
包丁の種類を用途と素材から徹底解説!普段何気なく使用している包丁ですが、実は種類が多く存在しておりその用途も様々です。
また、素材にも違いがあるので、自分が調理する上で最適なものを選択することが重要です。
では、包丁の種類や素材にはどのような種類があるのでしょうか?
この記事では、包丁の種類を用途と素材から徹底解説します。
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目次
自分に合った包丁を見つける
包丁を選ぶ際には、自分にマッチする包丁を見つけ出すことが重要です。
例えば、ベジタリアンで普段は野菜のみしか食べない方の場合、魚や肉をカットすることに長けている包丁を選んでも意味がなく、野菜をカットできる包丁を選ぶことが重要です。
逆も然りで、硬い骨がある魚をさばくのに、薄い刃先の包丁を使用すると刃こぼれする可能性があります。
よって、包丁を選ぶ際にはまずはどのような食材を調理するのかを明確にすることが重要です。
また、性別や体型などにマッチした包丁を選ぶことも重要になります。
包丁の中でも、コンパクトで扱いやすいものや刃渡りが長く一回引くだけの動作でカットできる包丁もあります。
腕が短い方が長い包丁を使うのはけっこう大変であり、宝の持ち腐れとなる可能性があるのです。
重量も考慮すべきポイントであり、特に女性の場合は重い包丁を持ち上げること自体は可能ですが、長時間使うと疲労感を覚えがちです。
よって、適度な重さがありつつも、軽量な包丁であるという観点で包丁選びをするのもおすすめです。
刃物部分に目が行きがちですが、柄の部分も包丁の使いやすさに大きく左右される要素です。
握りやすさが重要となりますし、長期間使っても劣化しにくく適度な経時変化を楽しめる素材のものがおすすめとなります。
包丁にはどんな種類があるの?
包丁にはいつくもの種類がありますが、それぞれに特徴があるものです。
主な包丁の種類と特徴は、以下のようになっています。
三徳包丁
包丁の中でも、スタンダードでどのご家庭にもあるものとして有名なのが、三徳包丁です。
万能な三徳包丁は、洋食が食べ始められた時代から使われている歴史があります。
日本の食生活は、野菜や魚が中心でしたが、野菜を切るためには菜切包丁、魚を捌くためには出刃包丁、肉を切るのには牛刀が適しています。
ただ、全ての包丁を使い分けるのはとても大変であり、そこで生まれたのがどんな素材でもカットできる三徳包丁です。
魚や肉をうまくさばけるように、切っ先は尖っていて刃先は反っている形状となっています。
野菜を切るために刃先の反りはとても緩やかに作られているので、イメージとしては牛刀と菜切包丁のいいところを兼ね備えている形です。
これによって、魚や肉、野菜を楽に調理が可能です。
打刃物として製造されているものや、プレス抜きで作られたものが存在していますが、安価なものの多くはプレス抜きとなります。
現在では、日本だけでなく海外でも利用されていて、海外製の三徳包丁も生まれています。
この包丁のように、メタル柄尻も個性的でキッチンを華やかに彩る包丁も存在しています。
また、硬度が高くて抜群の長切れ性能を誇る粉末ダイス鋼を使用することで、様々な素材の食材をカットできるのも魅力的です。
牛刀包丁(シェフナイフ)
三徳包丁は和包丁の代表的な存在ですが、洋包丁において代表的な万能包丁となるのが牛刀です。
かつては肉のカットを主な目的として使用されていた包丁となりますが、最近では三徳包丁と同様に肉だけでなく魚、野菜もカットすることができます。
三徳包丁よりも刃渡りが長く、刃先が鋭いために肉の筋切りや大きな白菜やキャベツもスパッとカットすることが可能です。
また、牛刀は引き切りが得意となるために、用途に合わせて使い分けるとより快適に
使用できます。
刃渡りが細長いのが特徴となっており、刃先が鋭い形状に苦手意識を持つ方にも愛用されています。
