
一日の仕事を終え、ほっと息をつく晩酌はまさに至福の時間。美味しいお酒と気のきいた肴があればいうことはありませんが、もっとお酒を美味しく味わう秘訣があります。それは酒器にもこだわること。
そうはいっても、徳利は少し敷居が高いし洗うのも大変ですよね。それなら酒器の中でも「片口」を選んでみませんか?片口はカジュアルでありながら、日本酒の味わいをより深いものにしてくれます。冷酒も熱燗も楽しむことができ、さらに酒器以外の使い方もできて可能性は無限大!
記事では、片口の魅力や自分にぴったりの片口選びのポイント、おすすめのおしゃれな酒器・片口をご紹介します。あなたにぴったりの片口で、もっと美味しく楽しく日本酒との時間を満喫しましょう。
【酒器】片口を知ろう
ワンランク上の晩酌を!片口を使う醍醐味

片口は、その名の通り片方に注ぎ口のついた器(酒器)です。酒器として使われる場合、容量は1.5合から2合弱の飲み切りサイズがほとんど。冷たい冷酒でも絶妙なぬる燗でも、温度が変わる前に飲み切ってしまえる丁度よいサイズです。
大きく開いた口と、深みのある片口は、お酒の味だけでなく香りも引き立ててくれます。
香り高い大吟醸や、お米本来の味を楽しみたい純米酒など、お酒の持つポテンシャルを最大限に引き出せるのが、片口の醍醐味です。
酒器・片口の魅力
片口は冷酒にも熱燗にも楽しめる酒器
口径が大きく、日本酒の香りをダイレクトに楽しめるのが片口の魅力。徳利よりも容量が大きく、お酒をたっぷりとカジュアルに楽しむことができます。
冷酒用という印象を持つ方も多いかもしれませんが、陶磁器製・ガラス製の片口は電子レンジ対応の物もあり、耐熱性の物であれば簡単に燗をつけることもできます。
徳利と違い開口部が広いため、洗いやすいのも実はうれしいポイントですね。
【酒器】片口を選ぶときのポイント
片口を素材やシチュエーションで選ぶ
片口はガラス製、陶磁器製、金属製など素材も様々。楽しみたいお酒やシチュエーションに合わせて、選ぶのがおすすめです。
酒器・片口の素材1「ガラス製」
ガラス製の片口は冷酒器として人気!

涼しげな趣のあるガラス製の酒器は、暑い夏にピッタリ。キリッと冷やした冷酒を美味しく飲むのに、人気の素材です。
とはいったものの、最近では耐熱性の物もあり、ガラス酒器で熱燗を楽しむこともできます。
酒器・片口の素材2「陶磁器製」
陶磁器製の片口は柔らかい味わいに!

酒器の素材で最もポピュラーで、日本酒の口あたりを柔らかくしてくれます。
冷酒から熱燗まで対応できる、万能な素材。
磁器製は、陶器製よりも厚みがない分、同じ日本酒でもシャープな味わいを楽しむことができます。
秋の夜長にしっとり味わう熱燗は、職人の手仕事が感じられる陶磁器製をセレクトすると、舌だけでなく目にも楽しませてくれ、風情を感じることができます。
酒器・片口の素材3「金属(錫)製」
金属(錫)製|イオン効果でまろやかに!

