日本三大刃物産地とは?産地ごとの包丁の特徴を紹介

本記事の制作体制

熊田 貴行

BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。

Journal編集長
Journal編集長

日本食は今では世界に認められ、海外でも日本食を取り扱うお店が増えています。日本食に欠かせない魚をきれいにさばくためには包丁も重要。日本食を支えるように、古くから日本では各地で魅力的な包丁が製造されてきました。

とくに、日本三大刃物産地として「大阪府堺市」「新潟県三条市」「岐阜県関市」が有名です。では、それぞれの産地で製造される包丁には一体どのような特徴があるのでしょうか?

ここでは、日本三大刃物産地である大阪府堺市、新潟県三条市、岐阜県関市の特徴について詳しく解説します。

目次

日本産大刃物産地その1
大阪府堺市

日本産大刃物産地①「大阪府堺市」
歴史

大阪府堺市の包丁は600年の歴史があるとされていますが、その起源は5世紀の古墳造営の時期に遡ります。堺市周辺には日本最大の前方後円墳の仁徳天皇陵など数多くの古墳がありますが、当時古墳を作るための道具の製造のために鍛鉄技術が伝わったとされています。

その技術は平安時代末期から刀製造として引き継がれ、室町時代には南蛮貿易を通じて堺から国内に輸入された煙草を刻むための煙草包丁が天正年間ごろから盛んに製造されました。

1543年にポルトガル人によって南蛮渡来品が国内に伝わりますが、大阪府堺市はその後国内でも生産される鉄砲の産地として名を馳せます。

有名な織田信長をはじめとする権力者にも注目されるほどの技術力があり、江戸時代には徳川幕府が品質の高さを評価して、他の産地と区別するために極印として「堺極(さかいきわめ)」を附して専売しました。

徳川幕府のお墨付きを得たことによって、大阪府堺市で製造される「堺打刃物(さかいうちはもの)」は全国に普及していったと言われています。

日本産大刃物産地①「大阪府堺市」
特徴

刃物には職人の手仕事で作られる「打刃物」と機械生産のものがありますが、堺が得意とするのは打刃物です。大阪府堺市で製造される「堺打刃物」は全国的にも高いシェアを誇り、本職用の包丁では90%近い国内シェアを占めています。

そんな堺打刃物ではつぎのような特徴を持つ包丁を製造しています。

大阪府堺市「堺打刃物」の包丁の特徴1
片刃が主流

堺市でも指折りの鍛冶職人・刃付職人が作る柳刃包丁
【堺打刃物】一刀斎虎徹 黒打 極上本霞 安来鋼白二鋼 柳刃包丁(片刃) 朴水牛八角柄 300mm

大阪府堺市は和包丁で有名な産地。包丁の種類として片刃と両刃がありますが、堺打刃物で多く製造される和包丁は江戸時代中期に堺で開発された片刃が主流です。

片刃の包丁は切れ味が良く、魚などの柔らかい食材の断面も美しく仕上げてくれます。また、切った食材が包丁から離れやすいことも魅力。柳刃包丁や薄刃包丁、出刃包丁など種類があり、用途ごとに用意された包丁を使い分けることでより本格的な調理が可能です。

大阪府堺市「堺打刃物」の包丁の特徴2
鋼を使用している

堺打刃物では、素材として銅を使用しています。鋼は固いため切味が良く、長続きする特徴があります。また、研ぎやすいのも魅力的です。

ただし錆びやすいというデメリットがあるため、近年は異素材を混ぜて製造することもあります。

堺打刃物の場合、鋼のみを材料とする本焼包丁もあり、プロの調理人を中心に活用されています。本焼の場合、包丁に模様を浮かばせる技法が取り入れているものもあり、単調になりがちな包丁に良いアクセントを与えているのも魅力的です。

鋼の包丁は使用後に水気を拭き取らないと錆びてしまうなどメンテナンスに人一倍苦労しますが、それを差し引いても使い続けたいと思わせる魅力を持ち合わせています。

堺打刃物の包丁のおすすめ
【三徳包丁】V10 ダマスカス 紫檀八角縞黒檀口輪 180

いいとこどりの本格包丁。本職用の鋼、V金10号の刃を使用して、家庭用の和三徳包丁に仕上げました。

柄は高級木材の紫檀で、1つ1つ違う天然の木目をお楽しみいただけます。良質で見た目も美しい包丁。料理好きな方の新築祝いや誕生日プレゼントにいかがでしょうか。

堺打刃物の包丁のおすすめ
【三徳包丁】V10 ダマスカス 紫檀八角縞黒檀口輪 180

槌目が美しく、コスパが抜群な1丁。柄は堅くて変形しにくい樫の木で、鮮やかな木目をお楽しみいただけます。

三徳包丁は、肉、魚、野菜など何にでも使える万能包丁なので、ホンモノを1本持っておきたい方におすすめの商品です。切れ味が鋭く、長続きする包丁は、料理好きな方への贈り物にも最適です。