この包丁は、様々な食材をカットすることによって発生しがちな錆を防止するために、他の刃物鋼に比べてクロムの含有率が高めており、不錆性能において特に優れている包丁も多いです。
硬い素材をカットするために、柿渋仕上で確実にグリップできる素材を用いているのも特徴です。
ペティナイフ
ペティナイフは、洋包丁の中でも小ぶりで小回りのきく包丁のことを指します。
果物の皮むきやカットに使われる包丁というイメージが定着していますが、果物に限定せず使うことが可能です。
牛刀を小さくしたサイズ感となっていて、刃先が牛刀のように鋭く尖っている形状が特徴です。
家庭では三徳包丁や牛刀を用いて調理されている方が多いですが、ペティナイフで十分なシーンも多いです。
果物だけでなく、小さい野菜を切るときにも使用できますし、魚の三枚おろしなどでも活躍します。
ただ、キャベツなどの大きな野菜を切る場合などには不向きとなります。
小さい包丁だけに、逆に握りにくいという場合もあるので、実際に手にとって選ぶのがオススメです。
この包丁のように刃渡りと柄の部分がほぼ同じ長さのものが、扱いやすく様々な調理に使うことが可能です。
パン切り包丁
ぱんき
パン切り包丁には、波刃と平刃の2種類に分類できます。
ブレッドナイフのギザギザの刃は波刃と呼ばれていて、波刃の突起した部分がパンの表面に引っかかって包丁がパンにスムーズに入ります。
逆に、波刃ではない刃は平刃と呼び、三徳包丁や牛刀などの包丁のほとんどは平刃となります。
平刃には、もちろんギザギザは存在していません。
パンをカットする際には、波刃の場合は少ない回数でカットできてデコボコな切り口で食感がアップしますが、パン粉が多く発生します。
逆に、平刃の場合はパン粉が出にくい特徴がありますが、少ない回数でカットできずにきれいな切り口となるので食感が若干劣ります。
それぞれ、お好みの食感などに合わせて選ぶと良いでしょう。
こちらは典型的な波刃の包丁ですが、生地の引っ掛りをなくしてパンくずがこぼれにくく、きれいにカットすることが可能な包丁です。
菜切包丁
菜切包丁は、昔からある包丁の種類であり、刃が薄くて幅広く、刃の先端が平らな形状となっていて、さらに独特な四角形をしているのが印象的で、主に野菜を刻むのに用いる和包丁となります。
特に、野菜のブツ切り刻み物、千切りなど野菜を扱うのに最も適した包丁なのです。
キャベツの千切りやレタスをカットする際、カサのある葉野菜を切るときにとても切りやすくなっており、大根の桂むきについても三徳包丁より行いやすいです。
野菜を切るのに向いているのですが、肉や魚を切るのには向いていません。
また、細かな作業もあまり向いた包丁とは言い難いです。
昭和40年代頃までは、東型という角がない菜切包丁が関東方面で使用されていましたが、現在はあまり製作されていません。
この包丁のように、スタンダードな四角いデザインで、薄い刃先によって扱いやすいものがオススメです。
出刃包丁
出刃包丁は、和包丁の中でもずっしりとした重さが特徴である、刃に厚みがあって頑丈にできている包丁です。
用途は、一般的に魚をおろしたり、魚や鳥の骨などの固い部分を切るときなどに用いられます。
出刃包丁は、江戸時代に仕事が減って困った刀鍛冶や鉄砲鍛冶が転業して、大阪府の堺市で作られ始めたと言われています。
出刃包丁という名前は、出刃包丁を発明して鍛造した有名な職人さんは出っ歯だったからというユニークな由来となっています。
スタンダードな包丁と比較すると、分が厚く鋭いために刃が出ていることで出刃包丁という名前になったという説も存在しています。
硬い骨をカットすることを目的として、みねの部分が厚くて体重を載せてカットすることが可能です。
錆が出やすい素材が用いられがちな出刃包丁ですが、この包丁のようにモリブデン鋼の本焼で砥ぎ上げることによって、錆びにくい包丁も多くです。
柳刃包丁
