななか、風土に根差した民芸品を守っていこうと生産を続けるのが「宮本工芸」。あけびのつるや山ぶどうの皮を使った工芸品を製造販売しています。

コロンとしたフォルムに、透かしのアクセントが入ったあけびかご。いつものファッションも、このかごを組み合わせればおしゃれ度がグンとアップしそうですね!

宮本工芸
あけび蔓 月型すかし入り 中

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全国の民芸品がそろう東京の有名民芸品店を紹介

実際にお店で民芸品を手に取って選んでみたいという方もいるでしょう。各地域をめぐって民芸品を探すのもいいですが、全国の民芸品を豊富に取りそろえているお店もあります。東京で民芸品を探すのにおすすめの有名な民芸品店をご紹介します。

全国の民芸品がそろう東京のお店その1
備後屋


画像出典元:備後屋

備後屋は、全国各地の伝統ある民芸品を豊富に扱うお店。地下1階から4階までの5フロアに、陶磁器から染織品、ガラス製品、和紙製品、郷土玩具にいたるまで多彩な手仕事の品々があふれ、日本全国の民芸のすばらしさをここ一カ所で満喫できます。とにかく品数が豊富なので、きっとほしい商品に出会えるでしょう。

商品タグには英語表記も。海外からの観光客にも人気です。

情報

名称:備後屋
所在地:東京都新宿区若松町10‐6
電話:03-3202-8778
公式URL:http://bingoya.tokyo/

全国の民芸品がそろう東京のお店その2
銀座たくみ

昭和8年に、地方の民芸品の振興と普及を目的にオープンした「銀座たくみ」。歴史ある民芸の店として有名です。店内には、日本と世界の手仕事のなかから選ばれた良品が並び、定期的に展示会も行われています。

情報

名称:銀座たくみ
所在地:東京都中央区銀座8‐4‐2
電話:03-3571-2017
公式URL:http://www.ginza-takumi.co.jp/

民芸品のあるくらしを楽しもう

手仕事のあたたかみや伝統の技の素晴らしさを感じさせてくれる民芸品は、くらしに彩りを与えてくれます。比較的手ごろな価格で手に入れられるものもあるので、ぜひくらしに取り入れてみてくださいね!