日本産大刃物産地その2
新潟県三条市

日本産大刃物産地②「新潟県三条市」
歴史

画像出典元:三条鍛冶道場

新潟県三条市では、おもに農業に必要な道具として中世のころから鎌や鍬(すき)などの製造が行われていました。

閑散期の農家の副業としてはじめられた和釘作りを経て、その後包丁など多くの種類の打刃物が製造されるように。次第に鍛冶職人の集まる地になっていきました。

新潟県三条市で製造される打刃物は「越後三条打刃物(えちごさんじょううちはもの)」と呼ばれ、現在では国の伝統的工芸品に指定されるひとつ。打刃物の製造に必要な道具「ヤットコ(鉄ハシ)」なども鍛冶職人が自分たちで製造でき、製品からそれを作るための道具や用具まで一貫して作る技術が今でも引き継がれています。

日本産大刃物産地②「新潟県三条市」
特徴

新潟県三条市で製造される越後三条打刃物は、戦後発展したプレスや研磨加工の工程を経て製造される抜刃物とは異なり、日本古来の技法を使いて金属を叩いて製造する刃物。農工具を作る技術を応用して包丁が作られています。

新潟県三条市「越後三条打刃物』の包丁の特徴1
高度な鍛造技術を駆使している

越後三条打刃物最大の特徴は、高度な鍛造技術を駆使している点にあります。

高温に熱した金属を叩いて形状を整え、冷やして固める作業によって作られていて、これによって成形するだけでなく金属内部の隙間をつぶして強度を高め、摩耗に強い包丁に仕上げてあります。一見シンプルな工程ですが技の習得には長い年月を要し熟練の技が必要です。

くり返し鋼と炎に向き合ってミクロ単位の歪みを叩いて調整する必要があるため、職人の腕ひとつで出来栄えが大きく変わるのも特徴。職人のくせなども色濃く感じられ、それぞれに個性があるのも魅力です。

新潟県三条市「越後三条打刃物」の包丁の特徴2
部位によって形状や材質を変化させている

越後三条打刃物では、ひとつの包丁を作るのにさまざまな工夫が施されています。使用分野ごとに特化した形状や材質を用いて製造しているのもそうした工夫のひとつ。これにより、扱いやすく、切れ味にもすぐれ、長く使える耐久性の高い高品質な包丁に仕上がっています。

越前打刃物の包丁のおすすめ
【三徳包丁】本鍛造 ダマスカス 三徳包丁 浮雲 170mm

鍛造製に優れ、錆びにくいV金10号鋼の能力を正確な温度管理により、見た目だけでなく切れ味にも優れたステンレス包丁です。

お手入れが簡単で、使う人を選ばないので、贈り物や各種お祝い、記念品などにとても喜ばれる1本です。

越前打刃物の包丁のおすすめ
【三徳包丁】本鍛造 黒打 三徳包丁 (青紙スーパー鋼) 170mm

鋼に通常使っている青紙鋼より、さらにレベルの高い青紙スーパー鋼を使用した、切れ味に優れた三徳包丁。

柄部には 丈夫で耐久性にも優れた紫檀材を使用。滑りにくく手にも馴染みやすい八角柄に仕上げてあるので、安心してお使いいただけます。

日本産大刃物産地その3
岐阜県関市

日本産大刃物産地③「岐阜県関市」
歴史

刃物の町として知られる岐阜県関市。関市の刃物の歴史のはじまりは鎌倉時代のこと。関鍛冶の刀祖とされる元重が関の地に移り住み、刀鍛冶をはじめたのがルーツとされています。

良質な焼刃土と炉に使用する松炭、長良川と津保川の良質な水があるという刀鍛冶にとって理想的な風土条件が整っていたことから、多くの刀匠がこの地に移り住みました。

室町時代には刀匠が300人を超え、多くの刀が製造されるように。そして、「折れず、曲がらず、よく切れる」と評価されていた関の刀はその名を全国に広めていきました。

その刀作りの伝統と技を活かし、関市では魅力ある包丁が今も多く製造されています。

日本産大刃物産地③「岐阜県関市」
特徴

岐阜県関市は日本三大刃物産地であると同時に、「世界三大刃物産地」としてドイツのゾーリンゲン、イギリスのシェリンガムと肩を並べる存在で、世界的にも注目されています。

岐阜県関市の刃物には以下のような特徴があります。

岐阜県関市の包丁の特徴1
とにかく切れやすく芯が強い

硬くよく切れる粉末ハイス鋼を使用!抜群の切れ味が魅力
【関の刃物】一刀斎虎徹 粉末ハイス鋼スーパーゴールド(SG2) ペティ(両刃) 樫八角柄 150mm

関市の包丁の特徴として、切れ味がよく刃こぼれがしにくいこと、そして芯が強い点があげられます。総合的にレベルの高い包丁に仕上がっているのは、刀鍛冶の長い伝統の中で磨かれてきた匠の秘伝の技とノウハウが注入されているためです。