柳刃包丁は、刺身用の包丁であり、切り身などを薄く切るときなどに使用します。
万能な三徳包丁や、魚をさばく際に使う出刃包丁と比較すると、刃渡りが長いデザインが特徴となります。
刺身は切り口が味に大きく影響することで知られていますが、切り方に細心の注意が必要です。
美味しくカットするためには、前後にギコギコ動かすのは厳禁で、一方通行で刃を動かして一気に切る必要があります。
そこで、長い刃の柳刃包丁が必要となるわけです。
刺し身を引くことが最も一般的な用途であり、タコやイカなどぬめりのある魚介類を切ることに向いた包丁でもあります。
プロの料理人や料理上級者では、肉類のカットに柳刃包丁を利用する方も存在します。
刺身を柳刃包丁で上手にカットすることで、断面が滑らかで舌触りがよくなります。
刺身好きでマグロなどをサクで購入する機会が多い方は、1本用意しておくことをおすすめします。
この包丁のように、とにかく刃渡りが長いのが特徴です。
ヒラ部を鏡面仕上げており、さらに衛生的になって台所も明るく演出することもできます。
骨スキ包丁
骨スキ包丁は、ボーニングナイフとも呼ばれており、元々はスペアリブなどの肉を骨からはずすために考案された包丁です。
特徴は、肉厚な刀身であり頑丈なあごと呼ばれる刀身の柄側の角張った部分があるという点があります。
また、骨に当たってもこぼれないように厚みを持たせた刃先が印象的です。
肉のために特化させた作りとなっているのですが、プロの調理人だけでなく工夫次第で広く使えるので料理好きの方やアウトドア愛好家の間でも人気です。
肉はもちろんのこと、魚を3枚におろすにも活躍しますし、かぼちゃやカニ、エビ等の硬い素材をカットするのにも向いています。
この包丁のように、独特な刃先となっていて身を切り離す際に重宝します。
力を入れずに楽に切れるというのも骨スキ包丁の特徴の一つです。
中華包丁
世界三大料理の1つとして有名な中華料理ですが、長い歴史のある中華料理を支えているのが中華包丁です。
大きな刃が特徴的な包丁ですが、切って叩く、千切り、細工切りまでこなせるのが魅力的です。
なぜここまで大きな包丁であるのかと言えば、肉や魚、野菜と豊富な食材をこれ1本でどんな用途にも対応できることが求められているためです。
美しい細工ができたり、魚の骨も簡単にカットする事が可能で、刃を裏返して肉の骨をも粉々にできる力強さもあります。
中華包丁には大きく分けて3つの種類があり、薄刃、中厚刃、厚刃と刃の厚さが異なります。
薄刃は、家庭用として肉や野菜、魚をカットするのに最適な包丁です。
中厚刃は、鳥やちょっとした魚の骨であればカットできる万能型の包丁です。
厚口刃は、硬い肉や魚の骨を砕ける威力がある反面、重く扱いが難しいのでプロが主に用いる包丁となります。
この中華包丁は薄刃であり、見た目以上に軽量なので家庭用としても重宝できる包丁です。
子ども用包丁
子ども用包丁は、切れない包丁と切れる包丁に分類されます。
切れない包丁の中にも、刃の部分がギザギザしているもの、まったく刃がないものの2つがあります。
どちらのタイプも、子供が刃部分を触っても手が切れないようになっており安全です。
切れない包丁と定義付けられていますが、おもちゃの包丁と違って包丁を前後に動かせば実際にカットすることが可能です。
切れる包丁は、大人用の包丁と違って先端が丸くなっていて、大人用より安全に設計されています。
他にも、刃先と刃元の両端の刃が数ミリほどない設計となっているものも多いです。
切れ味は通常の包丁と比較すると劣りますが、切れない包丁と比較すると切れ味は抜群です。
野菜だけでなく、肉類や魚類も切ることができるので包丁使いに慣れてきた子供でも使用できます。
子ども用包丁は、持ち手にキャラクターや動物が付いている可愛いものが多いのも特徴です。
この包丁のように、かわいいデザインだけでなくプロテクトフィンガーが付いていて安全性が高い包丁もあります。
包丁の素材による違いって?
