
さまざまな製品や作品の素材として便利な竹。竹にはいろいろな種類があるのをご存知でしょうか。今回は、幻の竹とも呼ばれるほど珍しい「煤竹」という種類の竹について紹介したいと思います。
本煤竹と焼煤竹の違いや、煤竹のでき方についても見ていくので、煤竹を全く知らない人でもこの記事を読めば竹について詳しくなれますよ!また、煤竹を使った商品も紹介するのでぜひチェックしてみてくださいね。
煤竹とは?
煤竹(すすたけ)というのは、昔ながらの家の素材として使われていた竹が長い年月をかけて黒くすすけた状態のものを指します。
煤は炎や煙の中に含まれる黒い粒子のことで、その煤が竹に染みていくことで黒や茶色に変色した味わいのある竹ができあがります。
家で暖炉が使われることが多かったころ、藁すき屋根に使われていた竹に暖炉の煙が染み込んでできたのが煤竹です。
古いものでは200年以上前の竹もあり、高額で取引されています。
本煤竹と焼煤竹の違い
煤竹には「本煤竹」と「焼煤竹」があり、それぞれでき方や特徴が異なります。本煤竹と焼煤竹の違いについて見ていきましょう。
本煤竹
「本煤竹」は先ほど紹介したような、藁すき屋根の骨組みとして使われていた竹が自然に黒くすすけたものです。
骨組みとして使われていた竹は紐などで縛られたあとが付いていることも多く、その部分は竹本来の色が残った状態になっています。
その色の違いや質感の違いをグラデーションとして楽しめるのも本煤竹の魅力です。
暖炉から出る煙が多く当たる部分は濃い色、あまり当たらない部分は淡い色をしてるので、色の濃淡を使い分けて美しいグラデーションを作れます。色は黒よりも飴色に近く、ツヤのあるものが多いです。
軽くて丈夫なのも特徴で、変形しにくいので長期に渡って美しい状態を保てます。本煤竹を使って作られた製品は一生ものとも言われていて、長年愛用している人も非常に多いです。
また、長年の歴史や時間の経過が感じられ、自然にできた模様や風合いを楽しめるのも特徴でしょう。
本煤竹はかなり高価で取引されていることが多く、1本数十万円で売られていることも珍しくありません。昔ながらの家の骨組みとして使われていたものなので希少価値が高く、最近では本煤竹はなかなか手に入らなくなってきています。
本煤竹は長い年月をかけて自然に作られたものなので、すぐに新しいものを作ることはできません。そのため、年を重ねるごとに希少価値が高くなる傾向にあります。
焼煤竹
本煤竹がなかなか手に入らなくなってきた今、非常に注目されているのが「焼煤竹」。本煤竹は自然に作られたものですが、焼煤竹は本煤竹の風合いを感じられるように作った人工の煤竹です。本煤竹の美しい飴色や自然な風合いをできるだけ再現し、美しい竹に仕上げています。
自然に作られた美しさにはやや劣りますが本煤竹よりも安価で購入でき、安定した供給ができるのが特徴です。
上質な竹を窯などでいぶし、美しい色合いになるよう調整して作られています。自然ではなく人工のもの特有の美しさもあり、焼煤竹だからといって本煤竹に大きく劣ることはありません。
本煤竹との違いを楽しみながら使用するのもいいでしょう。
煤竹はどんな製品に使われる?
煤竹の多くは高級竹材として、扇子や箸、茶筅、耳かきなどに使われています。
たとえば、扇子の骨組みは竹で作られていますが、普通の竹で作られた扇子はしばらく使っていると骨組みが壊れてしまうことが多いです。
しかし、煤竹を使った扇子は骨組みがしっかりとしているため、長い間使っていても壊れることがありません。
煤竹特有のグラデーションや美しい飴色を楽しめるのも魅力でしょう。
煤竹を使ったおすすめ扇子5選!
煤竹について知って、煤竹の製品を実際に手にしてみたいと感じた方も多いのではないでしょうか。ここからは、煤竹を使ったおすすめの扇子を紹介していきます。
「本煤竹」を使ったもの、「焼煤竹」を使ったものそれぞれご紹介するので、ぜひ違いも見比べながら気になる商品を選んでみてくださいね!
