本記事の制作体制
BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。
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やわらかさと硬さが絶妙に共存する世界で、人々を魅了し続ける吹きガラス。
ガラスには様々な種類があり、吹きガラスや型ガラスなど、多様な世界観があるのをご存知でしょうか?
今回は、アーティスティックな作品を生み出し続けるガラス工房Izumoの川辺さんに、吹きガラスの魅力についてお話を聞かせていただきました。
吹きガラスの基礎知識や、歴史についても詳しく解説するので、ぜひ最後までご覧くださいね。
川辺雅規
1971年に栃木県佐野市に生まれ、明星大学日本文化学部生活芸術学科を卒業。
国内外の工房や研究所でガラス製作に従事し、2016年7月にガラス工房 Izumoを設立する。
奥様と営むガラス工房Izumoを拠点に、様々な賞を受賞しながら活動中。
賞歴
2009年 第4回現代ガラス展in山陽小野田〈大賞〉
2015年 アートフェア富山2015〈ガラス部門特別賞〉
2016年 島根県総合美術展〈知事賞〉
吹きガラスとは、ガラス工芸のひとつ。
溶解炉に入っている溶けたガラスを吹き竿に巻き取り、成形する手法。
Izumoの吹きガラスも直接息を吹き込んで成形しているものが多いのですか?
基本的にはほとんどの作品が吹きガラスです。また、日本では直接人が吹かなくても、溶解炉のガラスから作ると吹きガラスと呼ばれるのでいますので、一口に吹きガラスといってもとても幅がひろいです。
そうなのですね!
吹きガラスは、以下の技法に分けられる。
・宙吹き…作業台を使用しながら、中空で吹いてガラス製品を作っていく方法。
・型吹き…溶けたガラスを型に吹き込んで成形をする方法。
ガラス工房Izumoは、宙吹きと型吹きのどちらを採用していますか?
Izumoでは宙吹きがほとんどです。私たちが型吹きをおこなうのは、装飾として利用するときですね。
具体的な型を取るために型吹きをすることもありますが、稀です。
ほとんどは、モールドと呼ばれるアルミの鋳造でできた型に吹き込んで、模様をつけるために使っています。
型吹きを装飾方法のひとつとして利用するのですね!
机に並ぶとパッと華やぎ、見ているだけでも癒されるでしょう。普段使いから特別な日まで、オールマイティに活躍してくれること間違いなしですよ。
ガラス工房Izumo
【吹きガラス】Izumo 酒器3点セット さくら
こちらの記事では、ガラスの酒器を紹介しています。
吹きガラスは紀元前から今と同じ製法として確率され、現代ガラスと工芸ガラスに分けられている。
昔はガラス製作と言えば大規模な設備を必要とし、工場などの企業単位でデザイナーや職人などで分業のうえ営利を目的にした作品を作っていた。
しかし、1970年代に小型のガラス溶解炉が開発されたことで、これまで大規模設備を必要としていたガラス製作は、個人単位での活動が可能に。
それに伴い教育機関も発達。営利的でないアーティステッックなガラスの勉強ができるような環境が整っていった。
現代ガラスと工芸ガラスに分けられるのですね。
そうですね。現代に生きるガラス作家たちは、ほとんど現代ガラスです。
私自身、現代ガラスは表現方法のひとつであり、アートのような認識を持っています。
さらに、表現性やコンセプトで評価されるため、パフォーマンスも重要な評価の一つですね。
工芸ガラスにはどのようなイメージを持っていらっしゃいますか?
工芸ガラスは、高度な技術や技法を駆使して素材を活かした造形のようなイメージです。
出来上がった作品における、プロセスも重要な気がします。
一般的に想像するよりもずっと、ガラス工芸は多種多様なんですよ。
たしかに、ガラス作品とひとくくりにしても幅が広いですよね。作り方も多様なのでしょうか?
ガラス技法は、溶けたガラスから作るホットワーク、電気炉の中で焼成するキルーンワーク、加工機を使用するコールドワークなんかが有名ですね。
吹きガラスはどの技法に分類されますか?
吹きガラスは、溶解炉から溶けたガラスを巻き取るので、ホットワークに分類されますね。
他にも土とガラスを融合させるなど様々なものがあり、ガラス製作の可能性は無限大だと感じています。
川辺さんの作品も、無限の可能性を感じる作品ですよね。アートよりで、まさに現代ガラスといった感じがしますね。
ありがとうございます。私は抽象的な作品を作ることが多いですね。オブジェとしての作品に重きを置いています。
自分が「きれいだな」「かっこいいな」と思って作った作品を、見た方たちも同じように感じてくれる人が増えたらいいなと思っています。
たとえば、日本刀や冬の朝のような作品を目指したいですね。
日本刀や冬の朝ですか?
はい。どちらも凛とした空気感を醸し出していて、思わず見入ってしまうような緊張感を感じさせる空気感があると思っています。
そして同時に、どこか心地良さも感じられる不思議な雰囲気もありますよね。そんな日本刀や冬の朝のような、緊張感と気持ち良さを感じられる作品を作っていきたいです。
すごくすてきです!
今後の作品も楽しみにしていますね!
ガラスにも関わらず、どこか柔らかで優しい印象を与える作品です。玄関に飾ると、毎日特別な気持ちにさせてくれますよ。
ガラス工房Izumo
【吹きガラス】Izumo MAYU ブルー
こちらの記事では、ガラス工芸の歴史について詳しく解説しています。
吹きガラスにはたくさん魅力があると思いますが、川辺さんの思う吹きガラスの魅力を教えてください。
やはり『様々な可能性があること』でしょうか。
ガラスに関して、まだまだ知られていない部分がたくさんあると思います。
『ガラスの多様性』ですね。
はい。ガラスに対する認識は、まだまだ変わる余地があると思っています。
「ガラスってこんなこともできたんだ」というところから、ガラスに対する魅力をみなさんに知ってもらえたら嬉しいです。
川辺さんの作品を見ていると、もっともっと沢山の方に見てもらいたくなりますね!