包丁は、形状だけでなく素材による違いも重要な要素となります。
主な素材と特徴は、以下のようになっています。
丈夫で使いやすい!ステンレス
ステンレスは、非常に硬くて錆びにくい特徴を持っており、あらゆる用途で使用されている便利な金属となります。
ステンレスは炭素の含有量が少ない合金となるために、鋼のように焼き入れをして硬度を上げることが不可能です。
これによって、ステンレス包丁の多くは圧延と呼ばれるプレス機で圧力をかけて伸ばす製法で製造されています。
製法からステンレスは鋼に劣っていると思われていますが、技術の進歩によってステンレスに少量の炭素を加えた包丁向きの金属が開発されており、鋼と肩を並べるステンレスも誕生しています。
ステンレスは、研ぎやすい包丁が多く弾性もあるので、刃が欠けにくいのが特徴です。
また、鋼包丁より金属臭が食材に付きにくいという点も魅力的ですが、切れ味が長持ちしにくく、弾性があるために曲がりやすいという難点もあります。
お手入れラクラク!セラミック
セラミックは、金属ではなく陶器に分類される素材です。
金属製の包丁と比較すると軽量さがあり、長時間使用しても腕に負担がかかることがなく疲れにくいというメリットがあります。
また、切れ味のよさからトマトやタマネギなども形を崩さずにきれいにカットすることが可能です。
金属製の包丁のように金属臭が食材につきにくく、刺身や肉のスライスにも向いています。
セラミック自体が酸やアルカリにも強いために、レモンやオレンジなどのフルーツを切っても錆びることはありません。
磨耗しにくい素材でもありますが、落とすと刃が折れたり欠けたりすることがあるなど脆い一面があります。
さびない金属!チタン
チタン包丁は、光触媒の効果によって金属臭がなく、食材に臭いがつくことがない包丁です。
また、面倒な熱湯での消毒なども不要で、いつも清潔に使用できますし、包丁のお手入れも簡単です。
さらに、ステンレス包丁の約半分の重量なので、扱いやすさも抜群です。
但し、切れ味に劣り硬い食材を切ると刃こぼれや切れ味低下してしまうこと、軽すぎて逆に扱いにくいというデメリットもあります。
切れ味が継続する!鋼
包丁の素材として、最もスタンダードなのが鋼です。
主に鉄に炭素を添加した合金であり、主に和包丁に使われることが多いです。
切れ味は鋭くて肉などもスパッとカットすることができます。
ただ、硬いため欠けやすくサビやすいという欠点があります。
特に、刺し身などをカットすると金属臭が付着して風味が落ちるのも難点です。
美しい輝き!ダマスカス鋼
ダマスカスは、シリアのダマスカス市に端を発している金属です。
かつて、インドのウーツで生産された鋼材が、シリアのダマスカスで刀剣として加工されてダマスカス鋼として呼ばれるようになったのです。
日本におけるダマスカス包丁は、刀芯にモリブデン鋼を使用して芯にダマスカス鋼を何十層にも重ね合わせて作られた包丁のことを指します。
何十層ものダマスカス鋼を重ね鍛造することで、ダマスカス刀のような独特の縞模様が生まれます。
また、耐久性に優れて錆びにくく、鋭い切れ味があります。
包丁の素材として申し分ないのですが、唯一のデメリットとして価格が高い点があります。
いいとこ取りの素材!複合材
複合材とは、異種の金属を接合して作る包丁です。
例えば、以下のような組み合わせで生成されることが多いです。
- ステンレス+鋼+ステンレス
- ステンレス+ステンレス鋼+ステンレス
- 軟鉄+鋼
- ステンレス+ステンレス鋼
それぞれの素材のよい点を掛け合わせることで、より理想的な包丁に仕上がっているのが特徴です。
また、鋼の切れ味とステンレスの手入れのしやすさや折れにくさを両立しています。
両面を軟らかいステンレスで挟んでいるので、研ぎやすいというメリットもあります。
ただ、あまり普及していない製法であり、種類が少ないのが難点です。
まとめ
包丁の種類は、用途や素材で全く異なることがご理解いただけたかと思います。
まずは、自分自身でどのような調理を行うかを明確にして、用途と素材に注目して包丁を選ぶことをおすすめします。