錫の魅力は、なんといってもあらゆる飲み物の味をまろやかに変身させること。抗菌性も高く、錆びにくいなどの特性も持ち合わせています。
錫の重厚感と機能性の高さで、いつもの日本酒でもワンランク上の晩酌を楽しめます。
酒器・片口の素材4「漆器製」
漆器製の片口は口あたり・質感共にしっとり

ウルシの木から採れる樹液(漆)が塗られた漆器は、しっとりとした質感が特徴的で、使うほどに色や質感が変化していくのが魅力です。
また、漆器は日本酒をトロリと濃厚な味わいにしてくれます。熱を伝えにくい性質を持っているので、熱燗が冷めにくいのもポイントです。寒い冬に、木素材の漆器で飲む日本酒は、木の香りと温かみを感じ、心も体も温まることができるでしょう。
日本酒は奥が深い!日本酒のプロがおすすめする日本酒&酒器
日本酒は、まるでワインのように、杜氏の魂の込められた驚くほど奥が深いものです。そんな日本酒だからこそ、酒器とのマッチングまで考えて選ぶのが大人のたしなみといえます。
日本酒のソムリエといもいえる「唎酒師」が、おすすめの日本酒&日本酒を美味しく飲むための酒器選びについて詳しく解説していますので、興味のある方はこちらの記事を参考にしてみてください。
もっとお酒を楽しめる!おしゃれな酒器・片口10選
熟練の匠が作った片口は、コロンと手に馴染み見ているだけで楽しいものです。心からリラックスしてお酒を楽しみ、贅沢な時間を過ごすのにピッタリ。ここからは、BECOSが厳選した職人の技が光るこだわりの酒器をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
陶磁器製のおしゃれな酒器・片口おすすめ4選
陶芸作家が作るおしゃれな片口
手作り釉薬による印象的なブルーが美しい
京焼・清水焼の青い釉薬が、なんともすがすがしい片口。この青い色は、杉・葡萄・ひまわりなど、自然の植物を燃やした灰から作られるものです。ナチュラルな優しい色合いが味わい深さを醸し出しています。
灰作りから釉薬を手作りするには膨大な作業が必要で、できあがる釉薬の量もわずかなため、最近ではこの方法を続けている陶芸家は少なくなってしまいました。1980年に大日を創業した陶芸家の竹村繁男氏は、30年以上この自然灰釉で作陶を続けています。職人が心を込めて仕上げる、一品一品微妙に表情の異なる器をお楽しみください。
大日
【京焼-清水焼】HiBiKi 碧彩 片口
備前焼作家が作るシンプルモダンな片口
土本来の温かみを感じる備前焼の片口
土本来の温かみを感じられる、ナチュラルな備前焼の片口。備前焼は表面に空いた微細な気孔に含まれる空気で、お酒の香りを一層引き立ててくれます。窯への詰め方や窯の温度などによって、自然に模様が表れるため、同じ模様、同じ色の作品はない、全てが一点ものです。
良く縮む粘土の特徴を生かして、普段使い出来るよう薄手で軽い作りになっているので、使い勝手が良いのもうれしいポイントです。おちょこやぐい呑とセットで使って、ひとつひとつ違う色合いを楽しむのも良いでしょう。
恒枝直豆
【備前焼】片口
電子レンジOKのおしゃれな片口
銀色の花が咲く美しい片口
四代続く京都の老舗窯元「陶葊」は、独自に研究された様々な釉薬で私たちを楽しませてくれるブランド。「花結晶」と名付けられた釉薬を使ったこちらの片口は、幾重にも重なる花びらのような結晶模様が美しく、晩酌タイムに特別感をプラスしてくれます。
印象的なデザインのおしゃれな片口ですが、電子レンジ対応なのもうれしいポイント。片口を使って電子レンジで手軽に熱燗を楽しみたい方にもおすすめです。
陶葊
【京焼-清水焼】花結晶 (銀藤) 片口
多目的に使える!
