漆は英語で「Japan」? 漆が日本を代表する伝統工芸品になったわけ

BECOS代表
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漆は英語で「Japan」と呼ばれていると聞いたことはありませんか?それは、本当なのか?由来やその歴史に、漆などの伝統工芸品を500商品以上紹介しているBECOSjournalが迫りたいと思います。

かつて、日本の食卓では見かけることが多かった、朱や黒に光る漆の汁椀や箸。

現代では暮らしのスタイルも多様化しました。けれどやはり、割烹料理、会席料理などの和食を食べる機会やお祝いのお膳には、漆塗りの器が欠かせません。

漆は庶民の生活に根ざした日本の伝統工芸品として、新しいスタイルを柔軟に受け入れながら、時代を超えて愛されてきました。

漆が英語で何と呼ばれているか、その背景には永い歴史があるのです。

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漆が英語で「Japan」と呼ばれている理由

現在、漆のことを英語では主に「Japanese lacquer」と言いますが、古い呼び方や用法として「Japan」と呼ぶこともあります。

漆を欧米でそう呼ぶということには、どんな背景があるのでしょう。

例えば、陶器のことをボーン・チャイナなど「China」という言葉を含めて呼ぶことは、14世紀に明の陶磁器が多くヨーロッパに輸出されて渡った際に、代名詞や愛称としてそう呼ばれていたことがその由来です。

同じように15世紀の南蛮貿易でポルトガルやオランダに輸出された日本の漆器が、ヨーロッパで愛され「Japan」と称されていたという説もあります。

フランスのベルサイユ宮殿には、17世紀に東インド会社によって輸出された日本の根付けや蒔絵細工などの漆器が、宝物として今も収蔵されています。

そして明治初期、漆器は絹製品などに並ぶ日本の殖産工業品として大量にヨーロッパへ輸出されました。1900年に開催されたパリ万国博覧会には日本も参加しています。

その際に展示された、江戸時代の成果物とも言える美術品や工芸品は評判となります。

19世紀から20世紀にかけて、ルノワールゴッホなど欧米を中心に世界に広がっていった印象派の芸術が、どのように発生したのかといえば、ジャパニズムと呼ばれ歓迎された浮世絵や蒔絵や漆器などのすぐれたデザイン性に、ヨーロッパの芸術家達が刺激されたことも大きな要因であることが明らかになっています。

漆を「Japan」と呼ぶのは、そんな時代の名残とも言えるでしょう。

日本の漆の歴史

鎌倉時代初期に成立した日本で最古の辞書「以呂波字類抄(いろはじるいしょう)」には、漆の起源についての記述があります。

ヤマトタケルが宇陀(読み:うだ、現在の奈良県)の阿貴山(あきやま)で猟をした際、大猪にとどめをさすのに漆の木の汁を矢先に塗りました。

そのとき汁で手や持ち物が黒く染まったので、この地を漆河原と名付け、漆の木が自生する曽爾郷(ぬるべのさと)に漆部造を置いたという内容です。

一方、日本での漆の歴史は、実は縄文時代にさかのぼります。土器を接着するために使われた他、木製品に塗料として使われたものなどが各地の遺跡から出土しています。

近年の研究では、2011年に福井県の鳥浜貝塚で出土した漆の木片が、約1万2600年前に作られたものであったことが明らかになりました。

漆は水を通さず腐食しにくいので、出土品となる確率が高いものの一つなのです。

奈良時代には太刀の外装を漆で塗装したものが作られ、正倉院宝物として残っています。

さらに、皮革や鉄器などにも漆は加工されるようになり、平安時代には上質な漆器が貴族の日常食器や容器として使われるようになります。

以降は、各地の産業として漆は重要な地位を占めていきます。江戸時代、会津藩や加賀藩、津軽藩など、農作物が育ちにくい北国では、産業育成のために力を入れて開発されます。

諸国から多くの技術者や職人が集まり、今に残る工芸品として極められていったのです。

漆を使ったものはどんなものがあるの?

漆は、日本を含む東南アジアに生育するウルシ科の木から樹液を採取し、精製する過程で化学反応を起こしたもので、生成から塗布するまでには高度な技術が必要です。

しかし、漆は乾燥して固まるとたいへん強靱で、熱にも湿気にも強く、また酸性やアルカリ性にも耐性が在ります。

また、漆を塗ると、素地を守って腐敗や虫を防ぐという効果もあるため、優れた接着剤や塗料として様々な素地と共に使いこなされてきました。

7~8世紀には、工業面では、乾漆造(かんしつぞう)と言う素地が木でできた仏像を漆で加工する技法が盛んでしたが、工芸面では、漆器の表面に漆で絵や模様を描いて乾かないうちに金粉などで装飾する蒔絵(まきえ)や、貝を磨いた小片を接着させる螺鈿(らでん)という技法などが確立します。

螺鈿のおしゃれなアイテムを知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。

>螺鈿細工のおしゃれなアイテム5選

現在に至るまで、漆の一番多い用途は食器や家具で、中でも塗り箸や汁椀、重箱などによく使われます。

また、接着剤としては、欠けた陶磁器や土器を修理してかけらを装飾しながら接着する、欠け継ぎの主素材として現在でも多用されています。

漆を使ったおすすめの商品

漆を使ったおすすめ商品のなかから、大切な方へのプレゼントにこんなものはいかがでしょう。

「漆ボウタイ」

男性のおしゃれな襟元にはボウタイ(蝶ネクタイ)が定番です。

しかし、こちらはなんとも珍しい漆塗りのボウタイです。加賀藩によって興された高岡漆器による製作で、軽い木の素地に丁寧に塗りを重ねた品のある艶と、漆塗り独特の朱赤と黒の発色が魅力的です。

ストラップは京都西陣織で、独特の光沢感と織りの表情が特徴で、全体に高級感があふれる一品です。

男性が盛装する際にボウタイを好む、ヨーロッパなどへのお土産に喜ばれるでしょう。

「おぼろ月」

木地を活かした漆塗りに本金箔で描いたおぼろ月が浮かぶ「おぼろ月」シリーズのプレートです。

現代のライフスタイルにも似合う、モダンで華やかな食卓を演出します。

和食にもイタリアンにも使えるシンプルなデザインながら、何度も漆をすり込んでは拭き取る作業を繰り返してつくりあげた、透明感がある上質な黒色に仕上がっています。

漆の特性上、食器洗い乾燥器や電子レンジのご使用は避けてください。

「Vison-Visu_small」

パリのデザイナーのクリエイティブと、京都で唯一残った螺鈿を扱う京漆器の専門店。その見事なコラボレーションによる贅沢なスタンドミラーです。

漆塗りの木製パネルは、片側に漆黒の漆塗りに螺鈿細工、もう片方には鏡が施されています。

鏡を利用したシンメトリーなデザインは、白蝶貝を使った螺鈿特有の魅力だけでなくその製品が置かれる空間をも特別に演出します。

まとめ

漆の品の多くは、どれも必ず手で触れるものです。

手にしたときに感じる漆特有の、安心と贅沢が共存する独特の感触は、プレゼントする人の気持ちを映して、きっと心の通う贈り物になるでしょう。

永い歴史を重ね、手がける人々の細やかな情熱によって作り継がれてきた漆の品は、どんな年代の方であってもよい思い出となるのにふさわしい贈り物です。