一点ものの最高級扇子!本煤竹のおすすめ扇子3選
本煤竹の扇子おすすめ1
粋なおしゃれを楽しむ!本煤竹の江戸扇子
今やわずか2人だけになってしまった江戸扇子職人が手掛ける男性ものの扇子です。江戸扇子は骨太な形状で、デザインも小紋柄や動物を描いたものなど比較的シンプル。江戸っ子が好みそうな粋な雰囲気が魅力です。本煤竹の独特の艶感は、江戸扇子の風情ある雰囲気をさらに引き立ててくれます。
一点ものの貴重な本煤竹の扇子なうえ、デザインもとても縁起の良いものなので贈り物にもおすすめですよ。
雲錦堂 深津扇子店
男持 箔 黄 本煤竹
本煤竹の扇子おすすめ2
一点ものの描き絵も味わい深い
日本画家の池上隆三氏が残した一点ものの描き絵を扇面に用い、本煤竹を使用した扇子。世界にひとつだけの宝物になる扇子がほしいという方におすすめの一品です。
愛嬌のある河童のデザインは、踊っているものや太鼓を叩いているものなどいくつか種類があります。ぜひ見比べて、お気に入りのデザインを選んでみてください。
雲錦堂 深津扇子店
男持 描き絵 河童 本煤竹
本煤竹の扇子おすすめ3
手描きで施された縞模様の上品なデザイン
染料で染めた和紙に、櫛状にそいだしけ刷毛で繊細な縞柄を手描きで施した扇子です。シンプルながら熟練の職人技が光る扇面の美しさを、飴色になった本煤竹の上品な艶感が引き立てています。
飽きの来ないデザインで長く愛用できるでしょう。
伊場仙
しけびき扇子 本煤竹 両面柄 紫 6.5寸
本煤竹の扇子をもっと見たい方はこちら
美しい風合いをリーズナブルに楽しむ!焼煤竹のおすすめ扇子2選
焼煤竹の扇子おすすめ1
大きな扇骨で煤竹の雰囲気を楽しむ!
元々フランスで発達した絹扇子の型を取り入れた京扇子。骨の面積が広いことが特徴で、優しくしなやかな風を送ることができます。扇面が小さいからこそこだわりたい扇骨には焼煤竹を使用。価格は抑えつつ、美しい色合いでおしゃれな雰囲気に仕上がっています。
和モダンで洋装にも合わせやすく、使いやすいのも魅力。爽やかな水浅葱色のほか、シックな老緑色や栗皮色などもあるので好みのカラーを選んでみてください。
米原康人
箔彩 hakuiro 焼煤竹 7.5寸 男持
焼煤竹の扇子おすすめ2
1万円以下の手ごろな価格もうれしい!
エネルギッシュな「氣」をテーマに、自然や人間の内なる力を伝統的な箔技法で表現した扇子です。白の下地に金一色で加工を施した扇面に、焼煤竹の扇骨を組み合わせた洗練された色使いが魅力。どんなコーディネートにもマッチし、粋なおしゃれを楽しめます。
扇子は末広がりの形状であることから、使う方の繁栄を願う縁起物として贈り物にも人気です。好みを選ばないデザインなので、プレゼントにもおすすめですよ。
米原康人
箔図 氣 白 焼煤竹 7寸 男女兼用
焼煤竹の扇子をもっと見たい方はこちら
まとめ
今回は、とても珍しい煤竹という竹を紹介しました。
本煤竹と焼煤竹はどちらも美しく、さまざまな作品に使われています。とくに本煤竹はどんどん希少価値が高くなり、今ではなかなか手に入りません。
本煤竹の代わりとして作られた焼煤竹でも、十分美しさを楽しむことができるでしょう。
それぞれに良さや特徴があるので、色合いや価格など自分の好みに合わせて選ぶのがおすすめです。
なかなか出会えないことから幻の竹とも呼ばれる煤竹ですが、ぜひこの機会に手に入れてみてくださいね。