縁起の良い「タコ唐草模様」がポイントの片口
趣のある古染モダンの器、伝統の美濃焼のデザイン。描かれている「たこ唐草模様」は、唐草模様の一種で、渦巻き状の唐草の外側に葉の模様を付けたものが、蛸の吸盤に見えることからその名が付いています。また、蛸は「多幸(多くの幸せ)」と当て字で表現され、縁起の良い柄でもあります。
酒器としてはもちろん、小鉢としても使えるため、シーンに応じて使い分けることができ、使い勝手の良い商品です。美濃焼の素朴な肌触りと温もりで、晩酌タイムをほっこりさせてくれます。
マルモ加藤陶器
【美濃焼】タコ唐草 片口小鉢
ガラス製のおしゃれな酒器・片口おすすめ3選
美しいガラスが生み出す伝統工芸品の片口
「ねぶた祭り」を片口に再現
「津軽びいどろ」は、1977年に北洋硝子株式会社が生み出したガラス工芸品です。様々な色ガラスを組み合わせ、鮮やかな青森の自然の美しさを表現しています。中でも緑色は、門外不出の調合によって作り出される深みを持つ色。
手仕事にこだわり、「暮らしを豊かにするガラスの器」を作り続ける北洋硝子。青森の「ねぶた祭り」を、そのまま閉じ込めたかの様な生き生きとした片口は、日々の生活に躍動感を与えてくれます。
北洋硝子
【津軽びいどろ】アデリア ねぶた 片口
プレゼントにおすすめの高級片口
薩摩藩から生まれた芸術品
幕末の動乱期に消滅した薩摩切子を復活させるべく、1994年に設立したのが「薩摩びーどろ工芸」。薩摩切子の製作工程は、クリアガラスの表面に、厚さ1〜2mmほどの色ガラスを被せ、カットした後に磨き上げます。
薩摩切子の最大の特徴である「ぼかし」。こちらの片口は、クリスタルガラスに緑色、瑠璃色を被せ、涼やかなグラデーションを追求しました。桐箱入りで、大切な方への贈り物としても喜ばれる逸品です。
薩摩びーどろ工芸
【薩摩切子】satuma 二重被せ 片口 (緑/瑠璃) 桐箱入
漆器製のおしゃれな酒器・片口おすすめ1選
自然を感じる漆器の片口
苔むす古木を再現した特別な片口
大胆なタッチが印象的な輪島塗の片口。「練乾漆®」という、1300年前に存在した立体的な漆技法を蘇らせ、能登の里山の苔むす岩肌と古木を表現したデザインは、荒々しさの中に繊細な職人の技が感じられます。
使い続けるうちに段々と美しい苔色が表面に現れ、経年美化していくサプライズのある片口です。その変化をお酒を嗜みながら、愛でるのも粋ですね。漆の特性は、口当たりの良さ、殺菌力の強さ、軽くて丈夫なこと。また、氷が溶けにくいという利点も持ち合わせているので、機能性に大変優れています。
ぬり工房 楽
【輪島塗】 KOKEMUSU 片口
金属(錫)製のおしゃれな酒器・片口おすすめ2選
金属製のおしゃれな片口
天明鋳物の最後の後継者が作る片口
平安時代から1000年続く「天明鋳物」の、最後の後継者・正田忠雄が作る朧銀製の片口です。どの酒器も手作業でひとつひとつ表情を付けているため、唯一無二の作品です。朧銀とは、銅と銀からなる金属で、ずっしりとした重厚感がありながらも、見る角度によって表情の変わる軽やかさも秘めています。
静かで存在感のある蓮をかたどったこちらの片口。しなやかに丸みを帯びたフォルムと、独特の銀色が見るものを引きつけて離しません。静かにゆったりとした時間を紡ぎ出してくれますよ。
鋳金工房 このはずく / 正田忠雄
【天明鋳物】朧銀製 蓮(はちす)
ハレの日や結婚祝いのプレゼントにおすすめの片口
富士山のデザインで縁起がいい!
富士山をモチーフにした、縁起の良い錫製の片口。江戸時代後期に京都から普及した京錫にルーツを持つ、老舗錫器メーカー「大阪錫器」が作る逸品。錫は、錆びにくく変色しにくい金属で、お手入れ次第で光沢が長く続きます。
実用面で優れているだけではなく、錫には飲み物をまろやかにしてくれる効果があるため、お酒の美味しさが引き立ちます。陶器などに比べると、熱伝導率が非常に良いため、燗や冷酒の酒器に最適です。5色展開なので、お好きな富士山を選んで、お酒の席を華やかに演出しましょう。
【大阪浪華錫器】富士山シリーズ 片口
プレゼントなら片口とおちょこ・ぐい呑のセットもおすすめ

片口には、おちょこやぐい呑とセットで販売されている商品もあります。酒器のデザインを揃えてトータルコーディネートすれば、晩酌タイムがますますおしゃれで楽しいものになるはず。片口の酒器セットは見栄えもするため、お酒好きな方への贈り物にもぴったりです。
片口の酒器セットで大切な人と至極の晩酌タイムを!
おしゃれな片口セットおすすめ3選
せっかくなら、片口とお揃いのおちょこやぐい呑で日本酒を楽しみたいという方もいるでしょう。また、セット品は贈り物にもピッタリです。おすすめのおしゃれな片口セットをご紹介するので、ぜひ気になるアイテムをチェックしてみてくださいね!