ありがとうございます。 純粋にガラスは綺麗なので、美しさを生かした作品がたくさんあることを知ってもらいたいです。
ガラスに対する認識の変化は、自分の実体験として感じているので。
実体験ですか?川辺さんは、もともとガラスに対してどのようなイメージを持っていたのでしょうか?
私は大学時代クラフトデザインを希望しており、吹きガラスに対しては大変なイメージが強く、いい印象は持っていませんでした。
ですがある日、図書室で見たルネ・ラリックのガラス作品集に衝撃を受けたんです。まるで雷に打たれたかのような。
今までのイメージとの違いを感じ、造形や乳白色の美しさに魅了され、ガラスに対する可能性にひきこまれました。
もともと興味がなかったのには驚きです!
川辺さんが感じたような体験をいろいろな方にも感じてもらいたいですね。
はい。自分の作品を見て魅力を感じ、ガラスに興味を持つきっかけになってもらえたらと思います。
あとは、製作者として『溶けたガラスを扱う』という難しいステップを達成していくことに、魅力を感じていますね。
溶けたガラスを巧みに扱い、意のままに表現をする。この難しいステップを思い通りにできると、すごく達成感が得られるんです。
作る工程に関しても、他の表現技法にない難しさや楽しさを感じますね。
それは、アート作品に関わらずですか?
はい。吹きガラスは、作家性を重視しないグラスのようなものであっても、作家が手がけることでオリジナリティを発揮します。
画一的な工業製品も素晴らしいと思いますが、ガラス工房Izumoの作品は私の手で作っていることによる魅力を感じていただけたらと思います。
きっと、ひとつひとつ思いを込めて作っているからこそ、作家のオリジナリティが表現されるのですね!
『商品』としてではなく、作家の思いを込めた『作品』として、みなさんに届けたいと思っています。
ガラス工房Izumoも作り手として、こだわりの部分でもありますね。
Izumoの作品は、作り手の思いが込められているのが伝わるようなものばかりだと感じられます!
気泡が入ったデザインで、見ているだけで心が踊ることでしょう。いつものお酒もこのグラスで飲むと、グッと特別感が増しますよ。
ガラス工房Izumo
【吹きガラス】Izumo ロックグラス (大)
ガラス工房Izumo
川辺さんご夫婦が、作家活動の拠点、ガラス作品の展示・販売をおこなっているガラス工房。
ガラスとの「縁」そして、ガラスを通じた人と人との「縁」を結ぶ場でありたいと運営をおこなっている。
ガラスの更なる魅力を知ってもらえるよう、吹きガラス体験や吹きガラス教室を開催中。
ガラス工房 Izumoはご夫婦でされていますよね。それぞれどのような作品を作っていらっしゃいますか?
妻は、気泡が入ったキラキラしたデザインの作品が多いですね。
お客様が使うシーンを想像して作っているので、普段づかいしやすい作品が多いです。
私は、独創的で動きがある作品が多いですね。
それぞれの違いが、ガラス工房Izumoの魅力を引き出しているように感じます!
工房を営むきっかけはありましたか?
きっかけは、やはり妻ですね。私自身「いつかは工房を……」と憧れてはいたのですが、最初は活動に没頭できるように教育機関で働くのが理想かな、と思っていたので。
妻は工房に対して明確なビジョンがあって、やる気に満ち溢れていました。
もともと川辺さんは作品作りに没頭したかったのですね!実際に工房を開いてみて、いかがでしたか?
結果として、工房を開いてよかったです。
工房での体験が、自分の作品に興味を持つきっかけになってくれたらと思っています。
吹きガラス体験で非日常を楽しんでもらってみなさんの喜ぶ顔が見られると、パワーをもらいますしね。
工房を通じて、ガラスの魅力をみなさんに発信しているのですね!
工房で作品を作っていくにあたって、川辺さんは何を大切にしていますか?
前提として『ひとつひとつに思いを乗せて、商品ではなく作品として届けられるようなものを作る』を大切にしています。
思いを込めた作品を届ける、ですね。
価値観やマインドセット、こだわりは作り手によってもちろん違うと思います。
妻は使い手を想像するのを大切にしていますね。
私は用途があるアイテムでも、作品という形で届けられるようにしたいと思っているので、作品としてのバランスを大切にしています。
川辺さんは『作品として思いを込める』奥様は『使い手を想像する』ことで、気持ちを込めた作品作りをされているのですね!
今後、ガラス工房Izumoをどのような存在にしていきたいですか?
スタッフを採用して、大きくしていきたいですね。
教室を開いて地域の人が集まり、工房が人との縁を繋ぐ場所になることを願っています。
ガラス工房Izumoが大切にしている『縁』ですね。
人同士の繋がりが広がっていき、いつかは生徒さんの展覧会などをしていけるのも楽しそうだと思っています。
できることを限定せず、表現であっても、用途であっても、一方通行で自己中心的にならずに作っていくことを大切に活動していきたいですね。
今回は、吹きガラスのプロである川辺さんに話を聞かせていただきました。
多種多様なガラスを自在に操り、アーティステッックな世界を展開している川辺さん。
今後のご活躍を楽しみにしております!
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