強い鋼を作り出すために合金が用いられますが、関で生産される包丁については錆びることがなく純粋な鉄を材料にした鋼で作られています。錆び止めの金属として表面にステンレスを巻くケースもありますが、芯は鋼です。錆びない鋼は不純物が含まれていないからこそ実現できますが、このノウハウは刀の製造によって養われています。

現在主流の特殊鋼と呼ばれる鋼の純度は95%以上が一般的ですが、材料の質の良さでは他の追従を許していません。

岐阜県関市の包丁の特徴2
細分化された分業体制で製造される

細分化された分業体制で製造される点も関刃物の特徴です。プレス、自動研磨、水砥、柄付といった10以上の工程をそれぞれの職人が専門業ならではの高い技術で仕上げ、一本の高品質の包丁が作り上げられます。

関の刃物の包丁のおすすめ
【三徳包丁】粉末ハイス鋼スーパーゴールド(SG2) (両刃) 樫八角柄 180mm

岐阜県関市の包丁で、粉末ハイス鋼は硬くよく切れるのが特徴です。極限まで刃の余計な部分をそぎ落としているので、切る際に抵抗が少なく、切れ味も抜群です。

柄は少し硬めの樫を使用しており、変形しにくくなっています。用途は、主に野菜や果物の皮むきや飾り切りに用いられ、パティシエの方や家庭用でも重宝する一本です。木材は天然物のため、1点1点木目や模様が異なりますので、木材の持つ個性をお楽しみください。

関の刃物の包丁のおすすめ
【ペティナイフ】粉末ハイス鋼スーパーゴールド(SG2) (両刃) 樫八角柄 150mm

岐阜県関市の包丁で、粉末ハイス鋼は硬くよく切れるペティナイフです。野菜や果物の皮むきや飾り切りといった繊細な仕事に向いています。

和食から洋食、スイーツ作りでも活躍するペティナイフ、料理好きな方へのプレゼントにいかがでしょうか。

日本三大刃物産地のほかに有名な包丁産地は?
そのほかの包丁の名産地

日本には、三大刃物産地と言われる大阪府堺市、新潟県三条市、岐阜県関市のほかにも有名な包丁の産地があります。

日本のそのほかの包丁名産地1
福井県越前市

雲のように浮かび上がる積層模様が印象的!
越前打刃物の伝統を継承する「龍泉刃物」の包丁

福井県越前市は、南北朝時代に京都の刀匠「千代鶴国安(ちよづるくにやす)」が刀作りに適した地を求めて移り住み、刀を作るかたわら農民たちのために鎌を作ったことがルーツとされる歴史ある刃物の産地です。その後うるしかき職人が仕事で全国に出かける際に刃物を各地で販売し、国に販路を拡大させました。

越前市の「越前打刃物(えちぜんうちはもの)」は「二枚広げ」「廻し鋼着け」など独特な製法が有名。この技法によって作られる質の高い刃物は高い評価を得ています。

越前打刃物は、昭和54年に業界ではじめて国の伝統的工芸品の指定を受けました。

日本のそのほかの包丁名産地2
高知県香美市土佐山田町

高知県香美市土佐山田町は、400年に及ぶ歴史をもつ「土佐打刃物(とさうちはもの)」の発祥の地。高知は暖かく雨が多い気候のため、良木に恵まれ全国有数の木材の産出地としても知られています。その木材の伐採に刃物が必要になることから、古くから打刃物が製造され使用されてきました。

土佐打刃物は自由鍛造が特徴です。自由鍛造とは、用途や場所、背丈などに応じて寸法や柄の角度を自由なかたちで作る製法のこと。そのため豊富な種類が製造されています。

また、山林用の実用的な道具作りをルーツにしているため、切れ味だけでなくお手入れのしやすさや丈夫さなども重視されていて使い勝手が良いのも特徴です

PICK UP
【堺刃物】義弘作-Mo.V墨流し-三徳包丁165mm-ウォールナット柄-
一生使えるおしゃれな万能包丁

従来の製品より墨流し(ダマスカス)模様を流麗に仕上げ、主鋼にはMo.V鋼(AUS10)を割り込んだ三徳包丁です。

肉・魚・野菜といった幅広い食材に使えて、様々な切り方に対応できるので、料理の幅が広がります。柄は水濡れにも強く、高級感のあるウォールナットで仕上げました。

こだわりの包丁で、ぜひ食材の美味しさを味わってください!

日本三大刃物産地の包丁はそれぞれ特徴があって魅力的!
包丁の産地にもこだわってみよう!

日本食を支える存在である包丁ですが、ふだんは何気なく使用していて産地までこだわっていないという方も多いでしょう。

ただ、日本三大刃物産地の包丁はそれぞれに特徴があって、とても魅力的。日本三大刃物産地の包丁で、日本食の真髄を極めてみませんか?

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