受賞歴多数の実力派作家夫婦が作る片口セット
カジュアルに日本酒を楽しめる片口セット
「ガラス工房 Izumo」は、作家・川辺雅規氏と作家・かわなべかおり氏のご夫婦が営む工房です。夫婦であれど二人の作風は全く異なり、ときに良き理解者、そしてライバルとして、お互いに切磋琢磨しながら日々作品作りをしています。
吹きガラスで作られた、片口とぐい呑のセット。雲海を思わせるような柄を纏い、中を覗くと、そこには金箔が浮いているように見えるサプライズになっています。普段使いから、ギフトとしても喜ばれるアイテムです。
ガラス工房Izumo
【吹きガラス】酒器3点セット Cocochi
冷酒から熱燗まで対応できる片口セット
シンプルなデザインを好む方への贈り物に
木製漆塗りの強みは、冷酒から熱燗まで順応に対応できること。保温性が高く冷めにくいので、ゆっくり自分のペースで日本酒を楽しむことができます。シンプルなデザインだからこそ、クオリティの高さが分かる商品。使うほどに、漆の透明度が変化していくのは、漆製品の魅力です。
おちょこはショットグラスとしても使え、中国茶や漢方などを飲む器としても使うことができます。木製漆塗りならではの、手に伝わるほんのりとした温もりは、使っていて癒やされます。
八雲塗やま本
【酒器】3点セット 千筋背高 (内根来) 春秋
贈り物にも!高級感あふれる片口セット
特別な日本酒とともに堪能してほしい
錫100%のスタイリッシュな片口。お揃いのぐい呑とセットになっています。錫は水の雑味を除き、まろやかな味わいにするといわれています。片口に注ぐことでお酒の雑味が抜け、より一層お酒の美味しさが引き立ちます。
たっぷり280cc入るので、グイグイとお酒を楽しむ方でも、満足出来る大きさなのがうれしいですね。ひとつひとつ職人が手作業で仕上げた錫の片口は、柔らかで手に馴染みます。こちらは、電子レンジにかけるのはNGなため、熱燗を飲むときは日本酒をお好みの温度に温めてから片口に注ぎましょう。
能作
【高岡銅器】片口 – 大 & ぐい呑 2ヶセット (桐箱入)
【酒器】片口のプレゼントならラッピングにもこだわったBECOSをチェック
BECOSは全国から厳選したこだわりの Made in Japan アイテムをお届けするオンラインストア。酒器・片口も上質でおしゃれなものをたくさん取り揃えています。
また、BECOSはギフトシーンに欠かせないラッピングサービスも充実!日本の高級素材である和紙を使ったおしゃれでモダンなラッピングを用意しています。
手書き代筆も選べるメッセージカードやドライフラワーの花束を添えて特別感を演出することもできるので、両親の誕生日や結婚記念日など心のこもったギフトを贈りたいときにもぴったり。もちろん各種のしにも対応しているのでフォーマルな贈答シーンでも安心です。
品物にもラッピングにもこだわったワンランク上の贈り物を検討している方は、ぜひBECOSの酒器・片口をチェックしてみてくださいね!
選ぶ酒器・片口で日本酒の味は変わる!
こだわりの酒器で日本酒をもっと楽しもう
日本酒の種類によって、また酒器の形状や素材によってその味わいが変化する日本酒。まさに、杜氏と器づくりの職人のなせる技の妙義といえます。
酒器によって微妙に変わる口当たりを遊んでみるのも、日本酒の楽しみのひとつ。素材の違い、口径の大きさなど、一本の日本酒でも酒器を変えて味わってみると、その違いに驚くはずでしょう。
さらに、酒質によって酒器を選べるようになれば上級者。
スタンダードな本醸造は口径の広い酒器を、ちょっとクセのある古酒にはストレートなタイプの酒器を、日本酒の持つ風合いをダイレクトに楽しみたいときはふっくらとした形の酒器など、楽しみの幅も広がります。
ぜひ酒器にもこだわって日本酒をもっと楽しみましょう!